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719:北畠蒼陽 2005/07/10(日) 00:15 [nworo@hotmail.com] Aチームの面々がコインの軌跡を追う。 王昶は高々と上げた左手をいきなり振り下ろした。 Aチームメンバーは唖然とし、次の瞬間、王昶の考えを理解する。 王昶はこう言った。『コインが落ちた瞬間、戦闘開始』……別にコインを放り投げたあともう一度、コインに触れない、とは一言も言っていない。 Aチームメンバーが理解したときには加速度をつけた左手とともにコインが旅館廊下に叩きつけられ…… 「おぶわッ!?」 諸葛誕が横殴りの一撃を受けて吹っ飛んだ。 「ふふ……ってなんで諸葛誕ーッ!?」 王昶が勝ち誇った笑みと同時に絶叫する。なかなか器用である。 ちなみに諸葛誕はBチームだ。 諸葛誕に枕を投げつけたのは文欽だった。 ちなみに文欽もBチームだ。 「おぉっと、あまりにも偽善者くさいから間違えちった。なに? オウンゴールってやつ?」 そんなに嫌いか、諸葛誕のことが。 Aチームメンバーが呆然として事の成り行きを見守る。 頭を抱える王昶。気持ちはよくわかる。 そして悪びれない文欽。 「あ……あんたってやつは……」 側頭部に強烈な一撃をくらいながら、諸葛誕は唖然と文欽を見上げる。 「うるさい。戦死者に発言権はない」 Aチームもどう動いていいのかわからなさそうに顔を見合わせ…… 王基がしゃがんで頭上を高速で吹っ飛んでいく枕を回避し、令孤愚は枕をモロに顔面で受ける羽目になった。 「ちぃ、当てるつもりだったのに!」 「こっちは撃墜マーク1個、まぁまぁね」 地団太を踏んで悔しがる楽チンとガッツポーズの州泰。 さすがに諸葛誕戦死は予想外であったものの、その混乱に付け込むことができずただ呆然とする敵に対し、立て直し、即反撃するところはさすが生徒会の一流ドコロといえた。 しかし当然、Aチームも生徒会の猛者である。 武器である枕を手に全員が散会した。 州泰は旅館通路をひた走っていた。 ルールはよく覚えている。 枕が当たったものは戦死扱いとする。 逆を言えば極論、銃で撃たれても戦死にはなりえない。 ではその枕はこの世に無限に存在するのか? 否、である。 フィールドが旅館のみに限定される以上、当然のように枕の数も有限である。 武器がなくなればジリ貧になることは間違いない。 であればまずは武器の確保にいそしむべきであろう。 どこから武器を徴収する? いくらなんでもまったく知らない客が泊まっている部屋に入っていって枕を要求するわけにもいかない。 当然、同じ修学旅行という空間である以上、同じ旅館に泊まっている学校の人間に要求することになるが…… 「え、えっと……そ、そこまでです」 後頭部に枕がぽすん、と当たる感覚に州泰は天井を見上げた。
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