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871:弐師 2006/02/19(日) 19:59 単経さんに弟子入りしてから二週間、私と単経さんは、北平棟の棟長室に呼ばれた。 伯珪さんが言うには、私たちに烏丸工の抑えをして欲しいとのことだ。 それまでは、彼女の一つ下の妹である越ちゃんと、その越ちゃんと同じ学年の厳綱ちゃんがその役を負っていたのだが、彼女たちでは抑えきれなくなり、私たちに変わって欲しいと言うことらしい。 私では、力不足かもしれない、だけど、伯珪さんの期待を裏切るわけには行かない。 それに、私一人では無理でも、単経さんがいてくれる。 「わかりました。」 「が、頑張ります!」 「じゃあ、頼んだよ、二人とも。」 漁陽棟を出て、少し北に奴らはいた。 見回りの中、数人の娘しか連れてないが、こんな連中にはこれだけで十分だ。 「田揩、私はあいつらの中に突っ込むから、君は後詰めを頼む。」 「え・・・でも・・・こちらの人数が少な・・・」 「大丈夫、私があんな奴らに負けると思うのか?」 そう言って、私はバイクを走らせる。 皆、敵に突っ込んでいくのは恐ろしいという、伯珪さまですら、そうなのだそうだ。 何故、私はそうじゃないのだろう? 私は狂ってでもいるのか? 皆、そんな私を賞賛しながら不気味がっている。 田揩も、こんな私を見たら、嫌いになってしまうのだろうか? だが、敵が近づいてくると、そんなことはどうでも良くなった。 連中の一人を、バイクから叩き落としてやる、それで、怖じ気づいたか、あいつらは逃げて行く。 それを私は追い討つ、有る程度痛めつけてやった方が良いだろう。 そして、気付いたら、少し深追いしていた。 まずい、戻らなくては。 そう思ったとき、後方から悲鳴が聞こえた。 まさか、罠? だとしたら、田揩が危ない。 そう気付いた瞬間、背中に悪寒が走る。 頭が上手く回らない。 血の気が引いていく。 これが、恐怖という物か? 気付けば、私は叫び声を上げながら引き返していた。 田揩・・・! どうか、無事で。 ――――――――私は、生まれて初めて、神に祈った。
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