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573:北畠蒼陽 2005/02/18(金) 13:19 [nworo@hotmail.com] 翌朝、曹騰は眠い目をこすりながら劉保の後ろについて歩いていた。 梁商はいない。 彼女は彼女で忙しいのである。 「劉保〜? どこいくの〜?」 あくびをしながら声を出すので『ううほ』と聞こえた。 「えぇ、これから季興さんには私と一緒にあるひとにあってもらいます。忙しいひとですからあまり時間は取れませんでしたが」 忙しい、と言っても劉保ほどではないはずである。 しかしだからといってあんまり偉いひとにあって、その目の前で劉保のことを呼び捨てにしてもいいもんだろうか…… 昨日、竹刀を目の前に突きつけられたばかりだし…… 曹騰が控えめにそれを劉保に伝えると劉保はしばらく考え、そして笑いながら言った。 「大丈夫だと思います。あのひとは大雑把なひとですから」 大雑把なひと、って…… 「それに……どんな場所であれ、私にサマなんてつけて呼んだら絶交ですからね」 悪戯っぽい表情。 曹騰は苦笑しながら素直に両手を挙げて降参の意思表示をした。 劉保より忙しいひとはそうはいない。 それは正確な言葉である。 次期蒼天会長である劉保が忙しいことについてはなんの異論もないからだ。 しかし『そうはいない』ということは『まれにいる』ということの裏返しである。 曹騰は緊張にこわばった顔でそのひとを見た。 背は曹騰より少し高いくらいだろうか。曹騰自身の背がかなり低いので彼女も世間一般的に見てもそれほど身長があるわけではない。 一見すると美人、と言っても差し支えないような顔つきだが目つきは鋭く、一概に美人と呼ばれることを拒否しているようにも見える。 髪は後ろでゆるく三つ編みを結んでいる。 そしてその胸に光るのは一万円札階級章。 蒼天会副会長、搴Mの実の姉であり連合生徒会会長、晁ォ。 超オオモノであった。 「晁ォ会長、ご無沙汰しておりました」 劉保が優雅に一礼する。 その瞬間、ずっと睨むような表情だった晁ォの顔に笑みが広がった。 「よ〜。どうだった、次期会長。体とか壊してねぇ?」 けらけらと笑う。 気難しいひとかと思ったら、ただのとらえどころのないひとだったようだ。
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