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583:北畠蒼陽 2005/02/28(月) 16:40 [nworo@hotmail.com] -Sakura- 第6話:雨情枝垂 「はぁ?」 人を小ばかにしたような表情と態度に曹騰の怒りが急速にたまっていく。 江京…… 蒼天会秘書室長。 良識人であり、学園の総鎮守たる搴Mが現役だったころにはカムロも常識人、と呼べる人間ばかりが登用され、江京は歯牙にもかけられないような小物であったが今では…… その蒼天会秘書室長が…… なぜこいつがこんなところにいるのか。 病気療養のために引退した……そのはずの安サマの病院の前にこいつがいるのか。 あまつさえ…… 「安サマがあんたがたのような下賎の人間にお会いになるわけがないでしょう?」 ……きれそうになる。 一歩前に出……ようとして劉保に袖口をつかまれて止められた。 「季興さん、だめです」 ちょっと涙目。出ていけない。 「あらあら。負け犬同士、仲のよろしいこと」 おほほ、と笑う。 似合ってない。 というかむかつく。 「あんたになんでそこまで言われなきゃいかんのか理解しかねるとこはあるけど、それはともかくなんであんたに一個人の見舞いの面会の可否まで許可を取らなきゃいけないんだ」 曹騰は額に青筋を浮かべながら精一杯丁寧な言葉で言う。 言い方は丁寧ではないが、普通だったら怒鳴り散らしてる。 そういう意味では十分丁寧。 「はッ」 しかし曹騰の内心の葛藤もむなしく江京は鼻で笑う。 「バカじゃない? 今の私は秘書室長様なわけ。つまりあんたがたのようなゴクツブシよりもはるかに偉いわけ。もう雲泥なわけ」 『雲泥』を『ウンディー』と発音するところがまたむかつく。 「あんたがたのようなザコと話してたら気品が腐るわ」 おほほ、と笑う。 それにこいつに気品なんてない。 断じてない。 「だめです、季興さん。いけません」 肩口で劉保の声がする。 どうやらそうとう力が入っていたらしい…… 劉保のほうがもっと怒っていいはずなのに…… 「そうそう、済陰の君閣下。そうやって権力者におもねっておけばいずれは中央に戻ることができるかもしれませんよ……気が向けばねぇ」 ふん、と笑う。 むかついた。
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