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496:takahisa 2004/08/12(木) 18:12 [mail@takahisa.net] ― 曹操の涙 中編 ― 「待ったーーーーーッ!」曹操が叫ぶ。郭嘉と郭嘉の両親が辺りを見回す。やがて、空を見上げると…。 ズッドーン! …ギリギリセーフ! 郭嘉の両親は驚きで顔面蒼白になっているが、郭嘉はいたって普通の様子であった。 この学園では何が起きてもおかしくないと、身をもって学んでいるからだろうか。 …バイクを降りると曹操は一直線で郭嘉の元へ走った。「会長…見送りか?」と、いつものように郭嘉は言う。 「そう…見送りよ…うっ…」いつの間にか、曹操の目には涙が浮かんでいた。反応に困る郭嘉。 少し離れたところで見守る夏侯淵。いつのまにか曹仁を先頭にピンクパンサーズも到着していた。 「それよりも…」郭嘉の一言に曹操が顔を上げた。「『これからは会長にもラクさせてやれるよ』…って言ったけど、嘘になっちまったな…。許してくれ」と頭を下げた。 「いや…もういいよ…今はゆっくり休んで…また、私と一緒に…」曹操の一言に、郭嘉は首を縦に振った。 「当たり前だ。またもう一度、会長のために働くよ。ちゃんと待っててくれよ?」二度三度と曹操は首を振る。 郭嘉の両親が、郭嘉の耳元で何かを呟く。「わかった」と郭嘉は答える。 「すまん、会長。もう行かないと…」すまなさそうに郭嘉が言う。曹操は右手をポケットに突っ込み、何か探しているようだ。 「あ、あった…。郭嘉、これ!」曹操が差し出した右手には、古いお守りがあった。曹操がいつもポケットに忍ばせていたお守りである。 曹操がどんな危機に陥っても、このお守りを握っていればどうにかなったという、結構有名なお守りである。 「大切な物だろ?預かってていいのか?」郭嘉が問う。「大切だから預けるの…。ちゃんと…返しに来てね…」 まだ半泣きの曹操の発言を聞いて、郭嘉は笑い出した。「ハハハ、嬉しいな!それだけ私は信頼されてるんだな!…何があっても返しに来るからさ、ちゃんと待ってろよ?」 そう言いながら郭嘉はお守りを曹操から受け取り、握り締めた。 「そんじゃ…会長の武運を祈ってるぜ」といいながら、車に乗り込む。 車の窓を開け、曹操に向かって手を振る。 「んじゃ、会長…元気でな!また帰ってくるからさ!…夏侯淵も曹仁も、見送りありがとな!」夏侯淵と曹仁にも手を振る。 「ああ…。お大事にな。」と夏侯淵。「また来いよ!」と曹仁。 車の窓が閉まり、車が走り出す。 「よーし、みんな!郭嘉を見送るわよ!…ミュージックスタート!」頬の涙を拭い、曹操が言った。 とたんに、司隷特別校区中に生徒会の突撃行軍歌が流れ出す。曹仁の指揮でピンクパンサーズのバイク部隊が郭嘉の乗る車を囲む。 そしてだんだんと野次馬が集まり、辺りは「英雄の出陣」という感じになってきていた。 「♪誇り高き学園の為に 命を賭けて敵を討て ♪胸に黄金の勲章をつけた勇者を 皆で称えよ我等が連合生徒会…」 「ヒュー、突撃行軍歌で見送りか…まるで英雄気分だな…」 外を見ながら郭嘉は呟いた。その右手には曹操から贈られたお守りが握られている。 空は素晴らしい蒼に染まっていた…。
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