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95:教授 2003/01/07(火) 23:51 「一人より二人の方が指導も…」 「漢升…分かって…」 確固たる信念と決意、そして哀しく淀みのない眼差し。 澄んだ瞳から発せられるどこまでも真っ直ぐな想いは黄忠の心を射抜いていた。 「………」 黄忠は厳顔を掴む手を離すとそっぽを向いてため息を吐いた。 そしてくるりと向き直る。 悲壮感のない、苦笑いだ。 「しょうがないわね…貴方の気持ちは分かったわ。後は…私に任せなさい」 力強く言い放つ。 「頼んだよ……あ、それから」 「何?」 「年増やおばさん呼ばわりされても怒るなよ〜。もう、宥める役はうんざりなんだからさ。引退してから呼び出されても困るしね」 「そんな事、保証できないわよ」 思わず吹き出す二人。 彼女達の明るい笑い声が屋上に響いた…。 翌日、厳顔は劉備の元へ赴き理由も告げず自らの階級章を返上した。 勿論、劉備や他の幹部達は厳顔を引き止めようとする。 厳顔は振り返る事なく、ただ一つだけ皆に言い残し…。 「後は若い子に任せるわ、それじゃ」 そして、静かに去っていった。 「………」 黄忠は去り行く親友の背中を見送る。 ――無意識の内にに涙が頬を伝った。 はっと我に返り慌てて涙を拭う黄忠。 誰にも見られていないかと内心ひやりとしたが、幸い誰も気付いていない様子に安堵の息を吐く。 …と、劉備が黄忠の服の裾を引っ張った。 「漢升はん…ちーと話あるんやけど」 「…総代?」 「ここやとなんやし…ちょっと奥まで来たって」 黄忠は引張られるがままに会議室の奥の部屋に連れ込まれる。 「総代…何の用です…」 「漢升はん、あんた…厳顔の姐さんの引退の理由…知っとるやろ」 「…っ!」 「やっぱりやな…。理由も言われずにコレを返されても…かなわんわ。…理由…聞かせてくれへんか?」 劉備の放つ威圧感に気圧される。 黄忠は重い口を開き始めた。 「彼女…引っ越すんです。ここからずっと遠い所に…」 「そないな事やったら…言うてくれてもええのに…」 「静かに去りたかったそうです…」 「…ウチら騒がしくしたか?」
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