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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
248:アサハル 2003/04/10(木) 01:31 閉じ括弧までリンクされちゃったよ…(つД`) http://fw-rise.sub.jp/tplts/running.jpg でつ。
249:★ぐっこ@管理人 2003/04/11(金) 00:05 甘寧モエ━━━━━━(;´∀`)━━━━━━!!!!ハァハァ アサハル様、あいかわらずのグっジョブ! うわー、年甲斐もなく胸にきましたよ胸に!これは…(;´Д`)ハァハァ… ちうか、こういうラフがサラッと描けて、しかも上手な方がうらやましくてもう! 凌統たんもナニゲに可愛くていいなあもう! ところでアサハル様、キャップ通知のメールって届きました?一応確認を…
250:★教授 2003/04/12(土) 00:15 ■■ 甘寧VS凌統 ROUND 1 ■■ 「あのアマ! どこいきやがった!」 胸元を押さえながら甘寧が更衣室から飛び出してきた。 周囲で休憩していた長湖部の下っ端(酷)連中が驚き振り返る。 ――が、全員が瞬間的に顔を俯かせた。 彼女達の目に映ったのは、まさしく『鬼』だったからだ。 「おいっ! 凌統がどこ行ったか知らねーか!」 空腹の極限に達した獣の咆哮のような怒声が下っ端に向けて放たれる。 特に何も悪い事をしていないはずなのに、小さく縮こまる下っ端達。 泣き出す女子もちらほら窺えた。 「し、知りません…」 泣きそうな顔で一人の女生徒が勇気を振り絞る。 だが、これは薮蛇だった。 「…隠すとタメにならねーぞ…」 未だ胸元を押さえる甘寧がずかずかとその女生徒に近づく。 「ほ、本当に知らないんで…ひぃっ!」 「さっさと吐け! 今すぐ言わねぇと…潰す!」 必死に知らないと言い張る女生徒の胸座を掴みあげ脅す甘寧。 怒声だけで泣きそうだったのに、間近で物凄い剣幕を見せつけられる。 もうそれだけで失神しそうになっていた。 しかし、この哀れな子羊を神様は見捨てなかった。 「はい、ストップね。この子、本当に知らなさそーじゃん」 甘寧の腕を横から掴む手。 ぎろりと甘寧がその手の主を睨みつける。 と、その姿を確認すると同時に目許が緩んだ。 「魯粛…」 「何があったワケ? それよりも、解放してやりなよ」 いつも通り、どこか人を食ったような笑顔を向ける魯粛。 甘寧は軽く舌打ちして女生徒から手を放した。 「うんうん。ただ恐いだけの先輩じゃダメだしね。その点、興覇は流石だよ」 「そ、そうか?」 それとなく甘寧を誉める魯粛。 だが、甘寧には見えないように周りの下っ端に手をひらひらと振っている。 ――今の内にどっかいけ 意味を理解したのか、そろそろと女生徒達がこの場を後にしていく。 「…で、何で怒ってるわけ?」 魯粛は胸元を押さえる甘寧の手を見ながら尋ねる。 その視線に気付いた甘寧が顔を紅潮させた。 「じ、じじ…じろじろ見んなよ!」 「いーじゃん、別に減るもんでもないし。それよりも何で?」 照れ隠しに怒る甘寧に受け流す魯粛。 口上ではやはり魯粛の方が一枚も二枚も上手のようだ。 「凌統だよ! あいつ…あいつが!」 「凌統?」 「あいつが俺のサラシ盗んでいきやがったんだよ!」 「ふーん…って、興覇…あんたまさか…」 魯粛が訝しげな表情を浮かべた。 そして、再び甘寧の胸元に目線を送る。 「な、なんだよ…」 「もしかして…世間一般で言うところの…『のーぶら』…ってやつ?」 禁断の単語が魯粛の口から飛び出した。 甘寧の頬の赤みに更に赤が追加されていく。 「は、はははは…恥ずかしい事言うなーっ!」 「わっ」 思わず甘寧が魯粛を掴み上げた。 この行動は後に甘寧のトラウマランキングの1位を独占する事になる。 掴み上げられた魯粛がぽつりと一言呟いた。 「…丸見え」 「…え?」 甘寧は一瞬理解できなかった。 ふと魯粛の視線を辿り…そして―― 「…っわああああっっっっっ!!!!!!」 甘寧は魯粛を放り出し、何処へともなく走り去って行った―― ――その頃の凌統 「ふふ…どんな反応しているのか楽しみー♪」 くるくると指先で甘寧のサラシを回していましたとさ。 後日、凌統は何者かの闇討ちに遭ったそうな――
251:★ぐっこ@管理人 2003/04/12(土) 20:44 Σ(´Д`;)ハァハァ… の、のーぶらの興覇たん…ウッ ていうか公績たんは後先考えて行動するべきだと思うのですよ。 でもこの二人って、その場の思いつきでイタズラはじめるから楽しいですねえ… 教授様のSSでは長湖部の狂言まわしは魯粛たんに定着してきましたな(゚∀゚) 曹操陣営だと、誰が適任なんだろうか…
252:★教授 2003/04/20(日) 23:32 ■■甘寧VS凌統 ROUND2 -魯粛プロデュース 前編-■■ 「甘寧! 今日こそ白黒はっきりつけてやる!」 「突っかかってくるのもいい加減にしろよ!」 ロッカールームで衝突中の甘寧と凌統。 厳密には凌統が甘寧に突っかかってるだけなのだが。 周りで着替え中の除盛と丁奉は別段気にする素振りも見せない。 目の前で繰り広げられてる軽い修羅場は彼女達には見慣れたものだったのだ。 「またやってるよ。毎度毎度飽きないもんなのかな…」 「いいんじゃない? それで本人達が楽しければ」 所詮他人事の二人。 だが、凌統の投げたボストンバック(水着やら体操服がぎっしりつまってる)が除盛の側頭部に直撃。 くるりと一回転してコミカルに倒れる。 「じ、除盛!?」 丁奉が慌てて除盛を抱え起こそうとする。 しかし、今度は甘寧の投げたボストンバック(鉄アレイやらメリケンサック等の凶器がぎっしりつまってる)が丁奉を襲った。 「ぐはっ」 後ろ頭に直撃した勢いで除盛の上に覆い被さるように倒れる。 そんな哀れな被害者二人を全く意にも介さない甘寧と凌統。 一方的に突っかかられている甘寧もそろそろ我慢の限界なのだろうか。 こめかみにピクピクと血管が浮きあがり今にも襲いかからんばかりだ。 と、ロッカールームに一人の女生徒が入ってくる。 「…またやってるの。いい加減にしなさい、二人とも」 優雅な物腰で嗜める。 「あぁん…? ひっこんで…」 タンカを切りながら振り返る甘寧と凌統。 その目に映っているのは、周喩だった。 周喩はダウンしている除盛と丁奉の様子を見ると、厳しい目線で二人を見据える。 「う…」 甘寧も凌統もばつが悪そうな顔をしながらたじろぐ。 「二人とも、今からグランド30周! さっさと行きなさい!」 周喩の怒号がロッカールームに轟く。 「はいいっ!」 二人は稲妻のような勢いでロッカールームから出て行った…。 「くそぉ…オメーのせいなんだからな!」 「ふざけないでよ! そっちが悪いんじゃない!」 甘寧と凌統は走りながら責任転嫁を繰り広げる。 その下で肘や蹴りが飛び交っているのは言うまでもない。 「後1周だぞー。頑張れー」 グランドの真ん中でメガホンを片手に魯粛の棒読みの応援。 「子敬! もう少し気持ち篭めろよ!」 毒づきながらペースを上げる甘寧、そして負けじと凌統が横に並ぶ。 そのまま二人が並んでゴールした。 「わ、私の方が…少し早かった…」 息を切らしながら凌統。 「な…何言ってんだ! 俺の方が先だったろうが!」 甘寧もぜぇぜぇ言いながら反論する。 そこへ魯粛が近寄ってきた。 「凌統、残念〜。甘寧の方が先にゴールしたぞー」 薄笑いを浮かべて甘寧の手を掴んで挙げる。 「な…!」 納得がいかない様子の凌統と勝ち誇った様子の甘寧。 「残念だったな〜。やっぱ、俺の方が早かったみたいだわ」 「納得いかないよ! 何で!?」 地団太を踏んで悔しがる凌統。 「そうだな〜。胸の差ってトコかな?」 甘寧の胸を指で突つき、真顔できっぱりと言い放つ魯粛。 愕然とする凌統、そして… 「な…!? は、恥ずかしい事言うなーっ! って…触るなーっ!」 頭の芯から真っ赤になる甘寧。 しかし、魯粛はその抗議の声を余裕で無視する。 「さて…二回戦に移ろうか。次の種目は…これ!」 魯粛は懐から出した一枚の紙を二人に見せる。 「二回戦って…こ、これは…絶対嫌だ!」 「へぇ…面白そうじゃない」 紙を見た途端に体全体で拒否する甘寧。 それとは正反対に興味深深の凌統。 その紙には『コスプレ対決』と、でかでかとマジックで書かれていた。 「絶対嫌だ! 別の事にしようぜ! なっ!」 泣きそうな顔で魯粛に詰め寄る甘寧、必死だ。 そこに凌統がにやにや笑いながら近づく。 「試合放棄? なーんだ、情けないな〜」 「なんだと!」 甘寧が凌統に向き直る。 「逃げるの? いや、別に構わないけどね」 この言葉にカチンと来た甘寧。 「誰が逃げるか! やってやらぁ!」 勢いと怒りでつい口走ってしまった。 「じゃ、勝負は明日の昼休みで決まりね」 「え? あ、いや…これは勢いで…」 甘寧は慌てて自分の発言を取り繕おうとする。 ――が、時既に遅し。 「それじゃ、明日の昼休みまでに何するか決めといてね」 「分かったよ」 「ち、ちょっ! 子敬! 待てって!」 二人に投げキッスを寄越して魯粛はさっさと校舎に入っていった。 「明日が楽しみね。それまで首は預けとくわ♪」 自信に満ちた顔の凌統が挑発の言葉を投げかけてグランドから出て行く。 「…マジか…?」 甘寧は呆然とグランドに立ち尽くすしかなかった…。 そして、運命の朝がやってきた――。
253:アサハル 2003/04/22(火) 22:12 甘寧って既に殆どコスプレっp(ry 徐盛と丁奉の見事な巻き添えっぷりにとりあえず笑わせて頂きました。 胸の差って…ってことは凌統の胸はサラシ巻いた甘寧より小… ところで魯粛って「〜しなさい!」と命令口調で言われたら 「ああん?誰に向かって口利いとんじゃこのアマ!!」って 逆ギレしそうな気がします。何となく。
254:★ぐっこ@管理人 2003/04/22(火) 23:41 ハッΣ(´Д`;)コス対決…っ しかしながら甘寧の方が、外貌的にバリエーション豊富な気もするが… 凌統たんはどう巻き返すのか!? >凌統の胸はサラシ巻いた甘寧より小(ry ワロタ。言われてみれば… 魯粛は周瑜のマブだったりしますので、確かに逆ギレするでしょうねえ…
255:岡本 2003/04/24(木) 02:59 ■十常侍の乱(前)■ 既に末期化していた蒼天学園連合生徒会の不甲斐無さが形に現れたのが黄巾事件とそれに触発された各地の反乱と見るならば、後の群雄割拠に示される学園騒乱の実質的な幕開けは何進のリタイアとそれによる洛陽棟の混乱−“十常侍の乱”−にあると目されることが多いだろう。 アイドルである妹の“Kai”がファンであった前蒼天会会長・劉宏とその妹・劉弁と姉妹の誓を交したことで、“垢抜けないもののちょっと愛嬌のある肉屋の看板娘”として平凡な学園ライフをおくるつもりだった何進の運命は急展開を示した。 なんと劉宏自身のご指名で、蒼天学園の実質最高責任者といってよい連合生徒会会長に推されたのである。ただ、何進自身はそれなりに頑張ってはいたものの、所詮“それなり”で、連合生徒会会長としての思考のスケールや実行力といった器量の需要と供給の天秤が完璧に破綻していた。野心など薬にもしたくない“気の優しい近所のお姉さん”の域を超え得なかった以上、正規の役職に着かない方が幸せであったのは間違いない。頼みの綱である連合生徒会の官僚組織ですら華夏研究学園都市の13校区を切り盛りするどころか、なんのかんの文句をつけ山のように送り届けてくる問題に対処しきれず運営機関としては末期症状を示していたのであるから悲惨であった。それに加えて黄巾賊蜂起というダブルコンボが見舞ったのであるから目も当てられない。 皇甫嵩・朱儁・盧植・といった将達が奮闘し首魁たる張角3姉妹達を処断することに成功したものの、自らの利権にのみ汲々としている蒼天会執行部“十常侍”が劉宏を動かし玉である彼女らを連合生徒会から放逐処分にすることになり、ダメージを受けた連合生徒会の傷口に薬を塗るどころか毒を塗る結果になった。劉宏に蒼天学園の現状を訴える声が直に届かない以上、唯一十常侍の障壁を超えて劉宏に話ができる何進が現状回復を訴えるのがとるべき方法であったのだろうが、悲しいかな何進自身の思考のスケールで把握できる世界がそれこそ洛陽棟に所在を構える蒼天会と連合生徒会が精一杯であり、“現状”の意味する蒼天学園規模での危険性を把握することなど不可能であった。 結果として中央集権を放棄し有能な(言い方をかえると野心に溢れた)人物を校区生徒会会長として送り込むことで各地の反乱に対処し安定化を図ったわけであるが、各校区の独立化に拍車を掛けることになる。 何進の勢力基盤は名目上とはいえ蒼天学園の最高権力者たる蒼天会会長・劉宏が持てる権力にあったのだが、これを独占していたわけでなく、蒼天会執行部“十常侍”と折半していたに過ぎなかった。 黄巾事件後の何進の連合生徒会会長としての役目は互いの存亡をかけた十常侍との権力の綱引きに終始することになる。 では、なぜ蒼天会と連合生徒会の連絡・調整役たる蒼天会執行部“十常侍”がそれほどの権力を持ちえたのであろうか。それについてはまず“カムロ”という存在について触れねばならない。 くだらないと思われる節もあるが、中華研究学園都市には奇妙なジンクスがある。 “位階・威勢を極めた組織の初代会長はなぜか胸が無い。” それに反して、抗争で敗れたライバル達や組織のNo.2以下の部下達、そして2代目以降の会長は 通常の統計どおりにばらけているか、あるいは非常に均整のとれた容姿を誇っているのである。 例を挙げれば 連合生徒会 始会長・政 蒼天学園 校祖 劉邦 蒼天学園 光武サマ 劉秀 は全員、“のっぺり”した体型、ぶっちゃけた話“ぺた”であったらしい。 それに反して、劉邦と最後まで覇権を争った項籍、勢力を警戒されて粛清された韓信、黥布、彭越は全員非常に魅力的な体型をしていたという。 男性でも、シーザーは若禿が入っていてナポレオンが小男と外見上のコンプレックスをもっていたことを考えると、人生妙なところでバランスが取れているのかもしれない。 現在でも“神聖Aカップ同盟”という秘密同盟があるが、そもそもの起源は政や劉邦が過去の因縁を忘れて肝いりで作った“洗濯板同盟”である。皇帝の高貴な容貌のことを”龍顔“というが、蒼天学園においては伝統的に蒼天会会長の容姿を”龍体“という。龍体=流体、つまり流体力学上抵抗の非常に少ない理想的な形、というひどい駄洒落から来るネーミングである。 なにはともあれ、位人身を極めた面々にとって、公私を問わず日常生活において外観上の理由で不快感を覚えるのは堪える物が有ったらしく、日常生活上の側近という形で“女性らしさを自分以上に感じさせない”者たちをパシリとして使ったのが“カムロ”の始まりといわれている。 “カムロ”即ち“禿”で、そもそもは平家が間諜として用いた髪を短く切りそろえた少年をさす言葉である。 蒼天学園では、 1.髪を“おかっぱ”といっていいショート・ボブまで切り詰め、 2.少年と見まがうばかりに胸がない、ブ○ジャ○いらずの 者が該当した。 最初は何らかの不始末をしでかした者のうち、2に該当するものが“焼きを入れる”ということでリンチまがいに女の子の命である髪を短く切られ、ブ○ジャ○なしかサラシのみの着用に制限され、“カムロ”になっていた。なお、この刑を女性にとって恐怖の刑ということで“怖刑(ふけい)”といっていた。 彼女たちは、そもそもが処罰者ということで能力を必要とする実務上の権限を初めは全然持たされていなかったのだが、形式上とはいえ最高権力者たる蒼天会会長にもっとも近い位置にいて連合生徒会との連絡・調整役を勤めるようになったことからだんだん権力を身に帯びるようになってきた。この風潮は悪化し、後には蒼天学園内で権力を手っ取り早く掴む方法として、蒼天学園の学生としての3年間、 “女性”としてのおしゃれは日常でも厳禁というデメリットにも関わらず自ら“カムロ”に志願するものもでるようになった。事実、曹操が実姉のようにしたった従姉妹の曹騰も志願した“カムロ”であった。 さて、話を元に戻すと、互いの存亡をかけた何進と十常侍との権力の綱引きは、情勢の判断力が決定的に不足していた両者のダブルノックアウトという形で終焉となる。 蒼天会及び連合生徒会がもはや野心に溢れた群雄に対してなんら強制力を持たないという事実はこの事件によって周知の事実となる。むしろ、この時期は、強制力と野心による反発がぎりぎりの均衡を保っており、誰かが先鞭を付けてしまえばあっさり天秤が傾く状態にあったといえるだろう。 これに気づいていた居た者は蒼天会及び連合生徒会内部にはごくごく少数しかおらず、何進と共に狂言回し的な役割を演じた者に、後に河北の巨人として知られる袁紹がいる。具体的には、独立化して強大な力を持つようになった各校区の群雄たちを十常侍達への抑止力として運用しようと考えたのである。危険を感じた十常侍は一発逆転を掛け、詫びをいれるという名目を立てに何進を彼女らの本拠地たる洛陽本部棟へおびき出し始末することを計画する。うかうかと乗ってわずか数名の随員と共に洛陽本部棟へ赴いた何進は、十常侍ら“カムロ”の闇討ちですっとばされることになった。もともと“カムロ”に嫌悪感を抱いていた袁紹は、何進のあだ討ちとばかりに反撃にでることになる。 十常侍の乱当日の袁紹の対処については以下のような記録が残っている。
256:岡本 2003/04/24(木) 03:00 ■十常侍の乱(後)■ “何進連合生徒会会長、十常侍に討たれる!”の報は洛陽棟郡全域に野火の勢いで広がっていた。数日間の連合生徒会対蒼天執行部の情勢は非常に緊迫していたこともあり、夜にも関わらず洛陽本部棟前の広場へ集まってくる学園生は多かった。にもかかわらず、便乗してそういった学園生相手に飲食系サークルが臨時店を開いているあたり、蒼天学園生のしたたかさを感じさせる。広場の片隅のオープン・カフェも時間を延長して店を開けており、情勢を見守る学園生が多く詰めていた。 袁紹本初が急ごしらえの演壇に立ち、立ち並ぶ生徒たちにむけ激を飛ばす。彼女らは連合生徒会の実働機関たる連合生徒会執行部の部員たちだ。袁紹はその恵まれた容姿と声、機知に飛んだ文句で演説達者として知られていた。ただし、オリジナリティは模倣から始まるとはいえ、その文言は借り物が多かった。 『我々は一人の英雄を失った。これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ! 十常侍に比べ我ら連合生徒会構成員の総課外点数は30分の1以下である。にも関わらず今日まで活動し続けてこられたのは何故か!執行部の諸君!我ら連合生徒会の活動目的が正義に他ならないからだ!一握りのカムロ達が中華市全域にまで膨れ上がった蒼天学園を支配して20余年、中華市に住む我々が自由を要求して、何度連中に踏みにじられたかを思い起こすがいい。連合生徒会の掲げる、学園生一人一人の自由のための戦いを、天が見捨てる訳は無い! 我らが連合生徒会会長、諸君らが愛してくれた何進は倒れた、何故だ!』 血管が数本音をたてて切れそうな勢いで熱弁を振るっていた袁紹が、聴衆の反応をみるため、そして演説にインパクトをつけるため、一息ついた。朗々たる袁紹の美声は、演壇前に集まっていた数十名の執行部員はもちろん、広場の全域に届いていた。ざわついていた広場全体がしんと静まり返る。 そのとき、オープン・カフェの片隅で、夜にも関わらずサングラスをかけ、ちゅ〜とクリーム・ソーダを飲んでいた燃えるような赤毛が印象的な小柄な生徒がぼそっとつぶやいた。 「へタレだったからよ。」 カフェにいた全員の視線が彼女に向く。その視線を気にした風も無く、再びストローを口に咥えた。 ちゅーーー、ズズズズズッ! 格好をつけたものの、クリーム・ソーダが既に無くなっていたことに気づかず、間の抜けた音がカフェに響く。バツの悪い空気が流れた…。 「だからええ格好しぃはやめろっていったろう、孟徳!」 「ここでやらずして何がお約束よぉ〜!」 相席していた片目に眼帯をつけた大柄な生徒が顔を真っ赤にして、すみません、すみません、と周りに頭を下げて小柄な生徒をひきずっていく…。 “なにをしたかったのかしら、孟徳は…。” 少々毒気を抜かれたものの、予定どおりに袁紹は演説を続ける。 『・・・学園内の混乱はやや落着いた。諸君らはこの混乱を対岸の火と見過ごしているのではないのか?しかし、それは重大な過ちである。十常侍に代表されるカムロ達は唯一絶対の犯すべからざる蒼天会会長を擁して生き残ろうとしている。我々はその愚かしさを十常侍の万札章所持者達に教えねばならんのだ。何進は、諸君らの甘い考えを目覚めさせるために、倒れた!勝負はこれからである。我々の体制は復興しつつある。十常侍とてこのままではあるまい。諸君の母も姉も、彼女らカムロの無思慮な抵抗の前に倒れていったのだ。この悲しみも怒りも忘れてはならない!それを何進は自ら連中の矢面に立つことで我々に示してくれたのだ!我々は今、この怒りを結集し、十常侍に叩きつけて初めて真の勝利を得ることが出来る。この勝利こそ、階級章剥奪者全てへの最大の慰めとなる。蒼天学園生よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ学園生!生徒会は諸君等の力を欲しているのだ。Victory for Students!』 拳を突き上げ気勢を上げる袁紹にまずはサクラの袁術が、そして息のかかった執行部員達が呼応して喚声を上げる。広場に様子を見に来ていた連合生徒会とは直接関係のない生徒たちも、雰囲気に呑まれたのか徐々に気勢を上げる面子が増え、ついには喚声が広場全体に響き渡り洛陽本部棟を揺るがせた。 “よしっ、正義は我にあり!” 「蒼天学園の勇者達よ!いまこそ“カムロ”を一掃し、学園に秩序を取り戻すのだ!門を開けよ!」 身の軽い者数名が本部棟正門を内側から開けんと、素早く塀を乗り越える。 まさか強行するとは思っていなかったのだろう、正門に警備兵はおらずすんなりと門は開いた。 竹刀を手にした袁紹を先頭に本部棟敷地内へ執行部員達は雪崩れ込んだ。 目指す本部棟の入り口には流石に警備兵がおり、突然の乱入者に色めき立った。蒼天会所属の警備兵は儀礼的意味合いが強く(どこの国も近衛師団は最弱)生徒会執行部員には及びもつかないが、騒がれると面倒である。自身で制しようとした袁紹を抑えて、鉢巻を締め白襷を掛けた袁術が稽古用薙刀を構えて進み出る。 「わたくしたちの路を遮るとおっしゃいますの?袁家の路を阻むなど、身のほど知らずもいいところですわね。」 薙刀が袁術の頭上でひゅんひゅんとうなりを上げたとみるや、刃と石突が警備兵の脛を連続して薙ぎ払う。たまらず転倒したところを留めと肩を打ち据えられ、あわれな警備兵は失神した。 お嬢様芸とはいえ、見事なものである。打ち倒した警備兵を尻目に快哉をあげる。 「いいですこと?わたくしの字は公路。わたくしの歩いた後に路はできるのですわ、おーほっほっほっ!」 妹の高ビーぶりに額を押さえたものの、袁紹は気を取り直して指示を下す。 「行けぃ!突入せよ!蒼天会会長を“カムロ”どもに渡してはならん!!」 袁紹の号令と共に、喚声を上げて執行部員達は本部棟へ乱入した。“カムロ”達と執行部員達との乱闘いや、戦闘力において遥かに勝る執行部員による一方的な“とばし”が随所で発生した。怒号と悲鳴が木霊し、蒼天学園の中心地たる洛陽本部棟は戦場と化した。 この時、洛陽本部棟には“カムロ”以外にも残務整理等にあたっていた蒼天会事務系生徒達が数多くつめていた。“カムロ”達は余り連合生徒会実働部員との接点が少なく、十常侍のような高位階級者ですらあまり顔を知られていなかった。 カムロの特徴は上に述べたように、 その1:“おかっぱ”と言っていいほどのショートカット・ボブ。 その2:実際にあるかないかは別にして、外観上は“ぺた”。下着は無しかサラシ。 必然的に、ショートカットで、“ない”者たち=“カムロ”と見なされ、該当者は実際にカムロであるかどうかに関係なく次々に捕捉され、階級章を剥奪された。 突入隊が外観だけを頼りに見境無く捕捉していることは直ぐに判明したため、この難を乗り切った“カムロ”でない該当者たちには、拘束されかかると前を開いて、「ないけど、ブ○着けてる〜!!」という涙混じりの屈辱的宣言を余儀なくされたものも多かったという…。 他の“カムロ”の面々が見事何進を屠ったという事で勝利確定と暢気に祝杯をあげていたなか、十常侍の事実上リーダーたる張譲は少しは連合生徒会内部の力関係が見えていたのか部下を本部棟入り口に貼り付けていた。急報で袁紹・袁術姉妹率いる生徒会執行部員の乱入を察知するや、かねてから用意していた付け髪と夜食の肉饅頭2個で偽装し、勝手知ったる洛陽本部棟の最短距離を疾走した。 “会長さえ押さえれば、まだ交渉の優位はこちらにある。” 半分寝入りかけていた現蒼天会会長・劉弁と従姉妹の“陳留の君”劉協を、突入隊が会長室に到達する前に確保することに成功。事態がつかめず、蒼天会会長の所在を吐かせようと本部棟の最深部まで突入してきた袁姉妹らに次々にとばされる他の十常侍や“カムロ”を見捨てて数名の側近と共に裏口から逃走したのだが…。洛陽棟の郊外で手ぐすね引いて待っていた涼州の餓狼の顎に落ちることになる。 袁紹は強硬手段をとることで、連合生徒会の天敵ともいうべき“カムロ”集団を一時的に駆逐することには成功した。とはいえ、犬を追い出して餓狼を招き入れ蒼天会と連合生徒会を共に飲み込まれる結果を導いてしまった。蒼天会と連合生徒会が餓狼から開放され暗黒時代に終焉を迎えるには更に数ヶ月の日数を要することになる。
257:岡本 2003/04/24(木) 03:04 >ぐっこ様 改装、お疲れ様です。 ダンパのほうがちょっと行き詰ったので、ちょっと”Aカップ同盟”で思いついた 小ネタで書いてみました。 表現が適切でない可能性がある場合、削除していただいて構いません。
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