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793:北畠蒼陽 2005/08/13(土) 19:09 [nworo@hotmail.com] 「貴様ッ……!」 激昂した妹……満偉が殴りかかろうとするのを右の手をわずかに上げただけで静止し、満寵はゆっくり口を開く。 「そうね。私が凄腕かどうかはじっくりと見定めればいいわ」 満寵の言葉に王昶は露骨に顔を歪め、舌打ちする。 「わかんねーヒトっスねー。アンタじゃ役不足だってことを遠回しに言っただけなんスけど!」 王昶の後ろでは王基が冷静に満寵の一挙手一投足を見定めている。 その王昶も傍若無人な言葉使いに見えるが目の奥には冷静の影が見え隠れしている。 なるほど……なかなかいいコンビだ。 確かに王凌が懐刀として信頼するだけのことはある。 だが…… 「ふぅ」 満寵はため息をつき椅子から立ち上がる。 「表へ出な」 ……まだ不足だ。 対峙する1人と2人。 南方戦線最高峰の女傑と2人の1年生。 校庭へ出た3人を校舎の中から興味深く皆が眺めていた。 もちろんこの南方の重鎮が負ける、などと考えている人間などいはしない。 生意気な1年生が何秒持つか、だけをただ興味深く眺めていた。 「あの目、気に入らなーい」 校舎のほうを睨みつけ王昶が呟く。 今、自分がこの校舎の英雄をどれほど挑発したか、は自覚していたし、それによってここの校舎の学生たちがどれほどの敵意を抱いたのかはなんとなくわかっているつもりだ。 だが敵意だけを自分にぶつけてあとは満寵に任せようとする、その根性が気に入らない。 「……」 だがその王昶に王基はちら、とも視線を向けることなく注意を喚起することもない。 『油断するな』とか『集中しろ』とかいう言葉は必要ない。悪態ついてるあの状況が王昶の集中、ってことか。 「センパイ、早く終わらせましょう。気分が悪い」 吐き捨てるようにいう王昶。 それをことさらに無視するように満寵は王昶の傍らに立つ王基に声をかける。 「そっちの……王基だっけ? あんたはしゃべんなくていいの?」 「……正直、あなたにかかっていくのは時期尚早だと思う」 ほう、と思う。 「……今、あなたをぶちのめしてもあなたに政治的に最大限のダメージを与えられるわけじゃない。本当はもう少し工作したかった」 ただの腰巾着かと思ったら……言ってくれるじゃないか。
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