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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
237:雪月華 2003/03/18(火) 16:33 Departure -Conclusion - 校区どうしをつなぐ道路はアスファルト舗装されており、自転車を走らせるには絶好の環境にあった。昨日までの梅雨空が嘘のように晴れ渡り、水溜りが太陽の光を反射して煌き、気分が浮き立ってくる。 不意に、体の中から言葉が溢れ出てきた。 ♪The light of morning gold fades and a dazzling blue sky appears (朝の黄金の光が薄れ、眩しい蒼天が現れる) 自分で自分が信じられなかった。声が出る。それもあの力を得る前の自分の声。何の気兼ねもなしに歌えたあの時の声。この数ヶ月で一番欲しかったものだった。 溢れ出た言葉は自然に音階が整い、歌となって夏の冀州校区の野原に響く。 ♪From west,black cloud appear and the whole sky is covered ♪Stars in the whole sky end and oppose black cloud ♪Black cloud obtain lightning and tear between stars ♪Three novas drive off lightning and black cloud retreat to west ♪Stars also lose a settlement and are scattered to the whole sky (西のかたより黒雲が湧き起こり、蒼天を覆う。満天の星達は集い、黒雲に抗する。黒雲は稲妻を得て、星達の間を縦横に引き裂く。三つの新星が稲光を追い払い、黒雲は西へ退く。星達もまとまりを失い全天へ散らばる。) いつの間にか校区の境を越え、青州校区に入っていた。梅雨明けの煌く風を感じる。今まで味わったことの無い開放感を感じた。 さらに言葉は歌となって溢れ出す。 ♪Black cloud are scratched out by lightning and lightning runs to an east ♪Two stars change to the sun and are located in north and the center sky ♪Although the star which became the moon goes to south sky, but it disappears by impatience. ♪Three novas which drove off lightning serve as jewelry and both wings,respectively,change to a dragon,and are located east sky ♪The north sun is the increase of a size slowly,The central sun runs about busily ♪Two new moons are produced,and the star which twinkles is held and it is located in the southern sky ♪A dragon is driven off by lightning in an east sky and stays at the sky of the central sun ♪Lightning is scratched out by the central sun and a dragon hears under the central sun about an opportunity (黒雲は、稲光によりかき消され、稲光は東へ走る。二つの星が日輪へ変わり、北と中天に拠る。月へと変わった星は南へ赴くが、焦りにより消え去る。稲光を追い払った三つの新星はそれぞれ宝石、両翼となり龍に変化し、東に拠る。北の日輪はゆっくりと大きさを増し、中天の日輪は忙しく駆け回る。新たな二つの月が生まれ、輝く星を抱き、南の空に拠る。龍は稲光により東を逐われ、中天の日輪のもとに身を寄せる。稲光は中天の日輪によりかき消され、龍は日輪のもと、機会を窺う。) どこか予言めいている…と思わないでもなかったが、言葉は次から次へと溢れ出してくる。 鮮やかに音階が定まり、流麗な歌となって青州校区の夏の野原に響く。 ♪The north sun tends to take in the central sun,takes advantaging of it,and a dragon raises a male shout in the east sky ♪One of the two of the southern moon disappears,the star which twinkles supports the small moon and it is changed to a new crescent ♪Suddenly,the central sun tends to move to an east and it is going to take in a dragon ♪A dragon leaves one of the two's wings,and escapes to the basis of the north sun ♪The north sun and the central sun come into contact with,and a dazzling light is emitted ♪The dragon which left north goes to the southern sky,and obtains a tooth ♪The wings of one of the two of a dragon scratch out the light of two north stars,and leave it to the sky of the south in which a dragon is ♪The sun of haughty north loses the cause that it can shine,by the arrogance ♪It runs to the central sun after the sun which retreated to north,and it is taken in (北の日輪が中天の日輪を取り込もうとし、それに乗じた龍は東の空で雄叫びをあげる。南の月のひとつが消え、小さな月を輝く星が支え、三日月へと変える。突然、中天の日輪が東進し、龍を取り込まんとする。龍は片翼を残し、北の日輪のもとへ逃れる。北の日輪と中天の日輪が触れ合い、眩い光を放つ。龍は南の空へ行き、牙を得る。龍の片翼は北の二つの星の光をかき消し、龍の拠る南の空へ去る。傲慢な北の日輪はその傲慢さによりその輝けるもとを失う。北へ退いた日輪は中天の日輪に取り込まれる。) いつしか青州校区の半ばを越え、外界への境界に近づきつつある。まだ言葉は溢れ続けていた。気分が高揚しているせいか、不思議と疲れは感じない。 ♪The sun used as one goes to south ♪Although the clouds which should be held were obtained,the dragon which cannot obtain time takes many stars with it,and escapes to southeast ♪A new crescent unites with a dragon and sends back the sun to north by the power of the wind from southeast ♪The star which pursued the sun and which can twinkle loses light in the middle of a way,and disappears ♪A dragon goes to west sky and gains control of the ground in the twinkling of an eye ♪And the sky is divided into the sun, the moon, and a dragon. (一つとなった日輪は南へ向かう。雲を得たが、時を得られない龍は、多くの星達を引き連れ、東南へ逃れる。三日月は龍と結び、東南からの風の力で日輪を北へ逐う。日輪を追った輝ける星は道の途中で力尽き、消える。龍は西へ行き、瞬く間にその地を制する。かくして、日輪、月、龍により空は3つに分かれる。) スカーフをほどき、夏の風に託した。風に弄ばれながらどこかへ飛んでゆく…。もうそろそろママの想いから解放されてもいい頃だと思った。 さらに歌声は澄み渡り、冴え渡る。 ♪Furthermore,although a dragon tends to go to north sky,a new crescent plucks off the wings of one of the two of a dragon,and it changes to half moon ♪Although the angry dragon attacks half moon,one of the two's wings are already lost by himself out of anger ♪Although the dragon which lost both of wings still goes to east sky,the shooting star which appeared suddenly breaks jewelry ♪But a dragon survives and hangs down the tail to south sky ♪The sun darkens,a sunspot appears and the size is increased gradually ♪A dragon loses a tooth,clouds and a sunspot fight it and clouds disappear in the middle of a way ♪The sun covers all dragons and attaches a dragon to eternal sleep in the sun ♪Suddenly, the sun is wrapped in the flame which blew off from the sunspot, and the sun is born again. ♪The new sun swallows the moon from west and north,and sky serves as only the sun ♪Soon,the sun sets to south and night steals near from north (さらに龍は北へ向かわんとするが、三日月が龍の片翼をむしり取り、半月へと変化する。怒れる龍は半月を襲うが、自分自身でもう片方の翼を失う。両翼を失いし龍はそれでも東へ向かうが、突如現れた流星が玉を砕く。だが龍は生き延び、その尾を南へ垂らす。日輪が翳り、黒点が生じ、次第にその大きさを増す。龍は牙を失い、雲と黒点が争い、雲は道半ばで力尽き掻き消える。日輪が龍を覆い尽くし、龍は日輪の中で永遠の眠りにつく。突然、黒点から噴出した炎に日輪は包まれ、生まれ変わる。新たな日輪は西と東より月を飲み込み、空は日輪のみとなる。やがて日輪は南へ沈み、北より夜が忍び寄る…) 言葉は溢れ出すのをやめた。大きく息をつく。満足感が潮のように胸に満ちた。昨日までの懊悩が嘘のように消えていることに気づいた。 後ろを振り向くと、遠くから2台の自転車に分乗した4人が近づいてくるのが見えた。劉備、関羽、張飛、簡雍の例の4人。学園を去る間際にできた1年生の友人達だった。関羽と簡雍の乗った自転車は何事も無く停止したが、劉備と張飛の乗った自転車は、完全に停止する前に張飛が降りようとしたためバランスを崩し、2人を巻き込んで派手に転倒した。自転車のスタンドを立てた関羽が慌てて駆け寄る。 「姉者、大丈夫ですか?」 「あたたた…翼徳!ちゃんと止まってから降りぃや!」 ずれた眼鏡を直しながら劉備が張飛をこづく。 「いいのですか?まだ授業中のはずですが…」 「かまへんかまへん。そないなことより、もう会えんかもしれん友人を見送る方がだいじ…って張角はん!?喋れるようになりはったんですか!?」 「ええ、ついさっき。」 「それはなにより!しかし冀州校区合唱祭で我々が聞いたあの「声」とは微妙に違いますな。心を強烈に震わせる何かが抜け落ちて、優しさが増している…」 「ええ。これは去年までの私の声、いわば本来の私の声なのです。」 「華陀先生恐るべし、というところですな。」 「ところで張角はんはこれからどないするおつもりです?」 「姉者、そのようなことは…」 「実家に帰って、改めて地元の高校に転校し、将来は音楽関係の仕事をしたい、と思っているのですが…。」 「何度も言うようですが、自信をもたれることですな。学業はもとより、人付き合いでも、我々のようにその眼を怖がらずに付き合ってくれる人も、探せば必ず居るはずです。」 「そうだぜ。世の中には目が見えない人だって沢山居るんだ。この学園にも片目が見えない奴だっているしさ。色が違ったりビームが出るぐらい、何もおかしいところは…」 「ビームなんか出せるかいな!」 ハリセンの小気味いい音が響く。 「まあとにかく、遠く離れてもこの同じ蒼天の下にはウチらは必ず居ります。つらくなったらウチらのことを思い出すとええです。」 「ええ。忘れはしません。あなたがたことは…ずっと。」 「せや!お別れに一緒に写真撮ろうや!憲和!準備はおっけー!?」 「いいよー」 5歩ほど離れたところでは簡雍がカメラを3脚にセットし終わったところだった。ファインダーをのぞく。 「ハイ、張角さん、もうちょっと右よってー。張飛はそのままで、関羽はもうちょこっと左。劉備ー、あたしの場所空けといて。じゃあいくよー。」 シャッターボタンを押した簡雍が駆け寄ってくる。しばらく5人ともそのままの姿勢で固まった。 このときが永遠に続けば…ちらっとそう思った瞬間、シャッター音が響いた。 「…あかん、目ぇ閉じたかもしれへん。憲和、悪いけどもう一枚。」 「しょうがないなあ…あ、張角さん、あとで連絡先教えて。写真できたら送るから。」 …結局、取り直しは5回に及んだ。劉備はこういうことには拘る性格らしい。 「元気でなー!」 「またどっかで会おうぜ!」 「がんばってねー」 「お達者で…」 4人4様の別れの挨拶と握手を受け、父さんの車に乗り込む。乗ってきた自転車は劉備達に譲った。車が発進し、4人の姿と学園の門が遠ざかってゆく… 「…学園に活気に満ちた時代が来る。あの子達をはじめとする覇気に満ちた1年生によって…。騒々しいだろうけど、重く沈んだよりは、はるかにましでしょうね。それを見ることができないのが唯一の心残り。できればもうすこし遅く、あの子達と同時期に入学できてたらよかった…。」 -The end of beginning- ────────────── 完結です。 張角の歌…日本語で詩を書いてから翻訳ソフトを通し、細かく文法直しただけなので、語呂悪すぎですが…(加筆修正コソーリ希望)。(^^;
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