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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
655:北畠蒼陽 2005/06/14(火) 17:56 [nworo@hotmail.com] 「ん〜」 少しだけ考えて…… 「よし!」 王昶はパシンと両の頬を自分で叩き気合を入れる。 このあたりの切り替えの速さは名将の素質といえるだろう。 そのままアウトドア用の折りたたみいすに前後逆に座り両の頬に手を当てたまま目をつぶって前後に動いた。 「お姉ちゃ〜ん」 不意に響くどピンクのその声に王昶はびっくりしてバランスを崩す。 そして受身も取らずにいすに座ったまま後ろに倒れ、後頭部を地面に打ち付けた。 結構いい音がした。 「……っ……っっ……!?」 後頭部を抑えてうずくまる。 これは痛いですよ、実際。 「ど、どしたの、お姉ちゃん。なにやってるの」 「な、なにやってるように見える?」 痛みがようやく引いたか、しかし涙目になって王昶は自分のことを『お姉ちゃん』と呼び心配そうに見下ろす少女……王昶の妹で名前を王渾、あだ名は玄沖という……を据わった目で見返した。 「えっと……遊んで、ないよね?」 「当たり前でしょ」 不機嫌に勢いをつけて上半身だけ起こしながら王昶は王渾を見た。 「玄沖、あんた、ここは公の場所であって私は主将、あんたはその部下なんだから『お姉ちゃん』はやめなさい。ほかのひとに示しがつかないでしょ」 「う、うん。ごめんなさい、お姉ちゃん、じゃない。主将」 王渾の受け答えに王昶は転んだせいではないたぐいの頭痛を覚えた。 「……で、なんだって?」 眉間を揉みほぐしながら王昶は王渾に尋ねる。 「うん〜。おね……主将がこれからどうするのかなぁ〜、って」 「どうするのか、って?」 王昶の反問に王渾は少し困ったような顔をした。 「う〜んと、ほら、校舎って攻めづらいから……う〜んと、なんで攻めづらいのかって説明しにくいけど……う〜。もしおね……主将が校舎をそのまま攻めるつもりなら止めなきゃって思ったの」 王渾のたどたどしい説明。 しかし悪くはない。 もしここで校舎攻め強行なんぞを提案してきたらはったおしているところだ。 「じゃ、具体的にはどうする?」 「え、う……え〜と」 そこまで考えていなかったらしい。王渾は目を白黒させた。 まぁ、いいか…… 校舎攻めが下策ってことを看破しただけでここのところは及第点としておいてやろう。 「玄沖、見ておいで。『お姉ちゃん』が戦い方を教えてあげる」 地面から上半身を起こしたままの格好で王昶は不適に微笑んだ。 施績は江陵棟の執務室で落ち着き払いタンブラーに入ったブレンドコーヒーを飲んでいた。 戴烈と陸凱の救援隊が今、江陵に向かっていることは知っていたし、諸葛融にも援軍を要請していた。 敵がある程度の能力を持っているやつらなら援軍到着前に撤退するだろうし、もしなんの取り柄もない無能モノが敵の主将なら大きい勲功を上げることが出来る。 私の役目はそれまでずっと校舎に立て篭もっておくことだけだ…… 施績は余裕の笑みでタンブラーを傾け…… 「し〜せきちゃ〜ん、あ〜そ〜ぼ〜!」 ……思わずタンブラーを手から滑らせた。 「な、なに!? なに、さっきの声は!?」 床で転がったタンブラーを踏みつけ、転びそうになりながらなんとかバランスを保つ。 「誰か状況を説明しなさい!」 取り乱した施績の言葉に部下の鍾離茂が駆け寄る。 「え、っと……説明するより窓の外をご自分で見ていただいたほうが……」 なにやら言いにくそうな鍾離茂にクエスチョンマークを頭に浮かべながら施績は窓の外を見る。 敵主将、王昶がたった1人で拡声器を持っていた。
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