下
★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
689:雑号将軍 2005/06/19(日) 14:00 >北畠蒼陽様 お疲れ様です!これまたすばらしき作品で。なんか、李崇がかわいそうになりました。 きっと諸葛恪に存分にいたぶられるのでしょう・・・・・・そんな姿が思い浮かんでみたり。 王表、学三では凄まじいキャラになりそうです。
690:海月 亮 2005/06/19(日) 14:53 >宇宙KG うーわまさかこんな一撃で来られようとは…。 てか魔法少女とか魔女っ娘じゃなくて、美少女宇宙刑事ってとこがミソですかね? 何気に魔法少女は顧雍っていう前例があるわけだし…w あと、あのBGMってもしかしてギャ○ンですか? 海月はネタが尽きたので暫くは見る側にまわります…。 というか朱績(施績)と虞姉妹描きたいので(オイ
691:北畠蒼陽 2005/06/19(日) 15:07 [nworo@hotmail.com] >雑号将軍様 いや、無理無理。 これ、すばらしいとかいうの無理。かいかぶりすぎデス(笑 スレッドでも最近シリアス物が続いてる中での久々のギャグだったんでやや滑りました(やや、か? 王表、はじめて正史読んでまず読み流して10秒後に気づいてその行をもう一回読み直して ( д ) ゚ ゚ あと李崇なむ。 >海月 亮様 ギャフンですか! ごめんなさい冗談です。 ちょうど直撃その世代です。 ただそのわりにはBGMとかまったく覚えてないですねぇ…… BGMは『ありがち』な感じで(笑 最初は美少女戦士にしようかとも思ったんですがそれだと……ねぇ? いろいろ水兵服のひとらが……ねぇ?
692:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:27 [nworo@hotmail.com] 「……進め! 全員、自分の横は見ず、ただ前だけを向いて戦いなさい!」 苛烈な命令が少女の口から飛ばされる。 敵と少女の率いる部隊が真正面からぶつかり合った。 しかしその人数差は圧倒的に少女の側が上回っている。 敵はその圧力を耐え切れずに…… そう、もうじき壊走をはじめることだろう。 少女の頭はそれをどう追撃するか、ということにすでに意識が傾けられていた。 「珍しいですね」 部下が少女に声をかける。 「あなたがまさかあんな命令を出すなんて」 少女は部下の言葉の意味を一瞬、考え、頷いた。 「……あの、『進め』ってこと?」 いかにも優等生然としたその風貌からそんな言葉が出てくるとは考えにくいことであるし、事実、珍しいことでもある。 「……そうね。でも……まだ若いんだし、たまには無茶もしないとね」 少女……王基は前髪をかきあげながらうっすらと微笑んだ。 策を投じる者〜王基の場合〜 長湖部は揺れていた。 絶対的なカリスマである部長、孫権もその長きに渡る統治により水を淀ませている。 のちに二宮の変と呼ばれる事件により陸遜という稀代の名主将は放逐され、また部長、孫権ももはやすでに引退時期を考えている、という風のうわさすら流れていた。 そんな時期、荊・予校区兵団長の王昶が生徒会に1つの提案をした。 「孫権って最近、能力持ってる人間を次々トばしちゃって、しかも後継者争いなんかさせちゃってる状況みたいなんですよー。今のうちに長湖部を攻めたらいけるとこまではいけると思うんですよね。白帝、夷陵の一帯とか黔、巫、シ帰、房陵のあたりなんて全部、長湖のこっち側ですからね。あと男子校との境目だから混乱も起こしやすいし。今が攻め時、お得ですよ!」 生徒会はその進言を受け入れ、荊州校区総代の王基を夷陵へ。荊・予校区兵団長の王昶を江陵へ進撃させた。 荊州校区に熱風が吹き荒れる。 夷陵…… かつて劉備が当時、無名であった陸遜に敗れ、リタイアの遠因となった地。 その威容を眺め、王基はうっとりとため息をついた。 「……確かにこれは難攻ね。不落とは思わないけど」 陸遜はこの校舎を囮に劉備を引き付けておいて、大風の日を待ち、発炎筒を大量に炊きつけることにより混乱させるという奇策により劉備を打ち破った。 しかしそれもこの夷陵が大風の日まで持ちこたえる、という前提のもとでの作戦である。 夷陵が大風以前に陥落していたとすれば、それは作戦ではなくただの『世迷言』と分類させるべきものであろう。 「……げにおそるべきはこの校舎の防衛力、か」 もちろんそれは孫桓と朱然という2人の手腕であることは否定できない。 王基は手元の資料に目を落とす。 「……今の主将は……歩協? ……歩ってことは……あぁ、やっぱり元副部長、歩隲の妹なのね」 納得したように頷く。 歩協の実力は未知数だが…… まぁ、この土地を任されている、ということはやはり長湖部内ではそれなりに評価されているということで間違いないだろう。 だが…… 「……なんなの、これ」 王基の顔が不機嫌そうに歪む。
693:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:28 [nworo@hotmail.com] 夷陵棟の校門は厳重に閉ざされ、完全に守りに入っていた。 「……もしかして……劉備のときと同じ作戦とろうとしてるのかしら。もしそうだとしたら……私がそれに引っかかると思われてるのかしら」 「せっかくだから夷陵攻めのとき、劉備が拠点として使った馬鞍山に仮設テントでも張っちゃいましょうか」 王基のグチに部下の1人が軽口を飛ばし、王基は苦笑した。 発炎筒で大混乱大作戦大発動。 そんなばかな。 奇策は1回限りであるからこその奇策なのであり、それにこだわりを持つようなものではない。 「……まぁ、いいわ」 王基が肩をすくめる。 「……敵が弱いのは私の責任じゃないし」 そして校舎を睨みつける。 「……そして曹仁先輩や張遼先輩で生徒会の伝説のネタが尽きたわけじゃない、ってことを教えてあげなきゃいけないしね」 「なんとか……なる、かなぁ?」 かつて長湖部三君の1人に数えられた姉を髣髴とさせる風貌の少女がカーテンの脇から外を見、胃の痛みに必死で耐えていた。 歩協。現在の夷陵主将である。 戴烈と陸凱の救援隊がこちらに向かっていることは知っている。 一戦してよくわかった。 正攻法で勝てる相手ではない。 自分はもちろんのこと戴烈や陸凱でもどうなるかわからない。 もちろん王基が直前に言ったグチのように同じ作戦を取ろうとしているわけではない。 さすがにそんな作戦を再び取ったところで無理であろうことは当の歩協が一番よくわかっていた。 歩協の願いはただ1つ。 『夷陵』と『援軍の主将は陸の苗字』という2つのキーワードに怯えて敵に撤退してほしい、というだけであった。 しかし…… 「あい……たたた……」 胃がきりきりと痛む。 カーテンから覗き見た敵の部隊はすごく士気盛んに見えた。 撤退は露ほども期待できそうにない。 「なんであんなにやる気なのよ……!」 歩協は神を呪った。
694:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:28 [nworo@hotmail.com] 譚正は事務仕事に追われていた。 後方でのフォローなしにいかなる戦闘も機能しないというのは歴史の教訓といってもいいだろう。 譚正は後方校舎においての事務に精力を費やしていた。 「まったくぅ……私、安北主将よ? なんでこんな地味な仕事ばっかり……!」 毒づきながら書類をまとめる。 校舎の一室で譚正のグチとキーボードのカタカタという音だけが響く。 「歩協主将から食事の催促メールきてます。なんて返事しましょう?」 「あー、もう! カップラーメンでもすすってろ……!」 毒づきながらキーボードに指を走らせる。 1000人からの学生が篭城している中で、カップラーメンだけとはいえ当然備蓄は…… 「あう……足りない」 譚正は呆然と呟いた。 正確に言えば足りることは足りるが今後、心もとない、というところであろう。 「ここでなんかあって、んで私に食糧輸送の怠慢があった、とかいわれるのもたまらないしなぁ……送っとくか」 譚正の呟きと同時に教室の外がにわかに騒がしくなった。 「なに!? 静かにしなさいよ、もう!」 バン、と机を叩いて立ち上がると同時にガラっとドアが開けられる。 開けたのは……見覚えのないような女だった。 肩のラインで髪を切りそろえた少女、その後ろには武装した少女の部下と思しきやつらもいる。 見覚えがない、ということは自分の部下ではない。 ということは歩協の部下か? なんのつもりだ? 大量の疑問符が譚正の頭の中に飛び交う。 「なんなの、あんたたち!」 だから口にした質問は一番汎用性に富んだそれだった。 少女は譚正の言葉に少し考え…… 「……こういうとき文舒なら『毎度おなじみ生徒会です』って言うんだろうけどね。別におなじみになるつもりはないけど生徒会荊州校区総代、王基っていうわ」 て、敵!? ……判断を下すより早く王基の部下が部屋を制圧していく。 竹刀を突き立てられ、誰1人としてまともな抵抗をすることもなく両手を上げる。 「……さ、いい子だからあなたも手を上げてくれるかしら? もちろん私は荒事は嫌いだけど『嫌い』というのは『やらない』というのと同義語じゃない、ってのはわかってくれてるわよね?」 歌うように囁きかける。 ちら、とさっきまで自分が叩いていたキーボードとパソコンを見る。 もちろんそこにSOSが書かれているわけではないし、そもそもメーラーが立ち上げられているわけもない。 メーラーが立ち上げられていたとして、そのメールを運良く送信することが出来たとしても、今の現時点での状況打破にはなりようがない。 譚正は嘆息し、両手を頭の上に上げた。 「降参だ」 「王基さん、これで撤退でいいんですか?」 「……うん、十分」 敵の後方支援を管理していた部隊をつぶしたのであればさらに粘れば夷陵も陥落させることが出来たのではないか、その思いを言外に滲ませながら尋ねる部下に王基は笑いながら答えた。 「……そろそろ敵も応援が到着するころだしね。応援に対しての備えは完成していない以上、しかも敵の地元だから地の利だって敵にある以上、長居してもいいことはないわ」 部下は王基の言葉に口ごもる。 確かに敵からしてみれば夷陵を簡単に手放すことが出来ない以上、応援とするのは『どんな状態にも対応できる手腕の持ち主』であろう。 そうなれば勝敗の行方はどうなったか知れたものではない。 「……それより早く帰っておいしいものでも食べようよ」 王基は笑いながらそう言った。
695:北畠蒼陽 2005/06/26(日) 12:30 [nworo@hotmail.com] 王基です。 州泰は書きようがないですね、あれは。 次はなに書こうかなぁ……
696:雑号将軍 2005/06/26(日) 22:27 >北畠蒼陽様 王基編お疲れ様です。自分も新しい作品を書きたいのですが、テスト、テストがあー!! すみません。取り乱してしまいました。 王基も伊達に荊州を任されてるわけじゃないみたいですね。 歩協・・・たしか、羅憲にやられた人でしたよね。この人ってあんまいいとこがないような・・・・・・。 王基、王昶・・・・・・蜀でいうと誰辺りがそれなんでしょう?呉懿とか張嶷、馬忠がその辺りだと考えているのですが。
697:北畠蒼陽 2005/07/03(日) 00:14 [nworo@hotmail.com] 「つわものどもが夢のあと〜、ってねぇ」 長髪の少女が歌うように呟き、そして寒さにコートの前を合わせる。 「夏草や、っていうにはちょいと寒すぎだねぇ」 苦笑しながら少女が振り向いた視線の先にはもう1人の少女が割れた窓ガラスを物憂げな表情で見つめていた。 「どうしたー?」 物憂げな表情の少女に前を歩く少女が声をかける。 「ん、いや……夢のあと、ね。仲恭はどんな夢を見てたのかな、って思ってね」 「しらーん」 アンニュイに染まろうとする空気を少女は一声で吹き飛ばす。 しかし外を見つめていた少女はその言葉にきっと眉を吊り上げた。 「仲恭は本当に曹家のことを考えてたんじゃないかって! もしかしたら私たちが仲恭を討ったのは間違……」 しかしその言葉は前を歩いていた少女の視線によって途中で止められた。 「それ以上言ったら私も聞いてない振りができなくなるわ」 2人の少女……王昶と諸葛誕は黙って対峙した。 乱世を見る方法 この月、北辺に割拠する公孫淵を攻め、さらに進んで高句麗高校にも遠征し生徒会内で実力、実績ともに抜きん出た存在であった毋丘倹が自身の勢力基盤であった揚州校区を中心として長湖部すらも巻き込んだ大叛乱を起こし、そして討伐された。 叛乱の理由はただ一点。 当時より蒼天会長、曹家を凌ぐほどの影響力を持っていた司馬師を除くため、であった。 すでに司馬姉妹は生徒会内でもはや誰も……蒼天会長すらも……太刀打ちできないほどの力を持っており、それに対し憤りを感じるものも少数ではなかった。 毋丘倹以前にも生徒会執行本部本部長の王凌がやはり揚州校区を中心に叛乱を起こし敗れ、そして今回の毋丘倹の失敗により…… ……もはや司馬姉妹への流れ、という大勢は決していた。 「別に聞いてる振りをして、ってお願いしてるわけじゃないわ」 諸葛誕は腕を組み目を伏せる。 「ただ……仲恭の気持ちがよくわかる、ってだけ」 仲恭……毋丘倹は2人にとっても同期の友人であった。 2人は数瞬、毋丘倹に思いを馳せる。 「私には……仲きょ、毋丘倹の気持ちは欠片もわからない」 王昶は諸葛誕を睨みつけながら言い放った。 諸葛誕が驚きに目を見張る。 「私はね、公休。曹だろうが司馬だろうがどっちだってかまわない。ただ学園の平和のためなら戦える。どんな汚い真似だってできる……でも平和を乱す毋丘倹の行為は絶対に許せない」 王昶と諸葛誕が睨み合う。 「文舒、それは間違ってる。だったら今、司馬姉妹が蒼天会長を名乗らないのはなぜ? やつらは『部下として』『会長に』汚名を着せようとしてるだけ。許せるわけないじゃない」
698:北畠蒼陽 2005/07/03(日) 00:14 [nworo@hotmail.com] 王昶は思う。この目……まっすぐだな…… とてもうらやましいと思った。 そして自分がこれほどまでに汚れていることを悲しく思った。 諸葛誕は思う。自分の戦歴は負けで覆い尽くされている。 だから毋丘倹や王昶の才能に嫉妬を感じたことは一度や二度ではない。 それでも……と思った。 「はい、これまで」 首筋を撫でながら……先に視線を外したのは王昶だった。 「私は公休を手伝うつもりはない。でも邪魔はしない……がんばれ」 諸葛誕にとって王昶のその言葉は完全に満足のいくものではなかった。 だがそれでも王昶の考えからすれば最大限の譲歩なのであろう。 「ありがとう……」 そして諸葛誕は踵を返し、もう王昶のほうを振り返らなかった。 王昶はひらひらと手を振る。 振り返りもしない相手に手を振り続けることは自己嫌悪の裏返しか…… 「……そんなに悲しいなら公休を止めればよかったんじゃない」 王昶の横から声が投げかけられる。 王基……醒めた瞳の少女が階段の上から面白くなさそうに王昶を眺めていた。 「いつから聞いてた?」 「……多分最初から」 王基がいることなどわかっていたのだろうあまり驚いた様子もない王昶のもとに階段を二段飛ばしで王基は歩み寄った。 「……公休、叛乱起こすだろうね」 「だね」 王基の言葉に王昶は無理に笑みを形作り頷く。 「……『乱』を嫌う文舒がそれを止めようとしないのはなぜか。『お姉様』とまで慕っていた王凌先輩のときも毋丘倹のときも」 「私たちの代じゃ学園都市の統一が難しいから……だから妹の世代、玄沖たちに実戦の経験をさせなければならない……ゲームでいえば公休はただの経験値」 呟き……王昶は顔を覆った。 「私は最低なやつだ! 学園の平和のためとか言いながら友達を売ろうとしている! 公休は私のことを信じたのに! なのに……!」 いきなり泣き崩れる王昶を王基は後ろから抱きしめる。 「……大丈夫。あなただけの罪じゃない。私も半分罪をかぶってあげる……半分こだもの、それほどの重みでもないでしょ?」 王昶の頭を撫でながら王基は他の誰にも見せないようなやさしい顔をする。 「……それでも重かったら荷物を地面に置けばいい。疲れが癒えたらまた歩き出せばいい」 「……」 ひとしきり泣いた王昶が一瞬、沈黙したかと思うと……ひらひらと手だけ上げてみせた。 王基は苦笑し、上がった手に自分のポケットから取り出したハンカチを持たせる。 王昶がそれを受け取り、そしてもぞもぞと動き……涙を拭いているのだろう……そして次に顔を上げたとき、もういつもの王昶だった。 「うん……んじゃ視察はここらで切り上げて帰ろうか。おいしいラーメン屋見つけたんだ」 ににっと笑い、そして王基に背を向けて歩く。 王基はその背中に笑みを見せ…… 「……またつらくなったら泣き用の胸は用意しとくよ」 「ありがと」 前を行く王昶からそっと漏れ聞こえた言葉に王基は再び笑みを見せた。
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