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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
881:北畠蒼陽 2006/02/27(月) 05:26 [nworo@hotmail.com] 戦場を眩しそうに見つめる毋丘倹に丁奉は黙り込み……そしてやがて口を開く。 「……るだけですか?」 「ん?」 聞き取れなかった毋丘倹が顔を丁奉に向ける。 「看取るだけですか!? それじゃああんたはただの弱虫だ!」 戦ってる仲間がすぐ傍にいるのに……力があるのに助けようともしない。 ただ見ているだけ! 「私はすでにリタイアした身よ」 苦笑を浮かべる毋丘倹。 「……まぁ、それでもあなたが言うように出ていきたくなるわ。手を差し伸べたい。助けたい」 毋丘倹は言葉を切り……そして再び戦場を眺める。 「でも絶対に助けない。私がいないことを前提で全力で戦ってる親友を侮辱することになる」 「……理解できません」 丁奉の呟きに毋丘倹は肩をすくめる。 「別に理解する必要なんてないわ。考えずに感じろ、なんていうつもりもない。ただそんなもんなんだ、って思っておけばいいわ。さて……」 毋丘倹はゆっくりと丁奉に体を向ける。 「あなたは誰? そして私になんの用かしら?」 なんの用……そんなことなどわかりきっているのだろう。 冬の朝の空のように澄み切った純粋な闘気が風のように丁奉に向かって吹きつける。 これが……これが在校生最強の新陰流の使い手か…… 額を汗がつたうのを感じる。 「長湖部虎威主将、丁奉、です」 「あぁ……あなたが、あの……」 眉をぴくんと上げる毋丘倹。 「蒼天章を返上した人間にもケンカを売られれば買う権利くらいはあるのを知ってるわよね?」 「えぇ、そのために売ってますから」 丁奉の答えに納得した表情の毋丘倹。そして…… 「!?」 毋丘倹がすばやく太刀を振りぬき、丁奉の右手首を打ち抜く。 丁奉は2歩下がり木刀を構え臨戦態勢に…… 毋丘倹先輩は太刀など最初から持っていただろうか? 毋丘倹は最初となにも変わらずポケットに手を入れたまま、そこに立っていた。 「ただのフェイントだから気にしなくていいわよ」 かといってなにも反応されなかったら悲しいものがあるけどね……そういいながら苦笑する毋丘倹。 反応しないでいられるものか。あんなに純粋な殺気をフェイントに使うなんて。 しかし丁奉は顔に笑みを浮かべる。 これだ。 こいつに勝ってこそ私は今よりも強くなれる。 「先輩のエモノがないですね。どうしましょう?」 構えを崩さず、また呼吸を精一杯に落ち着かせながら丁奉は毋丘倹に尋ねる。 「あぁ、いらないわ」 毋丘倹は気軽に答えた。
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