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34:玉川雄一 2002/02/15(金) 22:54 ◆まじかる☆イリュージョン◆ 番外編・仲達の愛犬万歳! さて、司馬懿には春華という愛犬(土佐犬)がいた。 その出自は、山濤の実家からもらわれてきたものだという。 どういうわけか司馬懿に「だけ」はよく懐いており、 かつて司馬懿が曹操のスカウトに対して仮病を決め込んでいたとき、 それをチクろうとした生徒に噛みついたという伝説すらある。 だが、その反面他人にはとことん愛想が悪かった。 司馬懿の超然とした態度とも相まって、飼い主に似たのだという声が囁かれていた。 そしてまたこの春華は贅沢なことに軟らかく煮た鶏の肉しか食べないというのである。 噂では、生徒会特別顧問たるあの司馬懿が門限間際に寮を飛び出し、 近所の深夜営業のスーパーに駆け込むこともしばしばだという。 「フン、同じ“イヌ”同士、気が合うってことでしょ?」 曹爽は小馬鹿にした様子でそう語ったという。 生徒会という「主」に(少なくとも表面的は)忠実ではあるが面白みもなく、 煙たい存在である司馬懿を揶揄したのである。 だが、それを伝え聞いた司馬懿は相変わらず動じた風もなく、 「どちらが狗かは、いずれ分かること…」 と呟いただけであった。 そして、司馬懿はまさしく狗の皮を被った狼だった。 生徒会を掌握して奢る曹爽一派にクーデターを起こすと役職の返上を勧告したのである。 この時、桓範は曹爽を諫めた。曰く、 ここで弱みを見せれば、必ず司馬懿は容赦ない処断を下すはずだ。 職務権限を発動して、司馬懿を打倒するべきである、と。 しかし、曹爽はその言葉には従わなかった。 おとなしく引退して生徒会OBとして残りの学園生活を送れるのならそれで構わない、と言うのである。 桓範は天を仰ぐと悔し涙に暮れた。 「ああ、曹子丹は立派な人だったけど… その妹たちは、豚や犬にも及ばないのね! こんな奴に連座することになろうとは、夢にも思わなかったわ…」 かくして、曹爽一派はことごとく階級章を剥奪された。 司馬懿は曹爽に替わって生徒会長の地位を提示されたが、固く辞去したという。 これを本心と見るか、パフォーマンスと見るかは意見の分かれるところだろう。 だが、少なくとも彼女はやがて訪れる妹達の時代へと続く、強固なレールを敷いたのである。 その心の内を余人が推し量るのは至難の業ではあったが、 司馬懿は今日も今日とて春華のために鶏肉を煮るのだった。
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