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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
714:雑号将軍 2005/07/04(月) 22:34 玉川様、教授様、アサハル様、はじめまして!梅雨入りで蒸し暑いこの季節になぜか卒業ネタを書いた雑号将軍です。 常連の皆様が次々と復活されて・・・・・・。ほんとに楽しみですっ!なんの役にも立たないですが、よろしくお願いします。 も、申し訳ないのですが、皆様の作品は修学旅行から帰ってきてから、ゆっくりと読みたいと思います。 自分勝手で申し訳ありません。
715:北畠蒼陽 2005/07/04(月) 23:39 [nworo@hotmail.com] >雑号将軍様 献サマの卒業式ですか。いいですねぇ、しみじみ。 時期モノなだけに今の季節ってのが残念デス^^; >修学旅行 あっ!? あっ!? なんか降りてきた! 降りてきましたよ!(DM
716:雑号将軍 2005/07/09(土) 12:13 >海月様 なんかもう、かなりのマイナ・・・・・・失礼、後期の武将が多かったですな。とくに陸姉妹と半分寝てる丁奉!いいですなあ。 >教授様 あらためてご挨拶を。はじめまして。教授様がいない間に学三に巣くっていた雑号将軍というヤローです。 さすがは教授様!孫乾って主役になったの初めてじゃないですか?もうまさに「ぽややんネゴシエーター」ですな!
717:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:14 [nworo@hotmail.com] 「旅行の夜といえば枕投げ、でしょお?」 毋丘倹がどアップで言い切った。 顔があまりにも近かったのでみんな離れながら頷いた。 枕の杜に見る夢 ※誰が戦死したかメモをとりながら読むとわかりやすいかもしれません。 中華学園都市も当然、学園であるからには学校行事というものが存在する。 ただやはりいまだに生徒会も学園統一を成し遂げていない以上、各校区1つ1つがばらばらに旅行をするというのは……学園都市においてすべての課外活動が単位となる、と定義づけられている以上……敵対勢力につけこまれるもとになりかねない。 かといってすべての校区がまとまって旅行に行く、というのもコストがかかりすぎる。 折衷案として提出されたのが現行の『何方面かに校区を分割し、まとまって旅行に』というものだった。 今、ここに対長湖部において名を馳せた少女たちが集っていた! 全員浴衣で! 「……でね? そのとき後ろを振り返ると人形が血まみれで廊下にぽつーん、と落ちていたの」 「あ、あぁうぅぅぅぅ」 王昶はマイペースに昜を怪談で泣かしていた。 昜半泣き。怖いのなら聞かなければいいのに。 「はい、そこ。いいから話を聞け」 毋丘倹がツッコむ。 「……ん〜、でも……テレビが……」 旅館備え付けのテレビに100円を入れようとしながら王基が呟く。 「あとにしろ。あーとーにー」 毋丘倹がツッコむ。 「ねぇ? それより温泉入りにいかない?」 うきうきしながら諸葛誕が言った。ちなみに10分前まで温泉に入っていた。まだ入るのか。 「さっきも入ってただろ、お前!」 毋丘倹がツッコむ。 忙しいやつだ、毋丘倹。 「それってさ、『ホンキ』でやっちゃっていい、ってことだよね?」 令孤愚の言葉に毋丘倹は笑いながら頷いた。 「戦術の粋を集めた枕投げ。おもしろそうじゃない?」 ルール。 枕が当たったものは戦死扱いとする。 2チームに別れ相手チームを全滅させたほうの勝ち。 枕さえ使えばあとは自由。 フィールドは旅館の敷地すべて。 単純明快なルールである。 「んじゃグーとパーでチームわけー」 「10人かぁ……5人ずつに別れる、って結構珍しいんじゃない?」 「……別に同戦力で開始しなくてもいいじゃない」 「うわ、なんかすごい意見が出た。じゃあ1対9もありってこと?」 「いじめじゃない、それ」 「ちょ……もしかして今、チョキ出したら……死?」 「死だねぇ、それは」 「第3勢力誕生かよ!」 「あんまり勢力が拮抗しそうにないよね、それ」 「じゃあいくよー」 『グーとパー!』 ちょうど5人ずつにわけられた。
718:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:15 [nworo@hotmail.com] 便宜上、Aチーム、Bチームとわけられるそのメンバーは…… 「よおお待ちどう」 「……それ、別のAチーム」 そのメンバーは……っ! Aチーム。 世代無双! 毋丘倹。 現生徒会において、図抜けた統率力を有し、次代のリーダーシップを期待される戦乙女。 どもりの国のプリンセス! 昜。 地理の成績だけ天才的。ただしいまだ開花しないものの統率の才能は先輩である万能の怪物、郭淮のお墨付きである。 静かなる威風! 胡遵。 文武の才をあわせ持ち、西方の大実力者、張既によって召し出された俊才。 心にいつもひとかけらの邪心! 令孤愚。 四天王の北、田豫を校則で取り締まったために蒼天会長の叱られ、そのときの言葉をそのまま名前にしたある意味、剛毅な少女。 冷徹な智将! 王基。 生徒会執行本部本部長の王凌に見出され、その信頼ぶりは中央執行部からの王基召集命令を無視するほどのものであった。まさに文武両道の申し子である。 Bチーム。 小さな駿馬! 州泰。 一般生徒から1日にして棟長に上り詰めた奇才。その才能はからかいの言葉を投げかけた鍾ヨウすらを喜ばせるものであった。 勇武英略! 王昶。 毋丘倹がナチュラルに戦うことを得意とするのならば彼女はすべての意図を戦闘に乗せることを得意とする。その瞳は常に悪いことを考えている。 戦一文字! 文欽。 まさに剽悍。反乱者、魏フウと仲がよかったために一時失脚するものの、その才能で返り咲き、またその協調性のなさでたびたび弾劾されたが蒼天会長に庇われる才人。 義士! 諸葛誕。 蒼天会長、明サマには疎んじられたものの、その言葉は夏侯玄、トウヨウらとともに生徒の人気を集めた。諸葛瑾、諸葛亮の従妹にあたる。 楽進の風格! 楽チン。 果断剛毅。楽進の実の妹であり『そっくり』といわれるほどの風格の持ち主。姉に似て、背は高くないもののその胆力は戦場を脅かす。 「Bち……B……! くっ! ボケられないっ!」 「……無理にボケなくていいから」 戦いのはじまり、である。 旅館の通路に2つのチームが対峙する、両手には枕。ハートには野獣。いや、野獣かどうかは微妙だが。 「んじゃコインが落ちた瞬間、戦闘開始ねー」 王昶がにやにや笑いながら左手でコインをつまんでみせる。 コイントスする人間は最初から左手に枕を持つことができない、というハンデはあるものの戦闘開始タイミングをある程度左右することができる、というメリットも存在する。 どちらが有利に左右するかはともかく王昶がなにかを考えていることだけは敵として対峙していなくてもよくわかる。 「んじゃ開始ー」 王昶は左手を高く上げゆっくりとコインを放り投げ……
719:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:15 [nworo@hotmail.com] Aチームの面々がコインの軌跡を追う。 王昶は高々と上げた左手をいきなり振り下ろした。 Aチームメンバーは唖然とし、次の瞬間、王昶の考えを理解する。 王昶はこう言った。『コインが落ちた瞬間、戦闘開始』……別にコインを放り投げたあともう一度、コインに触れない、とは一言も言っていない。 Aチームメンバーが理解したときには加速度をつけた左手とともにコインが旅館廊下に叩きつけられ…… 「おぶわッ!?」 諸葛誕が横殴りの一撃を受けて吹っ飛んだ。 「ふふ……ってなんで諸葛誕ーッ!?」 王昶が勝ち誇った笑みと同時に絶叫する。なかなか器用である。 ちなみに諸葛誕はBチームだ。 諸葛誕に枕を投げつけたのは文欽だった。 ちなみに文欽もBチームだ。 「おぉっと、あまりにも偽善者くさいから間違えちった。なに? オウンゴールってやつ?」 そんなに嫌いか、諸葛誕のことが。 Aチームメンバーが呆然として事の成り行きを見守る。 頭を抱える王昶。気持ちはよくわかる。 そして悪びれない文欽。 「あ……あんたってやつは……」 側頭部に強烈な一撃をくらいながら、諸葛誕は唖然と文欽を見上げる。 「うるさい。戦死者に発言権はない」 Aチームもどう動いていいのかわからなさそうに顔を見合わせ…… 王基がしゃがんで頭上を高速で吹っ飛んでいく枕を回避し、令孤愚は枕をモロに顔面で受ける羽目になった。 「ちぃ、当てるつもりだったのに!」 「こっちは撃墜マーク1個、まぁまぁね」 地団太を踏んで悔しがる楽チンとガッツポーズの州泰。 さすがに諸葛誕戦死は予想外であったものの、その混乱に付け込むことができずただ呆然とする敵に対し、立て直し、即反撃するところはさすが生徒会の一流ドコロといえた。 しかし当然、Aチームも生徒会の猛者である。 武器である枕を手に全員が散会した。 州泰は旅館通路をひた走っていた。 ルールはよく覚えている。 枕が当たったものは戦死扱いとする。 逆を言えば極論、銃で撃たれても戦死にはなりえない。 ではその枕はこの世に無限に存在するのか? 否、である。 フィールドが旅館のみに限定される以上、当然のように枕の数も有限である。 武器がなくなればジリ貧になることは間違いない。 であればまずは武器の確保にいそしむべきであろう。 どこから武器を徴収する? いくらなんでもまったく知らない客が泊まっている部屋に入っていって枕を要求するわけにもいかない。 当然、同じ修学旅行という空間である以上、同じ旅館に泊まっている学校の人間に要求することになるが…… 「え、えっと……そ、そこまでです」 後頭部に枕がぽすん、と当たる感覚に州泰は天井を見上げた。
720:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:16 [nworo@hotmail.com] 「どもー! 実況の令孤愚です! 昜選手、素晴らしい動きです!」 令孤愚がマイクを握り、興奮したようにしゃべりまくる。 「枕を確保しようとした州泰選手の進路を読みきった上で先行し、隠れてやり過ごした上で後ろからの攻撃! これには州泰選手、どうしようもありません! 今の昜選手のプレイをどう見られますか、解説の諸葛誕さん」 「文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね」 解説どころか会話になっていなかった。 楽チンの目の前には毋丘倹が立っていた。 楽チンの背を冷たい汗が伝う。それはそうだ、毋丘倹と勝負するには楽チンには圧倒的に経験が足りない。 しかしそれでも姉譲りの胆力は健在であった。 「ここであんたを討ち取れるなんてね」 よし、声も震えていない。 楽チンは自分をほめてやりたくなった。 ぎゅっと枕を握り締める。 毋丘倹はその楽チンの両の手に目をやってから楽チンの目を正面から見据える。 「楽チン……」 両手に1つずつの枕を持ち、毋丘倹は流れるように動いた。 無造作に左手の枕が楽チンの眼前に投げ出される。 その枕は緩慢な動きで…… 「こんなので私の動きを止めるつもりかぁ!」 楽チンが左手で簡単に枕をキャッチしたそのとき…… 毋丘倹の右手の枕によって楽チンは足を払われ、尻餅をついた。 「……あんたが私を討ち取るなんて無理があるんじゃない?」 「毋丘倹選手、貫禄の勝利です。先に投じた枕で楽チン選手の視界を奪った上で、しゃがみながらの足払い! これには楽チン選手、対応できません」 「文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね文欽死ね」 令孤愚が恨みがましい目で諸葛誕を見た。 「さて……どこに隠れてんのかな?」 にやにやと笑いながら文欽が歩く。 実のところ敵の位置は大体わかっていた。 毋丘倹はさすがに気配を消す術にも長けているものの楽チンとの無用な勝負によって位置をさらけ出してしまった。 「まぁ、まずは昜、かな」 自分が昜ならどうするか考える。 さすがの文欽でも昜の地理把握能力には感服せざるを得ない。 昜はすでにこの旅館の1部屋1部屋に至るまで自分の空間として自在に移動することができるだろう。 ならば…… 考えろ、文欽。 自分がそんな能力を持っていたとしたら、『文欽』という人間をいつ、どこで襲うか…… 文欽の唇が笑みの形に持ち上がった。 いつ襲うか? そんなの決まっている。 「今だろうがぁッ!」 文欽はいきなり後ろを振り返り、枕を投げつけた。 後ろからそ〜っと近寄っていた昜はその一撃を顔面に受け昏倒した。 「えっと……文欽選手、お見事です」 「……ッ!?」 令孤愚がすごい目をした諸葛誕に睨まれた。
721:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:16 [nworo@hotmail.com] 「あんまりいたずらが過ぎるんじゃないかな、文欽」 ついに毋丘倹が文欽の前に立つ。 「そうでもないよ。みんな準備運動にも付き合ってくれないんだもん……毋丘倹だったら準備運動くらいにはなるかな?」 そのあまりにも大胆な発言に毋丘倹は苦笑する。 「ご期待に沿えるかはわかんないけど努力してみるわ」 そういいながら両の足を大きく広げ、両手に持った枕をやや後ろに構える。 投擲する気か? しかも両方? 文欽の心に迷いが生まれる。 投擲は確かに遠距離の相手に対して有効だ。 しかし避けやすい、という欠点もある。 ……だったら避けて攻撃、だね。 にやり、と笑い文欽は毋丘倹の攻撃を誘うように大きく構えを取る。 一瞬、緊迫した時間が流れ…… 毋丘倹が両手の枕を文欽の足元を狙うように投げつけてきた。 ……なるほど、こういうことか。 文欽は感心する。 枕はほぼ横に並び、横に避けるというのは難しそうだ。 普通に避けようとしただけでは足を枕がかすっていくことだろう。 だが……! 「横がダメなら縦で……ッ!」 ジャンプして避ければなんの問題もない。 ましてや毋丘倹はすでに両手の枕を使い切り、武器がない状態だ。 取れる……ッ! 口元を哄笑するように歪めながら、しかし枕を投擲せずにより確実に止めを刺すために握り締める。 そのとたん毋丘倹はばっ、と廊下に伏せた。 文欽はジャンプしながら唖然とする。 両足を大きく広げ構えていた毋丘倹の向こう側には…… 「……いくら文欽でもジャンプしてるときに軌道を変えるのは難しいんじゃない?」 冷静な王基の超遠距離狙撃が宙を舞う文欽の胸に吸い込まれた。 「おっと王基選手、頭脳プレ……」 「うわはははははははははははははははははっ! 文欽ざまあみろー!」 解説しようとした令孤愚の頭を押さえつけ、諸葛誕が涙すら流しながら爆笑した。 「あー、気分いい! 気分いいから温泉いってくるー」 諸葛誕は鼻歌を口ずさみながら上機嫌でタオルを持って立ち上がる。 「いや、また入るのかよ!」 聞いてない。 諸葛誕はスキップでもしそうな足取りで立ち去り…… 「えっと……?」 マイクを持ったまま令孤愚は途方に暮れた。 昜がなぜか期待するような視線を令孤愚に送ってくる。 「あんた、どもるからダメ」 令孤愚の言葉に昜はショックを受けたように黙り込んだ、半泣きで。
722:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:17 [nworo@hotmail.com] ……残りは文舒。 ……だがこれは難敵だ。 毋丘倹と別れ、王基は廊下を走る。 どこにいるか想像もつかないがどこにいたとしてもおかしくない。 王基は長い付き合いの親友に思いを馳せる。 ……文舒なら絶対にありとあらゆる策略を駆使して自分を葬り去ろうとすることだろう。 王基は考えながら走り…… 前方から旅館の仲居さんが歩いてきた。 ぶつかるのもアレなので王基は走るスピードを少しだけ落とそうと…… 「……ッ!?」 バランスを崩しながらも仲居さんが投じる枕を避けた。 「……なるほど。そうきたか」 「ま、着替えちゃダメ、ってルールもなかったしね」 仲居さんから着物を借りたのであろう、にやにやと王昶が笑う。 ……まずいな。 心の中で王基が思う。 さっき枕を無理に避けたから、あまりにも体勢が悪すぎる。だが姿勢を直そうとする隙を見逃してくれるほど甘い相手ではない。 王昶はふ、と唇の端だけで笑いながら枕を持つ右手を下ろし、なにも持たない左手を上げる。 「……?」 いぶかしそうな表情の王基にくいくいと手首だけで挑発。 「待っててあげるから体勢立て直しなさい」 ……なにを考えているのかわからない。 ……でも彼女がなにを考えてるか想像して泥沼にはまるよりはマシか。 王基はゆっくりと体勢を立て直し、構えを取る。 「……礼はいわないからね」 「言ってほしくもない」 対峙する2人。 「……でもそんな優しい文舒に選択肢をあげる。Bチームはあとあなた1人だけ。降参するなら枕をぶつけないでおいてあげるけど?」 「わぁ、嬉しい。断ったらどうなるのかな?」 お互いに会話を楽しむ風を装いながら相手の隙を探そうとする。 「……そうね。断った場合は……何世紀も変わらない措置を繰り返すことになるわ」 「やれやれ……肉体労働は苦手なんだけどなぁ」 王昶は苦笑しながら背を丸め……左足を少し前に出し、手をだらんと下げた構えをとる。 右手にはしっかりと枕が握られ…… ……なるほど。王昶はホンキってわけだ。 ……恐らくあの体制から一瞬で間合いを詰めながら振りかぶった枕で攻撃してくるつもりなのだろう。 王基には王昶の攻撃までの動きがありありと脳裏に浮かんで見えた。 ……だったら王昶が動いた瞬間、機先を制して枕を投擲する。 王基の心は決まり……そしてお互いが相手の動きを待つ…… ふ、と王昶の目が驚いたように見開かれ、伸び上がって左手を振った。 王基の後ろにいる『誰か』に合図するように。 ……誰!? 王基の集中力が一瞬削がれ…… それが致命傷になった。 気づいたとき、王昶の顔がほんの目の前にあり…… 「もうBチームは私1人だー、ってさっき言ってたじゃん」 優しくすら聞こえる言葉と同時に王昶は右手の枕をぽん、と王基の肩に当てた。
723:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:17 [nworo@hotmail.com] ぱちぱちぱちぱち…… 場違いなほどに緊迫した空間に拍手が響く。 「王昶、すごいなぁ。王基を一蹴かぁ」 ずっとその決戦の行方を見ていたのだろう、毋丘倹が柱の影から顔を出す。 「一蹴ってほどでもないさ。今日はたまたま私に軍配が上がっただけ」 毋丘倹がいたことに驚くことすらなく興味もなさそうにため息すらまじえながら王昶がいう。 「私はどう料理してくれるのか、楽しみになってきちゃうな」 「我に策なし。困ったなぁ」 嬉しそうに微笑みながら構えを取る毋丘倹に王昶はにやにやと笑いながら再び猫背になる。 一触即発。 緊迫感だけがどんどんと高まっていく。 現生徒会最強を決めるにふさわしい勝負が…… 王昶の後頭部に枕がぶつかった。 ……あっけなく終わった。 王昶だけでなく対峙する毋丘倹も不思議そうな顔をする。 「私がいるってこと、忘れてもらっちゃ困るわね」 ……胡遵。 「あ、いたっけ。すっかり忘れてた」 「あー、地味すぎだよぉ」 王昶だけでなく毋丘倹からも忘れられていた。 「え……忘れていた、って冗談、よね?」 胡遵の言葉に2人はそろって首を横に振る。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! ひどいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 胡遵は泣きながら走り去った。 あまりといえばあまりな仕打ちである。 「えぐ……えぐ……」 戦い終わってみんなで温泉に浸かっていた。 大浴場だから結構広い。 「胡遵泣かないで。大丈夫だから」 州泰が慰めているがなにが大丈夫なのだろうか。 文欽と諸葛誕は目すらあわせようとしない。目があったら血の雨が降る、多分。 楽チンはお湯に顔を半分浸からせてぶくぶくさせて遊んでいる。結構満足そうだ。 毋丘倹は文欽と諸葛誕のフォローに入ろうかどうか迷っているようだ。気苦労が耐えない性格である。 令孤愚は昜をからかって遊んでいるようだ。確かにからかいがいはあると思う。 「……文舒、ぼーっとしてどうしたの?」 同級生たちをただ見ていた王昶に王基が声をかける。 「いや……変なやつらだなぁ、と思ってね」 「……朱に交われば赤くなる、ってやつね。文舒も十分に変だってことを自覚したほうがいいと思う」 王基の身も蓋もないセリフに王昶は苦笑を浮かべながら手ぬぐいを頭の上に乗せた。
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