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556:北畠蒼陽 2005/02/10(木) 16:34 [nworo@hotmail.com] 蒼天会…… 正式には『夏学園都市女子高等学校連合生徒会代表会議』。校祖である劉邦からはじまって以後、数十年もの伝統をもつ組織。 学園の学園であるための象徴的組織、そしてその頂点に……5万余にも及ぶ学生たちの頂点に君臨する存在こそ蒼天会長であった。 次期蒼天会長、ということは…… 曹騰は前を歩く劉保のあとをとぼとぼ歩く。 その後ろを牽制するように歩く梁商が怖いわけではない。 梁商のことは多少しか怖くない。 それよりも…… ぴたっ、と劉保が足を止めた。 びくっ、と曹騰も足を止める。 「なんで……隣を歩いてくれないんですか……?」 劉保の声は悲しみに満ちていた。 しかし曹騰にとってはもう取り繕うだけで精一杯である。 「え、いや、だって、ほら、次期会長サマの横を歩くなんて恐れ多い……」 「サマなんて呼ばないでッ!」 曹騰の言葉を切り裂くような劉保の悲鳴。 曹騰は梁商と一瞬、顔を見合わせる。 「季興さん……私のことを呼び捨てにしてくれたじゃない……それははじめてのことで……とても嬉しかったのに……」 劉保は泣いていた。 「いつだってみんな私のことを知っていた……だからなにも知らないでいてくれたあなたのことがすごく嬉しかった……でも、もうそれもおしまい」 歌うように呟く劉保。曹騰もカムロであるから差別を受けてずっと生きてきた。 無視される辛さはこの身に染みているはずだ、なのに……今、自分が劉保を傷つけてしまった…… 「ごめん、劉保」 悲しみに彩られたその口調に償いの言葉はすんなりと口の端に乗せられた。 この子を悲しませるくらいなら地獄の業火に焼かれてしまえ、とそう思った。 「申し訳ありませんでした。次期会長がそんなことを思い煩わされていたとは露知らず……しかしわたくしはもうずっとこの態度で慣れてしまいました。いずれお名前を呼び捨てにさせていただきますので今はこれでご勘弁を」 梁商も首をたれる。 「曹騰さん、さっきはごめんなさいね」 首をたれながら梁商は曹騰にもそっと呟く。 いいひとなんだな、と曹騰は漠然と思った。 「ホントにごめん。もうサマなんて言わない。ごめんね」 曹騰の言葉に劉保はようやく涙を流しながら笑顔を見せた。 「今度、サマなんて言ったら絶交、ですよ……」
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