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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
24:★ぐっこ2002/02/14(木) 23:40
2月14日――
2月14日である。
すなわち世で言うところのバレンタイン・デイ!
…そもそもこのバレンタインデーとは、若者達に恋の美しさを語り続け、それ故に時のローマ皇帝
クラウディウスII世(在位268-270)によって処刑された、聖ヴァレンティヌスの悲劇に由来する。
恋人の守護者・聖ヴァレンティヌスの名を冠したこの日、ある国では男→女の本命貢物合戦、
ある国では女→男のチョコレート商戦が繰り広げられるのだ。
……そして、この蒼天学園では――
「なあ張飛、何で何回焼いても焦げ付いてまうんやろ!?」
「もうちょっとミルク足したらどうやろか?」
「あかんあかん。また端の方が変な色になる!」
さして広くない寮のキッチンを、バタバタと二人の少女が右往左往している。
この日――バレンタインデーは、彼女らにとっても特別な一日であった。
「女子校なのに何で?」
などと言う次元ではない。女子しか居ないというこの密閉された世界に於いてこそ、この種の
イベントは果てなくヒートアップするのだ。
まして二月中旬というと、ちょうど学年末テストも終了し、長い春休みに入る直前の期間である。
日頃まじめに単位を取っている連中なら、もう四月までほとんど授業がないという状態が普通だ。
何でもお祭りにしてしまう蒼天学園が、こんなイベントを放っておくはずがない。
「あっ!また焦げはじめてる!真ん中の方は溶けてもないのに!」
「下手くそ! 俺に貸せよ!」
フライパンを取り合う。半液状のチョコが飛び散る。もう周りは無茶苦茶であった。
「だから言っただろ!素直に製品モノ買っておけって!」
「せやかて、曹操が関さんに手作りの本命渡すって、わざわざ言いに来たんやで!これは挑戦や!」
「だったらせめて前日までに仕上げろ!」
ギャアギャア言いながら、二人は次々と買い置きしていたチョコ材料(二〇〇〇円相当)を
フライパンへザラザラと流し込む。
一瞬、チョコレートの芳香が漂い、数秒後には胸が悪くなるような脂の臭いが取って代わった。
「なんでや! あり得へん!」
「あるやないかい!」
不毛な罵声を浴びせ合いながら、二人のドタバタはまだまだ続きそうだった……
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