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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
948:弐師2006/08/26(土) 15:29AAS
「へえ、君可愛いねぇ。一緒に遊ばなぁい?」
関靖は、「いかにも」といったような古典的不良に囲まれていた。
烏丸工。幽州では有名な暴れ者どもだ。中華市で最も「夷狄」と呼ばれる男子校に近い幽州では彼らの姿を見かけることもそう珍しくはない。
関靖は可愛いと言われたことはどうでもよかった。だが、この状況は不味い。逃げ道も、味方も居ない。だからといって、お誘いにお答えしたくもない。
さて、どうしようか。
すると遠くからバイクのエンジン音が聞こえてきた。また新手?
もう観念した方がよいのだろうか?しかし遠くに見えたそのバイクは、乗り手も車体も真っ白で、まるであたしを救ってくれる白馬の王子さまのように見えた。
駄目元で、その乗り手にあたしの運命を任せてみよう。そう思った。
すぐ近くまで来てバイクが止まる。
「何だテメエ、邪魔しねぇでくれるかい!?」
「・・・」
バイクと同じ純白のフルフェイスのヘルメットを被った彼は不良どもの言葉に応えずバイクから降り、彼らに手招きする。相手は六人、彼はひとりだった。
それでも、関靖は彼が負けるとは思わなかった。何故かは自分自身でも分からない、ただ、そう思っただけだ。
激昂した連中が殴りかかってくる。だが彼は軽くいなし逆に鳩尾に肘をたたき込む。膝をついて倒れ込んだ男を見て、彼らは恐怖に抗うように突っ込んでくる。だが彼の敵ではなかった、一人、また一人と確実に仕留めていく。数人未だ残っていたが、戦意は既にないようで、背を向けて走り去っていった。
ぽかん、としている関靖の方を向いて、彼はヘルメットを外した。
その下から現れた、整った顔。
さらさらとしたショートヘアー。
すっと通った鼻。
切れ長の目。
――――――――――――そして、どこか虚ろな瞳。
美しい「女性」だった。
・・・思えば失礼な話だろう。顔が見えなくても普通体つき等で女性だと分かりそうな物だ。
だけど、焦っていたこともあるし、あれだけ強くて格好良いのだから、勘違いしてしまっても仕様がないのではないだろうか。
それに、それでもどうやら――――――――――――
――――――――――――あたしの「白馬の王子さま」は彼女のようなのだから。
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