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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
935:弐師 2006/07/29(土) 20:11 会議の結果――――――――単経ちゃんは兗州、田揩ちゃんは青州、厳綱ちゃんは冀州へ、そして私は、袁紹から棟長を譲られた勃海へ向かうこととなった。 袁紹から譲られた・・・つまり彼女は私を通じて伯珪姉を何とか翻意させたいらしい。 そしてあわよくば内部分裂を謀る・・・まあ、効果的だと言っても良いだろう。 ――――――――相手が、私じゃなければね。 まったく、なめられたものだ。が、くれるというのなら、有り難く貰っておこう。此処を抑えられれば、袁紹を青州方面から包み込むことが出来る。冀州はまだ、完全に治まってはいない。旧韓馥派の蜂起と呼応できれば、彼女の足下からうち崩せる。 そう、彼女を、追いつめることが出来る。 自室に戻る前、何となく気が向いて屋上に向かってみた。 越ちゃんの、好きだった場所。他と比べ少し長めの階段をゆっくりと上る。錆の来たぼろっちいドアを開け、夕暮れの空の広がる屋上へ出た。 広い屋上が、どこか不吉な黄昏色に染まっている。成る程、先人がこの時間を逢魔刻と呼んだのも無理はない。どこか非日常的な、世界の境目が無くなってしまったような感覚。 ふらふらと、夕日に誘われるようにして手すりへ近づいていく。 皆、幽州を田舎だという、結構ではないか。こんな、心が寒くなるような夕日は、此処位の田舎でしか見ることができないだろうから。 「公孫範先輩?」 後ろからの声に振り向くと、そこには厳綱ちゃんが居た。いつも越ちゃんが昼寝していたという場所、其処に彼女は腰掛け、私より早くから夕日を見ていたようだ。 「びっくりしましたよ、ふらふらって手すりの方に行っちゃうんですもん。身投げでもするのかと思いましたよ」 「あまり笑えない冗談ねぇ。それに、そう思ったならもっと早くに止めて欲しかったなぁ」 「―――――――it's a good day to die」 「え?」 「「今日は死ぬには良い日だ」ってね・・・好きな映画の受け売りですよ。それくらい、素敵な夕日じゃありません?」 そう、彼女は笑いかける。全く、冗談じゃない。 だが、そんな台詞ですら、夕日に照らされた今の彼女の微笑みは自然に思わせた。 「そうねぇ・・・そうかもしれない」 そう言って、また夕日に向き直る。今の私の顔も、そんなある種の凄惨さが映り込んでいるのだろうか。 「でも、まだ私は死ぬ気はないわ。残念ながら、ね」 「私もですよ、仇討ちの一つもできないんじゃ、つまらないですもん」 そう言って、彼女は一段高くなった場所から降り、私の隣へと歩いてきた。そして、私の顔をのぞき込む。 ―――――――――さっきの微笑みを、まだ顔に張り付けたまま。
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