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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
686:北畠蒼陽 2005/06/19(日) 12:31 [nworo@hotmail.com] どピンクの塊だった。 頭の後ろに巨大すぎるリボン。顔よりリボンのほうが大きいのは問題じゃないのか? すでに改造、という範疇に入っているのかどうかすらわからないピンクの制服。 スカートは膝上25cm……短すぎないッ!? その人物は明らかに規格外だった。 「えっと……あなたが王表、さん?」 「そうですよこんにちはーっ☆」 くぁッ!? なんでそんなに元気なのよッ!? 「あのね、孫権部長があなたに会いたいんだってさ。もしよければ一緒に来てくれないかな?」 断れーッ! 断れーッ! と心の中で祈る。 「喜んでーっ☆」 祈りは通じなかった。 「そ、そう」 ……であれば一番言いたくないあの言葉も言わざるを得ない。 部長の命令だ、本当に仕方ない。 「王表さん、あなたを輔国主将に任命します」 「ほ、輔国主将ーッ!?」 李崇の言葉に棟長は顔色を失わせ、壁にふらふらと力なく寄りかかった。 気持ちはよくわかる。 「あ、あの……李崇さん、参考までに輔国主将って俸禄はいかほどですか?」 顔を蒼白にさせ棟長は李崇に尋ねた。 聞かなければいいのに…… 李崇はその絶望に満ちた顔から目をそらし、ゆっくりと口を開く。 「俸禄は大してあなたとかわらないわ……でも権威的には部長付官僚の私と同格。あなたよりはるかに上」 「……あぁ」 棟長は泣きそうな声で呻いた。 かわいそうに。 一方の王表はにこにこ笑いながら…… 「わぁい☆」 ……喜んだ。 「……で、キミが王表ちゃん?」 「そうですよこんにちはーっ☆」 このやり取りはどこかで聞いたことがあるような気がする。 李崇はそう遠くない過去に思いをはせた。 問題は王表にそれを確認しているのが私ではなくて部長、ってこと。 諸葛恪をはじめとする諸官僚の愕然としている様がよくわかる。 「へぇ〜、すっごいね〜♪」 「えへへ〜、部長さんにほめられちった☆」 ……なんなんだ、この頭の弱そうな会話は。 「じゃあさっそく本題で悪いんだけど……」 部長がまじめな顔になった。 なんだ? なんだ、その本題ってのは……? 「変身してもらおうかな♪」
687:北畠蒼陽 2005/06/19(日) 12:32 [nworo@hotmail.com] はぁーッ!? 声すら出せずに自分も含めた諸官僚が固まりつく。 へん……なんだって? へん、へん…… あぁ、返信の聞き間違いか? でもそれにしては文脈おかしくない? じゃあ文脈にあった『へんしん』ってなにさ? 『変身』……かなぁ? 諸葛恪が自分を睨みつけているのが見えた。 いや、私だって変身なんてはじめて知ったんだってば! 「他ならぬ部長さんの頼みですっ! 王表ちゃん、がんばって変身しちゃいますよーっ☆」 が、がんばるなーッ!? 「じゃ、ちょっとスペースあけてもらっていいですか? あ、そこのロバ子さん、2歩くらい下がってくださぁい☆」 ロバ子さん呼ばわりされた諸葛恪が釈然としない顔で言われたとおり下がる。 怒る気すらないらしい。 「じゃぁ☆」 王表がなにやらかわいいポーズをとる。 孫権が胸の前で握りこぶしを作ってわくわくしているのが横目に見えた。 「スペースノイドポリス! プリティパワーでメイクアーップ☆」 李崇が一生かかっても言えそうにないような言葉を平然と口にした王表が光に包まれる。 ふりふりの服が光の中で輪郭をぐんにゃりと形を変え、体にぴったりしたものに置き換わっていく。 やがて光が収まり、王表の姿が李崇たちにも見えはじめる。 奇妙な形のフルフェイスヘルメット。 コーティングされたバイザー越しに王表の笑みが透けて見える。 腕や両足などが金属? なのかどうかすらよくわからない材質に覆われている。 ボディラインもよくわかるような鎧? の右胸にはかっちょいいエンブレムが燦然と輝いていた。 「愛と☆」 (ポーズ:ビシィッ!) 「勇気の☆」 (ポーズ:ビシィッ!) 「美少女宇宙刑事、王表ちゃん! 悪い子はおしりぺんぺんよ♪」 (BGM:ちゃーちゃっちゃっ♪ ちゃーちゃっちゃっ♪ ちゃちゃんっ♪) ……コメントしようがない空気の中、誰かが手を叩く。 誰か、というか具体的には孫権。 「すっごーい! すごいすごいー♪」 いや、すごいことはすごいが…… 「どうやって変身してるの?」 「それはβイナンモナンソ波動のせいですー。そんな見つめられると王表ちゃん、恥ずかしいですっ☆」 「すっごーい! すごいすごいー♪」 ご満悦すぎな孫権とポーズのまま照れる王表。 なんなんだ、この空間は。 不意に李崇の肩がポンと叩かれた。 後ろを振り返ると諸葛恪が疲れたような顔をして眉間を揉みほぐしていた。 「李崇、あとで校舎裏まで付き合いなさい」 ……私が悪いのぉッ!?
688:北畠蒼陽 2005/06/19(日) 12:33 [nworo@hotmail.com] 王基の場合を書くつもりだったんですけどその前にネタが思い浮かんじゃったんで。すいません。反省してますorz やらなきゃよかった、とかちょっと思いました。後悔しても遅いですねそうですねorz こりゃ孫盛さんに邪神いわれても文句いわれないわ(ぇー あ、ちなみに1〜6話はロストしました(ぇー さらに補足。輔国主将っつったら蒼天の大カムロ、曹騰やら長湖部に引導を渡した龍驤主将、王濬やらと同格ですね。げんなりはふん。 うわ、丁原も同格だわorz
689:雑号将軍 2005/06/19(日) 14:00 >北畠蒼陽様 お疲れ様です!これまたすばらしき作品で。なんか、李崇がかわいそうになりました。 きっと諸葛恪に存分にいたぶられるのでしょう・・・・・・そんな姿が思い浮かんでみたり。 王表、学三では凄まじいキャラになりそうです。
690:海月 亮 2005/06/19(日) 14:53 >宇宙KG うーわまさかこんな一撃で来られようとは…。 てか魔法少女とか魔女っ娘じゃなくて、美少女宇宙刑事ってとこがミソですかね? 何気に魔法少女は顧雍っていう前例があるわけだし…w あと、あのBGMってもしかしてギャ○ンですか? 海月はネタが尽きたので暫くは見る側にまわります…。 というか朱績(施績)と虞姉妹描きたいので(オイ
691:北畠蒼陽 2005/06/19(日) 15:07 [nworo@hotmail.com] >雑号将軍様 いや、無理無理。 これ、すばらしいとかいうの無理。かいかぶりすぎデス(笑 スレッドでも最近シリアス物が続いてる中での久々のギャグだったんでやや滑りました(やや、か? 王表、はじめて正史読んでまず読み流して10秒後に気づいてその行をもう一回読み直して ( д ) ゚ ゚ あと李崇なむ。 >海月 亮様 ギャフンですか! ごめんなさい冗談です。 ちょうど直撃その世代です。 ただそのわりにはBGMとかまったく覚えてないですねぇ…… BGMは『ありがち』な感じで(笑 最初は美少女戦士にしようかとも思ったんですがそれだと……ねぇ? いろいろ水兵服のひとらが……ねぇ?
692:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:27 [nworo@hotmail.com] 「……進め! 全員、自分の横は見ず、ただ前だけを向いて戦いなさい!」 苛烈な命令が少女の口から飛ばされる。 敵と少女の率いる部隊が真正面からぶつかり合った。 しかしその人数差は圧倒的に少女の側が上回っている。 敵はその圧力を耐え切れずに…… そう、もうじき壊走をはじめることだろう。 少女の頭はそれをどう追撃するか、ということにすでに意識が傾けられていた。 「珍しいですね」 部下が少女に声をかける。 「あなたがまさかあんな命令を出すなんて」 少女は部下の言葉の意味を一瞬、考え、頷いた。 「……あの、『進め』ってこと?」 いかにも優等生然としたその風貌からそんな言葉が出てくるとは考えにくいことであるし、事実、珍しいことでもある。 「……そうね。でも……まだ若いんだし、たまには無茶もしないとね」 少女……王基は前髪をかきあげながらうっすらと微笑んだ。 策を投じる者〜王基の場合〜 長湖部は揺れていた。 絶対的なカリスマである部長、孫権もその長きに渡る統治により水を淀ませている。 のちに二宮の変と呼ばれる事件により陸遜という稀代の名主将は放逐され、また部長、孫権ももはやすでに引退時期を考えている、という風のうわさすら流れていた。 そんな時期、荊・予校区兵団長の王昶が生徒会に1つの提案をした。 「孫権って最近、能力持ってる人間を次々トばしちゃって、しかも後継者争いなんかさせちゃってる状況みたいなんですよー。今のうちに長湖部を攻めたらいけるとこまではいけると思うんですよね。白帝、夷陵の一帯とか黔、巫、シ帰、房陵のあたりなんて全部、長湖のこっち側ですからね。あと男子校との境目だから混乱も起こしやすいし。今が攻め時、お得ですよ!」 生徒会はその進言を受け入れ、荊州校区総代の王基を夷陵へ。荊・予校区兵団長の王昶を江陵へ進撃させた。 荊州校区に熱風が吹き荒れる。 夷陵…… かつて劉備が当時、無名であった陸遜に敗れ、リタイアの遠因となった地。 その威容を眺め、王基はうっとりとため息をついた。 「……確かにこれは難攻ね。不落とは思わないけど」 陸遜はこの校舎を囮に劉備を引き付けておいて、大風の日を待ち、発炎筒を大量に炊きつけることにより混乱させるという奇策により劉備を打ち破った。 しかしそれもこの夷陵が大風の日まで持ちこたえる、という前提のもとでの作戦である。 夷陵が大風以前に陥落していたとすれば、それは作戦ではなくただの『世迷言』と分類させるべきものであろう。 「……げにおそるべきはこの校舎の防衛力、か」 もちろんそれは孫桓と朱然という2人の手腕であることは否定できない。 王基は手元の資料に目を落とす。 「……今の主将は……歩協? ……歩ってことは……あぁ、やっぱり元副部長、歩隲の妹なのね」 納得したように頷く。 歩協の実力は未知数だが…… まぁ、この土地を任されている、ということはやはり長湖部内ではそれなりに評価されているということで間違いないだろう。 だが…… 「……なんなの、これ」 王基の顔が不機嫌そうに歪む。
693:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:28 [nworo@hotmail.com] 夷陵棟の校門は厳重に閉ざされ、完全に守りに入っていた。 「……もしかして……劉備のときと同じ作戦とろうとしてるのかしら。もしそうだとしたら……私がそれに引っかかると思われてるのかしら」 「せっかくだから夷陵攻めのとき、劉備が拠点として使った馬鞍山に仮設テントでも張っちゃいましょうか」 王基のグチに部下の1人が軽口を飛ばし、王基は苦笑した。 発炎筒で大混乱大作戦大発動。 そんなばかな。 奇策は1回限りであるからこその奇策なのであり、それにこだわりを持つようなものではない。 「……まぁ、いいわ」 王基が肩をすくめる。 「……敵が弱いのは私の責任じゃないし」 そして校舎を睨みつける。 「……そして曹仁先輩や張遼先輩で生徒会の伝説のネタが尽きたわけじゃない、ってことを教えてあげなきゃいけないしね」 「なんとか……なる、かなぁ?」 かつて長湖部三君の1人に数えられた姉を髣髴とさせる風貌の少女がカーテンの脇から外を見、胃の痛みに必死で耐えていた。 歩協。現在の夷陵主将である。 戴烈と陸凱の救援隊がこちらに向かっていることは知っている。 一戦してよくわかった。 正攻法で勝てる相手ではない。 自分はもちろんのこと戴烈や陸凱でもどうなるかわからない。 もちろん王基が直前に言ったグチのように同じ作戦を取ろうとしているわけではない。 さすがにそんな作戦を再び取ったところで無理であろうことは当の歩協が一番よくわかっていた。 歩協の願いはただ1つ。 『夷陵』と『援軍の主将は陸の苗字』という2つのキーワードに怯えて敵に撤退してほしい、というだけであった。 しかし…… 「あい……たたた……」 胃がきりきりと痛む。 カーテンから覗き見た敵の部隊はすごく士気盛んに見えた。 撤退は露ほども期待できそうにない。 「なんであんなにやる気なのよ……!」 歩協は神を呪った。
694:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:28 [nworo@hotmail.com] 譚正は事務仕事に追われていた。 後方でのフォローなしにいかなる戦闘も機能しないというのは歴史の教訓といってもいいだろう。 譚正は後方校舎においての事務に精力を費やしていた。 「まったくぅ……私、安北主将よ? なんでこんな地味な仕事ばっかり……!」 毒づきながら書類をまとめる。 校舎の一室で譚正のグチとキーボードのカタカタという音だけが響く。 「歩協主将から食事の催促メールきてます。なんて返事しましょう?」 「あー、もう! カップラーメンでもすすってろ……!」 毒づきながらキーボードに指を走らせる。 1000人からの学生が篭城している中で、カップラーメンだけとはいえ当然備蓄は…… 「あう……足りない」 譚正は呆然と呟いた。 正確に言えば足りることは足りるが今後、心もとない、というところであろう。 「ここでなんかあって、んで私に食糧輸送の怠慢があった、とかいわれるのもたまらないしなぁ……送っとくか」 譚正の呟きと同時に教室の外がにわかに騒がしくなった。 「なに!? 静かにしなさいよ、もう!」 バン、と机を叩いて立ち上がると同時にガラっとドアが開けられる。 開けたのは……見覚えのないような女だった。 肩のラインで髪を切りそろえた少女、その後ろには武装した少女の部下と思しきやつらもいる。 見覚えがない、ということは自分の部下ではない。 ということは歩協の部下か? なんのつもりだ? 大量の疑問符が譚正の頭の中に飛び交う。 「なんなの、あんたたち!」 だから口にした質問は一番汎用性に富んだそれだった。 少女は譚正の言葉に少し考え…… 「……こういうとき文舒なら『毎度おなじみ生徒会です』って言うんだろうけどね。別におなじみになるつもりはないけど生徒会荊州校区総代、王基っていうわ」 て、敵!? ……判断を下すより早く王基の部下が部屋を制圧していく。 竹刀を突き立てられ、誰1人としてまともな抵抗をすることもなく両手を上げる。 「……さ、いい子だからあなたも手を上げてくれるかしら? もちろん私は荒事は嫌いだけど『嫌い』というのは『やらない』というのと同義語じゃない、ってのはわかってくれてるわよね?」 歌うように囁きかける。 ちら、とさっきまで自分が叩いていたキーボードとパソコンを見る。 もちろんそこにSOSが書かれているわけではないし、そもそもメーラーが立ち上げられているわけもない。 メーラーが立ち上げられていたとして、そのメールを運良く送信することが出来たとしても、今の現時点での状況打破にはなりようがない。 譚正は嘆息し、両手を頭の上に上げた。 「降参だ」 「王基さん、これで撤退でいいんですか?」 「……うん、十分」 敵の後方支援を管理していた部隊をつぶしたのであればさらに粘れば夷陵も陥落させることが出来たのではないか、その思いを言外に滲ませながら尋ねる部下に王基は笑いながら答えた。 「……そろそろ敵も応援が到着するころだしね。応援に対しての備えは完成していない以上、しかも敵の地元だから地の利だって敵にある以上、長居してもいいことはないわ」 部下は王基の言葉に口ごもる。 確かに敵からしてみれば夷陵を簡単に手放すことが出来ない以上、応援とするのは『どんな状態にも対応できる手腕の持ち主』であろう。 そうなれば勝敗の行方はどうなったか知れたものではない。 「……それより早く帰っておいしいものでも食べようよ」 王基は笑いながらそう言った。
695:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:30 [nworo@hotmail.com] 王基です。 州泰は書きようがないですね、あれは。 次はなに書こうかなぁ……
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