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572:北畠蒼陽 2005/02/18(金) 13:18 [nworo@hotmail.com] 蒼天会長、安サマの治世はおおむね平穏に過ぎていた。次期蒼天会長である実の妹、劉保もおり、後継も万全と言えるだろう。 しかし安サマは小、中等部の頃から英才教育を受けてはいたもののまだ学園の裁量を取り仕切るには力量不足であり、先々代蒼天会長、和サマの頃からの副会長、搴Mが実際の政務を取り仕切っているのが現状であった。 搴Mは成績向上を推進し、また蒼天会内部の経費節約につとめた。 だが匈奴高校をはじめとする他校とのトラブルが絶えず、完全に安定している、とは言いがたい。 しかしそれらは対外的な問題であり、搴Mの欠点ではない。 搴Mにはただ一点、本当に困った面があったのである。 一般学生の前には決してその姿を現さなかったのだ。 先々代蒼天会長のパートナーであり、優秀な学園都市の牽引役ともいえる彼女はそれだけで学園のアイドルとも呼べる存在であったが、姿を表さなかっただけでミステリアスというよりも不気味さをまとい学生を引かせてしまった観は否めない。 一般学生の前に姿を現さなかった、ということは一般学生と彼女との橋渡しをする役目が当然のように必要になってくる。 それをおこなったのが蒼天会秘書室のカムロたちであった。 これによってもともとただ蒼天会の事務を司り、ハンコを捺すだけの庶務部署であったはずの秘書室は権力を増大させていったのである。 「……へぇ〜、そうなんだぁ」 「そうなんだ……って」 梁商が困ったような顔で曹騰を見る。 現在の蒼天学園についてあまりにも無知すぎる曹騰に現状を教えようとした梁商は眉を八の字にした。 「曹騰さん……一流に近づきたくてカムロになったのではなかったの?」 「うん、そうだよ」 屈託なく答える曹騰。 「……だったらなぜカムロが一流に近い位置にいるのか、ということを知らなかったのはなぜ?」 「知らないものは知らないよ〜」 知ろうとしろ、と思ったが口には出さない。 「仕方ないですよ、梁商さん。季興さんはまだ司州に到着したばかりなんですから」 劉保までも曹騰にフォローを入れてくる。 到着したばかり、なのが問題ではなく到着するまでに下調べをしておかなかった、ことが問題のように思えるのは梁商の考えすぎだろうか。
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