★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
479:玉川雄一2004/05/01(土) 21:51
 ★ その3・仁義なき戦い“潁川死闘編” ★

アタシは親戚がいっぱいいるんだけど、おなじ潁川の鍾氏なんかは家族ぐるみで色々お付き合いがあるの。
ウチの文若(荀彧)従姉さんや公達(荀攸)従姉さんもお世話になった元常(鍾繇)従姉さんなんか、
同じ女の子のアタシからみても憧れちゃうぐらい素敵な人で!
一緒に活動できなかったのが残念なんだけど、その元常従姉さんの妹がね…
とくに士季(鍾会)! アイツはもう天敵ね。
あのマセガキってばちょっと口が達者だからって憎ったらしいてばありゃしない… ごほんごほん!
えーと、まあともかく士季とはちょっとばかし相性が悪いっていうかウマが合わないっていうか。

で、ウチの実家にはちょっと自慢の(これは自慢していいわよね)ルージュがあるんだけど。
母さんが愛用してて、自然な感じなんだけど自己主張も忘れないっていうか、
よくぞこの色を選んだ! みたいな逸品なわけ。それをあの士季が目を付けてね。
まったくどこで覚えたのやら(※『学園世説新語』第四話参照)使ってみたい、とか言い出したのよ。
当然、そんなこと許すつもりはなかったんだけど…
士季ってばあろうことかアタシの筆跡を真似て手紙を偽造すると、母さんの所から取り寄せちゃったの!
信じられる!? それで本人知らんぷりして返そうとしないんだから腹が立つったらありゃしない!
だいたい騙される母さんも母さんよ! いくら身内(実は母さんは鍾氏の出身なの)だからって、
実の娘の筆跡を偽造されても気付かないなんて… それだけアイツの腕前が立つってことなんだけどね。
それどころか、母さんってば『士季ちゃんにもちょっと貸してあげればいいじゃない』なんて、
あーもう姪には甘いんだから! マセガキの得意げな顔がちらついて堪らないわ。

で、他人の助けは借りられないと、アタシはひとりでも戦うことを決意したの。
突然だけど、アタシは絵の方もちょっと心得があってね。美術部と漫研からスカウトされたこともあったっけ。
その線で行こうと決めたところにちょうどいい突破口が開いたってわけよ。
士季とそのすぐ上の姉の稚叔従姉さん(鍾毓。まあこの人には個人的な恨みはないんだけど)が、
寮の部屋を改装したの。二人は今の部屋からそこに引っ越す予定らしくて、
アタシもチラリと覗きに行ったんだけどあなたそりゃ実家じゃないんだからって程の豪華さだったわ。
そこでアタシはちょいと筆を振るったわけなんだけど、元常従姉さんの絵を描いたのよ。
ほら、学長室に歴代の学長先生なんかの肖像画とか飾ってあるじゃない? あんなやつね。
自分で言うのもなんだけど、そりゃもう従姉さんが現役だった頃の姿が浮かぶ様なほどの出来映えだったわ。
それを例の部屋の壁にひっかけといたら、もうクリーンヒット級の大当たり!
引っ越してきた二人がそれを見て、元常従姉さんのかつての姿を思い出しちゃったみたいなのよ。
ほら、あの娘たちってば元常従姉さんにベッタリだったでしょう?
まあ元常従姉さんの方も姉バカっていうくらいに二人を可愛がってはいたんだけど。
で、あの二人こんな部屋にいると元常従姉さんを思い出しちゃって耐えられない、ってんで
引っ越しは取りやめにしちゃったんだって! 士季のヤツに一泡吹かせたと思うとせいせいしたわ。

それであの娘も懲りれば良かったんだけど、相変わらずだったわね…
アタシたち身内同士の話で済んでいればまだしも、他人様にまで迷惑かけちゃあおしまいよ。
益州校区に遠征して帰宅部連合を解体した後、また手紙を偽造して鄧艾先輩を陥れたあげくに
自分は姜維に焚き付けられて自立しようなんてバカな事を言いだした時には心底呆れたわね。
さすがのアタシもかばうにも限度があるし、
ヘタするとアタシ自身があの娘の身内だからって疑われかねなかったから
心を鬼にして司馬昭会長に彼女の討伐を進言したわ。
まあ何とか大事に至らず済んだけど、とばされた士季は自業自得よね。
ちなみに例のルージュなんだけど、士季がリタイヤして退寮になったとき、私物整理の際に取り返してきたわ。

まったく、こんなご時世に大それた事なんて考えるものじゃないわよね。
アタシはお陰様で今の蒼天会でいいポジションをもらってるし、うまいことやってみせるわよ。
潁川荀氏の看板も使いよう、ってね。
さて、と。最近茂先(張華)が何かとうるさいからしっかり相手してやらなくちゃね…

 おしまい
1-AA