★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
697:北畠蒼陽2005/07/03(日) 00:14 [nworo@hotmail.com]
「つわものどもが夢のあと〜、ってねぇ」
長髪の少女が歌うように呟き、そして寒さにコートの前を合わせる。
「夏草や、っていうにはちょいと寒すぎだねぇ」
苦笑しながら少女が振り向いた視線の先にはもう1人の少女が割れた窓ガラスを物憂げな表情で見つめていた。
「どうしたー?」
物憂げな表情の少女に前を歩く少女が声をかける。
「ん、いや……夢のあと、ね。仲恭はどんな夢を見てたのかな、って思ってね」
「しらーん」
アンニュイに染まろうとする空気を少女は一声で吹き飛ばす。
しかし外を見つめていた少女はその言葉にきっと眉を吊り上げた。
「仲恭は本当に曹家のことを考えてたんじゃないかって! もしかしたら私たちが仲恭を討ったのは間違……」
しかしその言葉は前を歩いていた少女の視線によって途中で止められた。
「それ以上言ったら私も聞いてない振りができなくなるわ」
2人の少女……王昶と諸葛誕は黙って対峙した。


乱世を見る方法


この月、北辺に割拠する公孫淵を攻め、さらに進んで高句麗高校にも遠征し生徒会内で実力、実績ともに抜きん出た存在であった毋丘倹が自身の勢力基盤であった揚州校区を中心として長湖部すらも巻き込んだ大叛乱を起こし、そして討伐された。
叛乱の理由はただ一点。
当時より蒼天会長、曹家を凌ぐほどの影響力を持っていた司馬師を除くため、であった。
すでに司馬姉妹は生徒会内でもはや誰も……蒼天会長すらも……太刀打ちできないほどの力を持っており、それに対し憤りを感じるものも少数ではなかった。
毋丘倹以前にも生徒会執行本部本部長の王凌がやはり揚州校区を中心に叛乱を起こし敗れ、そして今回の毋丘倹の失敗により……

……もはや司馬姉妹への流れ、という大勢は決していた。

「別に聞いてる振りをして、ってお願いしてるわけじゃないわ」
諸葛誕は腕を組み目を伏せる。
「ただ……仲恭の気持ちがよくわかる、ってだけ」
仲恭……毋丘倹は2人にとっても同期の友人であった。
2人は数瞬、毋丘倹に思いを馳せる。
「私には……仲きょ、毋丘倹の気持ちは欠片もわからない」
王昶は諸葛誕を睨みつけながら言い放った。
諸葛誕が驚きに目を見張る。
「私はね、公休。曹だろうが司馬だろうがどっちだってかまわない。ただ学園の平和のためなら戦える。どんな汚い真似だってできる……でも平和を乱す毋丘倹の行為は絶対に許せない」
王昶と諸葛誕が睨み合う。
「文舒、それは間違ってる。だったら今、司馬姉妹が蒼天会長を名乗らないのはなぜ? やつらは『部下として』『会長に』汚名を着せようとしてるだけ。許せるわけないじゃない」
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