★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
107:教授2003/01/11(土) 00:04
「わ、悪いな…関羽」
 危機的状況の関羽の元に夏侯淳がやってきて曹操を担ぎ上げた。
「わーっ! まだ話があるのに〜!」
「だから、まだ用事があるって言っただろー! 行くよ!」
 夏侯淳に担ぎ上げられた曹操はじたばたと可愛い抵抗をしながらも、そのまま連れて行かれた。
 一瞬の出来事に呆然とする関羽。
「こ、これは…助かったのか…?」



 曹操達が去ってから3時間後。
 関羽は掃き集めた落ち葉で焚き火をしていた。
「はぁ…人心地着いた気分ね…」
 既に境内の雑巾掛けや窓拭きを終えている。
 のほほんと落ちついていると、境内の方から見慣れた人物が何人も姿を見せた。
「おーい、関さーん」
 劉備だ。
 両サイドと後ろに張飛、劉禅、簡擁が付いてきている。
「義姉者、こっちです」
 関羽が手を振りながら4人を呼ぶ。
「うわっ、関さん…何で巫女服着てるんや?」
「これには事情がありまして…そこっ! 写真撮影禁止!」
 簡擁からデジカメを没収する関羽。
「ちぇっ…折角いいもの撮れると思ったのに」
 不貞腐れる簡擁。
「関羽おねーちゃん…趙雲おねーちゃんは?」
 劉禅がきょろきょろと趙雲の姿を探す。
「子龍ですか? 今…熱があるみたいで部屋で休ませてます」
 その答えに泣きそうな表情を浮かべる。
「えー! 大変だよ、死んじゃうの?」
「アホ! 神社で不吉な事言うな! 簡擁、悪いけどこいつと一緒に子龍の様子を見に行ったって」
「御意」
 簡擁は劉禅の手を引きながら神社の中に入っていった。
 さながら、迷子を連れて歩くデパートの従業員のようだった。
 だが、この時は誰も気付いていなかった。
 簡擁の懐にもう一つデジカメが忍ばされていた事に…。
 二人を見送って劉備が関羽に向き直る。
「まあ、なんや。事情は分かった気がするわ…子龍のヤツ、風邪引いとったんやな?」
「ええ。熱があるのにも関わらず仕事をしてましたから…大事を取って休ませました。よって、彼女の仕事を私が引き継いでやっていたんです」
「うん、よう分かったわ。大変やったな、関さんも…お疲れさん」
 劉備の労いの言葉に嬉しさを隠し切れない関羽。
 ふと、さっきから喋らない張飛に気付く。
「翼徳、何で喋らないんだ?」
「………」
 張飛は関羽の問いに答えず、ただ左頬を押さえていた。
「あー、このアホな。虫歯にかかりよったんや」
 劉備が屈託なく笑いながら張飛の左頬を突つく。
「んーっ!」
 張飛は激しく抵抗。
「ほな、関さん。ウチはコイツ連れて歯医者行ってくるわ」
「そうですね、早く連れて行ってあげてください」
 関羽は二人を見送ると晴れ渡った青空を見上げた。
「こんな平和が続けば…。ふふっ…無いものねだりか」
 不敵に微笑むと箒を片手に社の中に姿を消して行った…。


おまけ

「趙雲おねーちゃん、大丈夫?」
「アトちゃんがお見舞いに来てくれたから、すっかりよくなりましたよ」
 微笑ましい光景。
「…………」
 趙雲に気付かれないようにデジカメを回し続ける簡擁。
「………(宴会の席で流そうかな♪)」
 邪だった。
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