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851:弐師 2006/02/05(日) 18:13 易京棟、 それは、彼女、公孫伯珪の心の如く、高く堅く、そびえ立っていた―――――――― 「えっと、伯珪さま・・・書類を持ってきました。」 「ああ、ありがとう士起、其処に置いていてくれ。」 生徒会長室を出て、あたしはため息をつく。 最近は、伯珪さまはあたし以外を部屋に入れようとしない、従妹の範さま、中等部の妹、続さまですら、だ。 憂鬱な気持ちのまま廊下をしばらく歩いていると、前から範さまが歩いてきた。 「あら、士起ちゃん、どうしたの?そんな顔しちゃって。」 「え・・・」 あたしの悪い癖、気持ちがそのまま顔に出るのだ、ただでさえ範さまは鋭い、すぐにあたしの気持ちなんか看破してしまう。 「いえ、その・・・最近の伯珪さまの様子を見ていると・・・」 「そうね・・・最近の伯珪姉は、以前に増して引きこもり気味よね〜。」 あたしを励ましてくれようとしているのだろう、明るく話しかけてくれる。 なんていい人なのだろう、あたしと同い年とは思えない、そう思うと、逆に、もっと落ち込んでくる。 「まあ、流石の伯珪姉でもさ、敵さんが来れば立ち直るでしょ、そう落ち込みなさんなって。」 「ありがとうございます」 それで話は終わり、寮の自分の部屋に戻る。 いつか来るべき袁紹との戦いを考えると、その夜は、なかなか寝付けなかった それは、予想外に早く訪れた。 袁紹の攻撃、そして 伯珪さまとの、別れ―――――――― 3月、桜の季節。 花びら舞い散る中、彼女、袁紹は攻めてきた。 桜吹雪の中布陣する彼女の姿は、名家の風格を感じさせた。 だけど、伯珪さまはきっと負けない。 あの方は、決して、負けない。 あたしは、そう信じている。 「ふん・・・」 屋上から布陣を見下ろす、 たかが棟一つにご大層なことだ、だが・・・面白い。 久しぶりに、血が騒ぐ。 しかし、だ、白馬義従だけでは、勝ち目はないだろう。 棟の中に戻り、続を探す。 「続、いるかい?」 「なあに、お姉ちゃん」 「悪いけど、BMFのところに使いしてくれないか。」 「張燕先輩のとこだよね、わかった!」 そう言って、すぐに駆けだしていく、よっぽど嬉しかったのだろう、まったく、変わった娘だ、そんなに「お使い」は楽しいのか? まあ良い、袁紹、首を洗って待っていろ。 やった!お姉ちゃんから久しぶりにお使い言いつけられちゃった! あいつ、関靖先輩がきてから、お姉ちゃんは、私に冷たくなった、範お姉ちゃんも何も言わないからって関靖先輩ってば、調子に乗っちゃってべたべたして・・・ と、噂をすれば、あの人だ。 「ああ、続さま。」 笑いながら会釈してくる、なによ、いちいち、頭に来る人。 なんなのよ、私に何の用?いいかげんにしてほしいわ。 「あなたに、さま付けされる覚えはありません!」 そう言い放って、あの人を残してガレージまで一気に走る。 いらいらした気分のまま、私は愛車にまたがった。 「・・・と、言うことなんです。」 「ふーむ、士起ちゃんも大変ね。」 廊下を歩いていた士起ちゃんを「範先生の、お悩み相談室〜!」と称し、私の部屋に連れ込んだ。 理由は単純で、私が見ていられなかったからというだけ。 彼女が「範さまってこんなひとだったっけ?」みたいな顔しているのはまあ、放っておいて、大事なのは彼女から聞いた話だ。 まったく、続ちゃんも困ったものだ、なにも、其処まで言わなくてもいいのに。 だが、だいぶ周りに馴染んでいるといっても、まだ伯珪姉の元に来て日の浅い士起ちゃんが、一部の人から少なからず疎まれているのは事実だ。 そう言う私だって、嫉妬が全くないと言えば嘘になるだろう。 本人は至ってよい娘なのだが・・・「新参者」の悲しさか。 「まあ、あの娘が帰ってきたら、私からも言っておくから、元気出して、ね?」 「はい・・・ありがとうございました」 一応、彼女を部屋まで送ってあげることにした、伯珪姉は、戦いの準備で忙しそうで、彼女にかまってばかりもいられないだろう、士起ちゃんは、今、とても寂しいのだと思う。 だから、私だけでも、この娘を大切にしてあげなければ。 わかっている、だけど、どうしても ――――――――胸の奥の嫉妬は消せなかった。
852:弐師 2006/02/05(日) 18:14 その次の日、私と士起ちゃん、単経ちゃん、田揩ちゃんの四人が、生徒会長室に呼び出された。 士起ちゃん以外の娘―もちろん私も含めてだが―は生徒会長室に入るのは久しぶりだ。 私はわくわくしていた、自分でもすこし恥ずかしいほど、だ。 「ああ、よく来てくれた、早速だが、本題に入らせてもらう。」 話というのはこうだ、伯珪姉が白馬義従を率いて突撃、袁紹軍の背後を遮断、そして私たちが棟から打って出て、挟撃する。ということらしい。 確かに、白馬義従と伯珪姉ならば不可能ではないかもしれない。 だが・・・ 「そんな!危険です!それに伯珪さまが今この棟を出たら、みんなの心はばらばらになってしまいます。」 最初に口を開いたのは、士起ちゃんだった。 そう、私が危惧しているのも其処なのだ、今、人心は離れてきている、それでもこの篭城戦が破綻しないのは、伯珪姉がこの棟内にいるからだ。 もし、突破に成功し、袁紹軍の背後を突けても、上手く呼応できないかもしれない。 リスクが、大きすぎる。 「そうですよ!もし、失敗したら貴女の身まで危険に・・・」 田揩ちゃんが続く。いつもはおどおどしている彼女が、これほど大きな声を出すのは珍しい。 「だが、田揩、今の状況を打開するには、これしかないんじゃないか?もし、などとばかり言っていては、何もできないぞ?」 今まで口を閉ざしていた単経ちゃんが口を開く。 「だけど・・・!」 「まあ、そう熱くなるな、二人とも。範、貴女はどう思う?」 「そうですね、確かに、この作戦はリスクが大きすぎます、張燕さまの援護を得た上で実行するのがよろしいかと。」 「ふむ、なるほど・・・皆、それで良いか。」 誰からも異議は出なかったので、これで会議はお開きになった。 とりあえず、張燕殿が到着するまでは、特に仕事はないだろうと思ったのだが、何故か皆解散した後、私と士起ちゃんだけ、また呼び出された。 「ふむ、来てくれたか。」 「どうなさったのですか、伯珪さま?」 「先ほどの話に関わる話なのだが、範、おまえは士起を連れ文安棟に移ってくれないか。」 「え・・・」 文安棟は此処より五キロ程西にある棟で、今はそれほど重要な拠点でもない。 其処に移るということは、今回の決戦には参加できないということ、そして、何より・・・ 「何故!?何故なんですか!?そんなにあたしは足手まといですか!?」 悲痛な叫びだった。士起ちゃんの気持ちはよくわかる、彼女は運動こそ苦手なものの、事務的な仕事はよくやってくれていた、決して足手まといなどではない。 伯珪姉も唇をかみ、俯いていた。 私が士起ちゃんを宥めようとした時、伯珪姉が口を開いた。 「すまない、私だって貴女と離れたくない、だが、此処は危険なのだ。わかってくれ。」 伯珪姉が士起ちゃんに話しかける、私ではなく、彼女にだけ。 不意に、嫉妬がこみ上げる。 伯珪姉が、離れがたいのは、彼女だけ。 私 じ ゃ な い 。 そ う 彼 女 だ け。 結局、その言葉に士起ちゃんも折れた。 と、いうわけで、早速私たちは出発することになった。 いまさらながら、あんな風な感情を抱いてしまった自分が嫌になってくる、それなのに、士起ちゃんは、私のことをいつものように見つめてくれる。 やめて。 私は、そんな目で見てもらえるほど、綺麗な人間じゃないの。 もちろん、そんなこと口には出せない。 そんな私の心を知ってか知らずか、士起ちゃんが「いきましょうか?」と声をかけてくる これ以上考えたら、本当におかしくなりそう。 すべての感情を振り切って、私はバイクのエンジンをかけた。
853:弐師 2006/02/05(日) 18:16 遂に来た。 続からの連絡、「あと二十キロほどの地点に到着、合図は狼煙によって行う。」 ついに、越の敵をとれるのだ。 白馬義従に出撃の準備をさせる、あと少し、あと少しだ。 じりじりするような焦燥、そして興奮が私を支配する。 それからしばらくして、黒山の方に狼煙が上がった。 「よし!我が精鋭達よ、出陣だ!」 あたしは、範さまと一緒に、空を見ていた。 文安棟から見る空は、易京の空と変わらないはずなのに、どこか寂しく映る、それは、範さまも同じだと思う。 あれ? 「範さま、あれって。」 「狼煙ね、張燕さんはいつもああやって連絡を取るの。」 「へえ・・・」 「でも、少し妙ね。」 「と、いうと?」 「いえ、ちょっとね、なんかいつもより上げかたが下手な気がするの。」 「そうなんですか、あたしにはぜんぜんわからないです」 「うん・・・私の気のせいかもね。」 「そんな・・・」 違う、あの狼煙は違う。 お姉さま・・・そんな 「ちっ・・・袁紹め」 張燕さまも口惜しそうに俯く。 どうする、どうするのよ・・・ 考えるのよ、公孫続! そうだ・・・ 「張燕さま、バイク部隊を、私に貸していただけないでしょうか。」 私には、それしか考えつかなかった。全力で行っても、間に合わないかもしれない。 しかし、何もしないのは最悪だ。 「続、落ち着け、あんたが行ったところで、伯珪さんは救えない、それより、あんたが飛ばされずにいる方が大事じゃないか?」 「でも、でも・・」 そんなこと、私にはできない。 お姉ちゃんを、見捨てるなんて、できない。 「・・・本気だな?」 何も言わず、頷く。 「ふぅ、わかった、其処まで言うならこの黒山の飛燕、断るわけにはいかないな。」 「本当ですか!ありがとうございます!」 そう言って、私は、バイクに乗った。 エンジンの震えが伝わってくる、深呼吸して、みんなに呼びかける。 「皆さん、行きますよっ!」 風を切っていく。 袁紹軍の先頭とぶつかり、押し込み始める。 私が突破したところを、田揩と単経が左右から挟撃する。 先頭が崩れ、退いていく。 だが、何か妙だ、退くのが早すぎる。 嫌な予感がする、全軍一旦退け。そう言おうとしたところで、敵の伏兵が現れた。 あの狼煙は偽報ということか。 「退け、退け!易京棟まで退くのだ!」 今度はこちらが挟撃される。 私の周りにいる娘達も少なくなっていく。 どうやら囲まれてしまったようだ、全軍で、ではなくまだ一部の連中なだけましか。 だが、どうしたものか、そう思っていると、いきなり一隊が囲みを突き破ってきた。 「単経!それに・・・続!?」 「お助けに参りました、伯珪さま。」 「同じくだよ、お姉ちゃん!」 相変わらず無表情な単経と、疲れ切った様子だが、笑顔を作る続。 多勢に無勢には変わりない、が、今の私にはとても心強かった。 文安棟に届いた使い、それがもたらした報せは、衝撃的なものだった。 「なんですって!」 伯珪さまが・・・危ない。 さっきの範さまの言ったとおりだったのか。 どうしたらいい? 周りを見ても、みんな驚き、考えが回らないようだ。 こんな時、範さまが居れば・・・ 彼女は、用事があるからといって、どこかに行ってしまった。 此処にいる娘達は、いわゆる「文官」というやつで、戦うのは得意でない。 むろんあたしも含めて、だ。 だけど、此処でじっとして居ちゃだめだ、それじゃ、あのとき、伯珪さまと初めてあったときと変わらないじゃない! 今度は、あたしが助けるんだ! 「ちょっと、どこに行くのよ。関靖ちゃん。」 「伯珪さまを、助ける。」 「助けるって言っても、無茶よ!」 「それでも、行かなくちゃいけないのっ!一人でも、あたし行くよ。」 それに、あたしがあのとき止めなかったら、単経さんの言うとおりにしていれば・・・ そう思えば、なおさらだ。 「そうだ、無茶だね。」 この声は、範さま!? いつの間にか帰ってきていた範さまが後ろにいた。 「あなたまで、そんな・・・」 「第一、 あなた免許持ってないでしょ、そんなんでどうするつもりだったの?」 「でもぉっ!」 「わかってるわ、行くな、って言ってるんじゃないの、私の後ろに乗っかっていく気はない?って言ってるの。」 「えっ・・・」 「ほら、どうするの?」 「い、行きます、お願いします!」 ガレージに向かう範さまの後についていくとき、後ろから呼び止められた。 「あの・・・関靖ちゃん、頑張ってね。」 其処にいた三人、確か劉緯台ちゃん、李移子ちゃん、楽何ちゃんだったか。 「伯珪さまは、いじめられていた私たちに、まるで兄弟みたいに接してくれた・・・私たちが行っても、足手まといになるだけ、だから・・・」 「うん、わかった!みんなの分まで頑張るよ。」 「ありがとう・・・」 「お別れは終わった?」 「あ、はい!済みませんでした、じゃあ、行って来るね。」 「うん・・・頑張ってね。」 それ以上何も言わず、あたしは笑顔で手を振った。 「ねえ、士起ちゃん。」 そう声をかけたのは、文安棟を出て、暫くしてからだった。 「なんですか?」 「あのね、私今まで貴女に嫉妬してたの。」 ああ、言っちゃった、もう戻れないぞ。 「えっ、あっ、その。」 はは、戸惑っちゃてる、それはそうよね、今まで信じてきた人からこんな風に言われたんだもんね。 「だって、普通そうじゃない?私はさ、董卓と戦ってた頃、いや、もっと前から居たのよ? それがいきなり新しく来た貴女に負けたのよ?」 「えっと、えっと・・・すいません・・・」 本当に、この娘は。なんでこんなこと言ったのにそんな綺麗な瞳で私を見れるの? 「いいの、言ったでしょう?今まで、って。」 「え?」 「さっきもさ、実を言うとね、貴女と居たくなかったから、貴女と居るのが怖かったから、用事って言って逃げたの。でもそれも虚しくなって戻ってきたらさ、伯珪姉がピンチって聞いて、その上貴女が思い詰めた顔でどっか行こうとしていたんだもの、驚いちゃった、でも、その時思ったの、ああ、この娘には勝てないな、ってさ。」 この娘の気持ちは本当、そう痛感したから、私はふっきれた。 「でも・・・範さまの方が綺麗で、優しくて、思いやりがあって・・・」 「そんなの関係ないよ、さっきの貴女を見て、本当にそう思った・・・格好良かったよ、士起ちゃん!自信もって良いよ!」 「は、はい!ありがとうございます!」 そう、その笑顔。 その笑顔に私は負けたの。 ずっと、そのままの笑顔で、ね・・・ 「よし、じゃあ話は終わり!ほら、戦場が見えてきたよ。」 本当だ・・・あ!あれは 「伯珪さまぁ!」 思わず涙がこぼれる、だけどそんなこと気にしている場合じゃない。 「よし、飛ばしていくよ!」 「はい!」 待っててください、伯珪さま。 ある程度は退いてこれたのだが、最早周りには続しかいない。 単経は、私のために殿を努め、 田揩も、乱戦の中で見失った。 「どうしよっか、お姉ちゃん。」 「うむ・・・」 最早、道はないのか、そう思っていると、聞き慣れた声がしてきた。 「伯珪さま!」 「士起!?」 そんな、馬鹿な。 何故士起が此処に? 「関靖先輩!?」 何でこいつが居るのよ、そんな怖がっちゃって。 馬鹿じゃないの? 本当に馬鹿じゃないの? 「あ〜もう!どうでも良いです!とにかく先輩は伯珪お姉ちゃんと退いてください。 ここは私がくい止めます!」 「貴女だけじゃないわよ?私だって居るわ。」 「あ、あたしも・・・」 「先輩は早く行ってください!」 伯珪お姉ちゃんとあいつが遠ざかっていく。 「貴女、士起ちゃんが嫌いなんじゃなかったの?」 範お姉ちゃんが面白そうに聞いてくる。 「あの人は馬鹿です!ついさっきわかりました!でないとろくに戦えないくせに此処まで来ようなんて思いません!でも・・・」 「でも?」 「私は、馬鹿は嫌いじゃないんです。」 「なるほど、良い答えよ。」 そんな話をしていると、袁紹軍が迫ってくる、ざっと五十人ほどだ。 「じゃあ、振られた者同士、いっちょやりますか?続ちゃん?」 「振られた、って言うのがなんか引っかかりますけど・・・まあいいです。」 「よし、行くよ!」 私たちは、敵の群に突っ込んでいった。 関靖先輩、お姉ちゃんを頼みましたよ。 なんとかあたし達は、易京棟まで戻ってきた、ほとんど全員を連れて出陣したらしく、棟内はがらんとしていた。 「ありがとうね、士起。」 「いえ、伯珪さまのためですから。」 「ふっ、そうか・・・なあ士起、私は階級章を返済しようと思う。」 「えっ、そんな・・・」 わかっている、それしかないのだろう、袁紹に奪われるよりはましだ。 でも・・・ 「済まなかったな、今まで本当に苦労をかけた。」 「いえ・・・お世話になったのはこちらです、貴女に会えなかったら、あたしは弱虫のままでした。」 「そうだな、私も貴女に会えなかったら、私は一人ではないことにずっと気がつかなかっただろう。」 越がいた、厳綱がいた、単経がいた、田揩がいた、範がいた、続がいた。廬植先生だって、玄徳だって、子竜だっていた・・・みんな、私の周りにいてくれた。なのに、私は気がつかなかった、ひとりぼっちだと思っていた。 「貴女がそれに気づかせてくれた、そして、こうしてそばにいてくれる。 私は幸せ者だ。」 そうだ、玄徳、貴女は、もう気づいてたんだね、一人じゃ何もできないって。 最早夢の終わりだというのに、不思議と口惜しくはなかった。 楽しい、夢だった。 みんな、ありがとう。
854:弐師 2006/02/05(日) 18:25 なんとか合格した弐師です >北畠蒼陽様 一応高校受験です。 三国志大戦ってやったことないんです(一応ゲーセン禁止なので)w 高校に入ったらやってみたいですね。 >海月 亮様 ありがとうございます、何とか受験は終わりましたが、どっさり宿題が・・・ それに油断していると受験に向け必死の皆さんにすぐに追い抜かれてしまうので。 (て、言いますか実際段々数学がやばいことに・・・orz) では、駄文失礼しました
855:北畠蒼陽 2006/02/05(日) 20:46 [nworo@hotmail.com] 「こんにちは、今日はいいお日柄ね?」 「……」 上機嫌に語りかける少女にもう1人の少女は無愛想に応じた。 袁紹と公孫サン。 易京棟の戦いの勝者と敗者が、同じ易京棟の生徒会長室において顔をあわせた。 ブルーブルーデイズ 「……私はすでに蒼天章を返上した身だ。なんの用だ?」 公孫サンはうんざりしたように……袁紹と目を合わせることもなく視線を斜め下に泳がせながら呟くようにいった。 その背には田楷、関靖ら、公孫サンの腹心たちが憔悴した顔で付き従っている。 「なんの用、ですって?」 公孫サンの言葉に眦を吊り上げる袁紹。 「貴女1人が蒼天章を返上したところで劉虞さんは帰ってこないわ。無意味なのよ、貴女は」 吐き捨てるように言う袁紹。 その話か……公孫サンは顔を下に向け苦笑した。 劉虞は私にとってジャマだった。だから潰した……それだけのことだ。 「なにがおかしいというの……ッ!」 手を振り上げる袁紹。 パシーンという音が鳴り響き、公孫サンが左頬を押さえて1歩後ろに下がった。 「貴様……!」 袁紹に飛び掛ろうとする関靖を左手で制して公孫サンは右手で口の端をぬぐう。 おっと……唇を切ったようだ…… どうでもよさそうに公孫サンはその血を眺めた。 「ふん……無能は無能なりによく躾けてあること。ただその程度が腹心、ってようじゃ私に逆らうのは早すぎたみたいね」 揶揄するように袁紹が呟く。 「……なぁ、袁紹殿。もう開放してもらってもいいだろうか? 今日は見たいテレビ番組があるものでね」 小ばかにしたように言う公孫サンに袁紹の眉が危険な角度につりあがっていく。 お、もう一発殴られるかな…… 公孫サンは苦笑する。お嬢様のお守りも大変だ。 しかし次の瞬間、袁紹の顔には微笑が広がった。 「……?」 なんだ、この余裕は……? 「そうね。もう帰ってもかまわないわ……麹義」 「はーいよ♪」 袁紹は後ろに控えていた腹心の名を呼ぶ。それと同時に顔良、文醜……2人が公孫サンの斜め後ろについた。
856:北畠蒼陽 2006/02/05(日) 20:46 [nworo@hotmail.com] 「みなさんをお連れして頂戴」 「はいはい、了解」 袁紹の言葉に麹義は砕けた一礼をしてから部屋より退出する。 なんだ、この胸騒ぎは…… 公孫サンは嫌な予感に眉をひそめる。 「そちらは……部下に対しての躾が完全に行き届いているようね。まったく羨ましいわ」 嫌味でも言わないと……自分が抑えられない。 「まぁ、待っていなさいな」 ふん、と笑う袁紹。 「大将、つれてきたよ〜♪」 「入っていただいて」 廊下からの麹義の声に、視線を公孫サンから離すことなく袁紹は言う。 公孫サンは唖然とした。 そこに入ってきたのは自分の戦友たち……白馬義従の面々。その胸に輝く蒼天章に公孫サンは顔をほころばせた。 ……よかった。私のせいでトばされずにすんだんだな。 「よかったわ、貴女が忘れっぽいひとじゃなくて……この方々の顔も覚えておられなかったらどうしようかと思ったところよ」 公孫サンのその表情に満足したように袁紹は、その白馬義従の1人の蒼天章を中指で弾き飛ばした。 一瞬なにが起こったのかわからなかった。 「あらあら、どうしたのかしら、呆けちゃって」 袁紹はくすくすと笑いながら2人目の蒼天章に手を伸ばす。 「貴様ッ! やめろーッ!」 袁紹に飛び掛ろうとした公孫サンは……しかし後ろから顔良、文醜に肩を押さえ込まれ床に倒れる。 袁紹はくすくすと笑いながら……次々と蒼天章を弾き飛ばしていく。 「やめろッ! やめろーッ!」 悲痛な叫び。 袁紹は振り返る。 その目に……公孫サンは初めて恐怖を感じた。 笑みなどもうすでにその顔には浮かんでいない。あるのはただ純粋なまでの憎悪。 「劉虞さんがそういったとき貴女はどうなさったのかしら……?」 公孫サンは黙り込む。 これは罰だとでも言うのか…… 黙り込んだ公孫サンに袁紹は白馬義従からはずした蒼天章を公孫サンの顔めがけて叩きつける。 蒼天章は公孫サンの額にぶつかり、血が流れた。 「私は……貴女をトばしたことを誇らない。最も恥じるべき愚者、公孫サン、貴女はこの学園に通う価値もないわ」 袁紹の宣告にも公孫サンは答えることができず…… 翌日、公孫サンは転校届けを出した。 彼女がどこに転校したのかは学園史にも残されていない。
857:北畠蒼陽 2006/02/05(日) 20:47 [nworo@hotmail.com] かっこいいエンディングのあとには醜いほどのエゴがあるッ! どっちかといえばエゴのほうを書いてたほうが楽だと思う北畠です、ごきげんよう。 >弐師様 ……に影響されて公孫サン&袁紹を書いてみました。 公孫サンを書いたのははじめてかな? かっこいい話のあとなんでおもいっきしアレな話にしちゃいましたが……なんか、ねぇ? 最近ギャグを書いてないのでギャグが書きたい! もう空気読んでないようなギャグが! とりあえず合格おめですよぅ。 高校受験といえば……うちの中学もゲーセン禁止だったんですが受験の帰り道、ゲーセンに寄ったら先生に見つかって補導されたのはいい思い出ですあははははは! 三国志大戦はおもろいですよ〜。もしよかったらいろいろ教えますし(笑 ぜひやりまっしょい。
858:海月 亮 2006/02/07(火) 20:40 うむ? ( ̄□ ̄;) おい俺は越されたのかぁぁぁ━━━━━━(;;゚Д゚)━━━━━━ !!?? やばいよここんとこ2chの音ゲー板で遊んでたよ私!? つか私ってば確か関羽攻略の続き考えてたと思ったら… ぜんぜん話進んでないようわーん回線切って吊ってやるー!・゚・(ノД`)・゚・ …冗談はさておき(半分本気だったけどw) >弐師様 いやぁやれやれ、なんだかあっという間に追い越されちまいましたよてかもうメチャ萌えた(;´Д`) 大丈夫大丈夫、腑抜けた今の私じゃあ束になってもこれ以上の作品かけませんって_| ̄|○ こうなったら絵で支援だ、近日ちうに関靖描いて来る!!(;;゚Д゚)ノシ >北畠蒼陽様 お嬢様黒いよお嬢様ッ!(;;゚Д゚)でもそういうのも私は大好きだ!!w いつぞやの鐘会もそうだったけど、人間のこういう面を巧く書けるのってめっさ羨ましいです本当に。 私はそういう表現が下手くそだから未だに岑昏と郭図のイメージが巧く出来なくて困ってますよ_| ̄|○
859:弐師 2006/02/08(水) 20:36 >北畠蒼陽様 良いですね、劉虞を飛ばしてからの「小董卓」的な公孫サンにはこういう結末しかないでしょうね 私にはこういった話は書けないのでうらやましい限りです。 三国志大戦には劉虞と公孫サンは出てるんですか? >海月 亮様 いえいえ、まだまだ未熟者でございます。 続きを期待していますです。 無理せず頑張ってくださいませ。 さて、次はどうしましょうねぇ。 九泉での劉虞と公孫サンの話とか、界橋とか、劉虞戦とか。 個人的には劉虞も好きなのでその話になりますかね。
860:冷霊 2006/02/11(土) 16:41 白水門への出立 「やっぱり行くんですか?」 「ああ、タマのお願いなら断る理由がないだろう?」 楊懐が荷物をまとめ、問いかけに答える。 「でも、先輩達がわざわざ白水門まで行かなくても……」 「あたし等だから行くんでしょ?」 トウ賢の言葉を高沛が遮る。 「それだけ信頼されてるって証拠でしょう。嬉しい話じゃないの」 高沛がトウ賢の肩に手を置く。 「それに気になることもあるしね……」 高沛が楊懐に視線を送る。 楊懐は応じるかのように頷く。 「……荊州の劉備」 視線の意味を理解した冷苞が口を開く。 「いくら張魯対策っつっても、わざわざ呼ぶ必要もないと思うんですけどねー……」 トウ賢が呟く。 周りの意見を鵜呑みにするのは劉璋の悪い癖である。 今回は曹操への偵察もこなした張松の提案だが……どうも腑に落ちない。 賛成派が異様に多かったのも気になる所である。 「張魯くらい、オレとトウ賢でもトバせるのに……」 「冷苞、相手を倒すだけが戦いじゃないぞ」 楊懐が嗜めるように言う。 「相手を制するのも戦いだ。お前等が行けばどれだけ怪我人が出ると思う?」 「あ……」 冷苞が不意に声を漏らす。冷苞やトウ賢が腕が立つのはわかる。 下手すると高沛や楊懐とタメを張るかそれ以上なのだ。 そんな二人が行けば当然敵にも大きな被害が及ぶだろう。 「タマちゃんの優しさってトコかな?相手のことまで気使う必要ないのにさ」 クスリと微笑む高沛。 「ま、逸る気持ちも分からないでもないが、な」 楊懐が笑みを浮かべ、冷苞の肩を叩く。 「楊懐さん……」 冷苞が握り締めていた拳をそっと解く。 「ま、私の初陣もお前達と同じ頃だったからな」 懐かしそうに楊懐が遠くを見つめる。 その様子を見て、同じく目を細める高沛。 「そうそう、初陣と言えば楊懐が……」 「こ、高沛!」 少しだけ慌てた様子で楊懐が声を張る。その頬は僅かに紅潮している。 「初陣がどうしたんですか?」 冷苞が首を傾げた。 「ん?聞きたい?聞きたい?」 「聞きたいでーす」 トウ賢が口元を綻ばせながら答える。 一方、尋ねた高沛の口元も既に緩みっぱなしだったりする。 「無駄口を叩くな!高沛、さっさと行くぞ!」 「楊懐せんぱーい、まだ荷物詰め終わってないんじゃないんですかー?」 憮然と立ち上がる楊懐へトウ賢が追い討ちをかける。 「だ、だからさっさと準備を済ませろ!それに高沛も終わってないだろう?」 「……あ」 そこには詰める途中で放置された高沛の荷物が置いてあった。 「それじゃ、さっさと準備済ませちゃいましょーか。冷苞は楊懐先輩の手伝い宜しくー」 トウ賢はすたすたと高沛の後に付いて行く。 「うーん……一体何が……?」 冷苞は首をかしげたまま、楊懐の方へと歩み寄っていった。
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