★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
67:玉川雄一2002/04/01(月) 00:12AAS
(続き)

「ふわあ… おはようございます」
「おはよう、姉さん。 …はあぁ」
「二人とも、おはよう。何だか眠そうね」

翌朝。何事もなかったかのように… にしてはやや眠たげな二人の妹の様子を見て、鍾ヨウはちょっとした悪戯心を起こした。
何気ない風を装って、さらりとカマをかける。

「…あら? 稚叔、パジャマの胸のとこ、何か色がついてない?」
「ええっ!」
「あ、お姉ちゃん…!」

必要以上に驚きを見せた鍾毓、だが、対応がまずかった。胸元より先に、唇に指が行ってしまったのである。
あちゃー、とうなだれる鍾会を横目で見ながら、鍾ヨウはニコニコと問いかけるのだった。

「あらあら、唇の方が気になるの? まあ、あなたにはちょっとあの色は合わないかな? もう少し淡いのが似合うと思うわよ」
「………あっ」

そこでようやく、罠に掛けられたと気付いて真っ赤になる鍾毓。一方の鍾会は、悪びれる風もなく問いかけた。

「姉さん、気付いてたの? 人が悪いんだから」
「まあ… ね。偶然よ。なんだかあなた達、面白そうなことしてたみたいだし」
「姉さん、ご免なさい。勝手に使った分は返すから…」

鍾毓はちょっと混乱気味。鍾ヨウそんな妹を苦笑しながら見つめると、咎める気がないことを示しながら言葉を返す。

「それは別に気にしなくていいのよ。 …それより、あなたそれを使う前に私に頭を下げたわね。どうして?」
「わ、それも見てたの? 参ったな… ほら、メイクも儀礼の一種でしょう?
  姉さんのを勝手に借りてたこともあったし、そうしないわけにはいかなかったの」

いかにも、ヘンに生真面目なところがある鍾毓らしい答えだった。可愛い妹だと思えば自然と笑みもこぼれる。
次いで、相変わらずニコニコしている鍾会へと向き直る。

「士季、あなたはまた平然と使ってくれたわね。どうして?」
「姉さん、それはだって、アタシは姉さんのを盗んだんだもの。盗むのに礼もなにもあったものじゃないわ」
「…まったく、あなたらしいわね。まあ、それなりに似合ってたのが何だか悔しいけど」

いっそ心地よささえ漂うこのふてぶてしさ、将来が楽しみなんだか不安なんだか。
それでも、女子のたしなみと思えば許せる気がするのも、やはり妹馬鹿だからだろうか。

「そうね、今度いっしょに、あなた達に合うのを選びに行きましょうか」
「えっ… 姉さん、いいの?」
「やった、そうこなくっちゃ♪」

思わぬ姉の提案に、驚きを隠せないながらもパアッと顔をほころばせる妹たち。
今日も明日も明後日も、鍾姉妹の美への追究は飽くことを知らない…
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