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613:海月 亮 2005/03/16(水) 21:21 「てめぇら、準備はいいな?」 「オッケー、何時でも往けるぜ、リーダー」 目印に羽飾りをつけた鉢巻を身に付けた、"銀幡"軍団は合肥棟入り口正面の草陰に潜んでいる。 「よし…先ずお前、ブレーカーの位置はわかっているな?」 「もちろん、任せといて下さいよ!」 「おう…行けっ!」 甘寧の指示を受け、少女は物影から物影へ駆けていく。 「よぉしお前ら、電源が落ちたら…解ってるな?」 少女達が頷く。 「…あと、承淵」 「! あ、はいっ、なんですか先輩っ」 唐突に名を呼ばれ、ちょっと面食らった丁奉に、甘寧はなにやら耳打ちする。その内容に、少女は目を丸くした。 「えええ! 本当にやるんですか!?」 「たりめーだ、戦利品も必要だからな。それを奪われたとあっちゃ、奴等の面目丸つぶれだぜ? 奴等の目は俺たちでひきつけるから安心しな」 暗がりだが、他の少女達も「任せろ」と言わんばかりに親指を立てているのが解る。丁奉も、俄然やる気になった。 「…解りました、必ず取って来ます!」 「よし、いい返事だぜ…ん!」 その瞬間、合肥棟は暗闇に包まれ、少女達の悲鳴が上がる。 「行くぜ野郎共、目に物みせてやれッ!」 甘寧以下、"銀幡"選りすぐりの猛者たちは、怒号とともに合肥棟へ突っ込んでいった。 「敵だ! 敵が侵入ーッ!」 瞬く間に合肥棟内は大混乱に陥った。日もどっぷり暮れた午後七時半、終了間際のロスタイムを狙っての奇襲はまんまと図にあたり、合肥棟守備軍は次々に同士討ちを開始する。 執務室の曹操も大慌てだった。 「もうっ、何だよいったい!? いきなり停電ってどーゆーことだよっ!」 「…多分…ブレーカーを落とされてる…」 「んなこたぁわかってるっつーの!」 傍らに立っていた司馬懿の呟きに、鋭くツッコミをいれる曹操。気にした風もなく、何かの気配を敏感に感じ取った司馬懿はぼそっと呟く。 「会長…誰か、来る」 「無視すんなー…って、えっ?」 曹操も気付いた。執務室の前に、人の気配を感じる。 「誰? そこに居るのッ!」 「…いよぅ会長サン、気分はどうだい?」 「!」 扉の前に居たのは言うまでもなく甘寧。曹操は怒気を露に、かつ静かな語調で言う。 「なめた真似してくれるじゃん…どうせ執務室(このなか)が手薄だってコト、知っててやってるんでしょ?」 「さぁ…どうだかねぇ?」 お互い暗闇の中で、しかも扉越しだったが、お互いどんな顔をしているのかはよく解っていた。 そのまま、どの位経っただろうか。その雰囲気に場違いなくらいの軽い足音と、明るい声が響く。 「せんぱ〜い、例のモノ、手に入りましたよ〜! あと、残ってるのあたし達だけです!」 「おしッ、良くやった! じゃあな会長サン、俺たちゃこれでずらからせてもらうぜ!」 「…! ちょっと、待ちなさいよぅ!」 慌てて執務室を飛び出す曹操。開け放たれた窓から階下を覗けば、其処には既に走り去る少女達の姿しか見えない。良く見ると、一人の少女が何かを手に持っている。街頭の下、その正体が見えると曹操は絶句した。 「…んな!」 「…蒼天生徒会の生徒会旗…」 その時、電源が復旧する。時計は既に八時を指していた…。 甘寧が10名で奇襲を敢行した翌日。 「ほい、コイツは戦利品ですぜ。承淵!」 「はいっ、こちらですっ!」 「わぁ…!」 合肥棟から奪われてきた生徒会旗を手渡され、満面の笑みを浮かべる孫権。それを見ると居並ぶ長湖部幹部、主将達も感嘆の声を挙げた。ただ一人、隅っこで面白くない顔をしている凌統以外はだが。 「すごいっ、すごいよ興覇さん!」 「こういうことやらせると、やっぱアンタは一流だねぇ…」 この間の溜飲はすっかり下がって上機嫌の孫権、その隣りにいた長湖部実働部隊総括の呂蒙も、呆れ半分にそう言った。 「しかし10人、誰一人として飛ばさずに戻ってくるなんてね」 「本当だよ〜、承淵まで連れ出してるとは思わなかったけど…」 「あったりまえですよ。暗がりを利用して押しかけるなら、少人数のほうが却って安全なんですよ。それにコイツにも、どんどん経験を積ませてやらなきゃいけねぇし」 甘寧はそう言って、傍らの少女の背を軽く叩いた。 「まぁ、そういう事解ってそうだったから止めなかったんだけどね。とはいえ、お見事だわ」 「いやぁ…」 呂蒙の言葉に、普段は不遜な甘寧も少し照れたようだった。 だが、沸き立つ長湖部幹部・主将陣の片隅、それを眺めながら凌統が悔しそうに歯軋りをしていたのを、甘寧と孫権は見逃さなかった。 (続く)
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