★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
453:岡本2004/04/20(火) 18:37
■ 邂逅 ■(2)

尋問内容:
“3年前の3月3日 幽州校区涿地区ピーチガーデンであったことを証言してください。”

証言その1:赤パーカーと眼鏡着用の張り扇娘
「3年前なぁ、あの年は暖冬で桃の開花が早かったから桃の節句に花が咲いたっちゅうんでピーチガーデンに翼徳とバイトついでに花見に行ったんは覚えとるわ。もうひとりいたような気もするけどな…。そうそう、行った先でたまたま関さんに会うたんやった。“関さん”って呼び出したのもあの日からやったなぁ…。せやせや、関さん昔から年の割りに落ち着いてて貫禄あるから、てっきり上級生と勘違いしてもうてなぁ〜。」
韜晦が巧みなのか、大事な情報は多いものの直接関係のある証言はどうしても引き出せず。ゆさぶればゆさぶるほど脱線するようにも思えたので尋問は中断。

証言その2:長身の美髪嬢
「…私が蒼天学園に入学した日ですね。私は姉者や翼徳に出会い、共に蒼天学園での3年を過ごそうと心に誓いました。それで充分ではないでしょうか。」
核心は突いてるがあまりにも漠然に過ぎる。取り付く島もなくこれ以上の証言は引き出せず。

証言その3:スタイル抜群の格闘娘
「う〜ん、先週の宿題の内容忘れてるアタシが3年も前のこと覚えてると思うか?いや、そこで頷かれるとなんか腹立つんだけど。…あのときから姉貴たちにはほんと頭あがんねぇんだけどな。でも今やったら…。あ、やべ、姉貴や関姉には言うなよ。」
忘れた振りをしているのか本当に忘れているのかが判明しないところもあるが、何かをごまかそうとしているのは確かである。だが、釘を刺していたのが義姉二人らしいので尋問は断念。

はっきり“誓い”が成されたかは証明されなかったものの、3年前の3月3日に幽州校区涿地区ピーチガーデンの桃の花見で3人が出会ったことは間違いない。

興味深いのは劉備の「もうひとりいた」という発言である。
劉備新聞部の最初期メンバーは劉備玄徳、関羽雲長、張飛翼徳、簡雍憲和であるが…。
「この中にそのもう一人がいるのよね…。しかも見方を変えると2人…。」
ケース1:簡雍憲和
簡雍は劉備の幼馴染であり、劉備との縁はもっとも長い人物のはずであるが“ピーチガーデンの誓い”は3人姉妹である。
ケース2:関羽雲長
劉備、張飛、簡雍の3名とも蒼天学園の本籍地といってよい最初の登録は幽州校区涿地区内である。関羽の本貫は司州校区河東地区解棟である。このときが初対面だった可能性もある。

が、“もう一人”が関羽だと後の証言に繋がらないし、ピーチガーデン“3姉妹”である事実との矛盾が説明できない。
「…ここらあたりの矛盾に証言がはかばかしくない答えがありそうね…。」
その答えをくれそうな人物は法正に片付けの仕事を任せてサボっていた。

確かに重要人物の一人であることには間違いないが、うかつにつつくと何が出てくるか分からないのと、成都棟開放を除けばあまりにも蒼天学園の公務には関わってこなかったので誰もが尋問をスルーしていた人物でもある。彼女に尋問できる人物はごく限られている。ピーチガーデン3姉妹と諸葛亮、つきあいのある運営庶務三羽ガラスのあと二人である糜竺と孫乾を除けば法正しかいない。
「…どーした、孝直、仁王立ちになって。」
「どーでもいいわよ、キリキリ白状なさい!3年前の3月3日、何があったか。あんた知ってんでしょう!!」
「おいおい〜そんな昔のこと覚えてるわけ…。何、その右手で高々と差し上げた如何にも重そうなアルバムは?」
「いや、ショック療法してあげようかと…。」
にこやかに微笑みながらアルバムを振りかぶる法正に、流石に粘る限界を感じたのか簡雍は内心はともかく急いで寝転んでいたところから起き直った。これを見てとばかりに突きつけられた一枚の写真に、ほぉと目を丸くする。
「…しっかし、よくこんな写真見つけたよねぇ〜、アタシ自身今見せられるまでふと忘れてたのに…。」
あやしい。今の3姉妹の株を考えれば正統的に金を儲けられるこんなお宝写真を撮ったことを簡雍が思い出さないはずはない。何かしら忘れたあるいは積極的に忘れたがっていた理由があるはずである。
「…話してもらえるわよね、何があったか。劉備新聞部の最初期メンバーのあんたが知らないはずはないものね…。」
予想はできるが、この相手は転んでもただではおきない。
「じゃあ、対価は片付け全部やってくれるということで…。」
「うぐっ、多すぎ!せめて3分の1!もともとあんたの仕事なんだから!」
「誰も知らない情報なんだからねぇ〜。3分の2!」
「半分!これ以上は負けられないわよ!!」
「…ま、そこで手を打ちますか…。」
意外にすんなりと商談成立。
「...(ひょっとして謀られた?)…。」
なんとなく納得のいかない表情をしている法正に、簡雍が写真を見ながら思い起こしつつ話したのは次のような内容だった。

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1-AA