★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
736:海月 亮2005/07/10(日) 22:13
それから、その火が燃え尽きるまで、ふたりでただそれを眺めていた。
相変わらず目に映るのは、炎の柔らかな緋の色と、その中で黒く小さく変わっていく、白かった紙箱の慣れの果て。
私には、まるでそれが今の…いや、これまでの自分のように思えていた。
緋の炎は彼女。
私はその中で、その炎が消えないようにしてきたんだと、そう思えてきた。
だったら…その「白い箱」が私自身であったと言うのなら…
「…なぁんだ」
私はきっと、とんでもない思い違いをしていたのかもしれない。
きっとこの白い箱には、最初私が思い込んだ意図など、何処にもなかった…。
「答え、見つかりました?」
「ええ…荀揩ヘ荀揩ナしかない、って、こう言うことだったのね」
私の心の靄は、もうすっかり晴れて…その向こうにあった私なりの「答え」を、ようやく見つけることが出来た。



合肥棟の屋上で、眼下の戦場を眺める少女ふたり。
眼下の喧騒に比べ、曹操と夏候惇がいるその場所だけが、まるでそこだけ別の世界のように静かだった。
「文若さんたち…引退、するんだってな」
「うん。でも…いいんだ」
背後に立つ従姉妹に振り向くこともなく、寂しげな笑顔を空に向けながら、曹操は呟いた。
「あたしの気持ち、ちゃんと解ってもらえたと思うから」
「そうか」
少女は、かつて自分を影ながら支えてくれた少女が身に付けていたストールを翻す。
(今まで…ありがとう。たまには、学園から出て一緒に遊びに行こうね)
今まで影ながら支えてくれた少女に、彼女はしばしの別れを告げた。
その瞳から流れる涙は、風が払ってくれた。
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