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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★
904:弐師 2006/04/06(木) 19:27AAS
「ああ、あなたが公孫越さんかい?」
「はい。よろしくお願いします、孫堅さん。」
「はは、同い年だろ?気楽に行こう。」
ふうん、この人が孫堅さん?
少し癖のある茶髪、赤いリボンに、整った精悍な顔立ち。
お姉ちゃんとは少しタイプが違うが、それでも相当の美人だった。
よかった、袁術先輩の部下って言うから、どんな奴かと思っていたが、とてもさっぱりとして付き合いやすいタイプの人のようだ。
「いや、にしても凄いな、あなた達のバイクの動きは。しっかり統制が取れてる。」
「そう?」
「ああ、素晴らしい。それに私たちはあまりバイクは使わないから、尚更そう見える。揚州は川ばっかだし、長湖に面してるからね。」
「へぇ・・・」
長湖か。名前は聞いたことがあるけど、私は見たことがない。
いつか、其処までの道を遮る奴らを討ち滅ぼして、絶対に、見に行ってやる!
・・・そしてウォータースポーツし放題!なんてね。
と、ふざけた妄想をしているうちに、こちらに駆け寄ってきた女性がいた
「孫堅様、報告に参りまし・・・あら、あなたが公孫越さん?私は程普っていうの、よろしくね。」
背が高く、少々あか抜けない感じの人、まあ、幽州校区の私があか抜けないなどと言えた義理でもないのだが。
「越さん、実は彼女も幽州出身なんだ。」
「あはは、そうなの。しかも北平だよ。」
そう言って程普さんはVサインを作ってにこっと笑ってみせる。
うん、そりゃああか抜けないはずだね・・・幽州だもんね・・・ははは、はぁ・・・
ま、まあそんなことは置いといて・・・ここは、本当に活気にあふれたいい軍だ。一人一人がとてもいい目をして、実に生き生きしている。
・・・そう、袁術先輩には勿体ないぐらいに素晴らしい軍。
今に袁姉妹なんて討ち滅ぼしてあげる・・・楽しみにねぇ?孫堅さん・・・
ふふ、まあそれは今は置いておこう。
今は、ね。
「そうなんですかぁ、意外だったなあ。」
「他にも韓当って娘はあなたと同じ遼西出身なの。」
「へえ!ずいぶんと遠くからみんな仕えてるんですね。」
「まったくだ、私の出身は呉だというのに。ところで程普、何の用だ?」
「あ、そうでした。あはは、すいません・・・。」
苦笑していた程普さんの顔が、少し険しくなる。少し視線もうつむきがちになった。
「袁紹配下の周昂が、部下を連れてこちらに向かっています、こちらより・・・大分人数は多いようです。」
「へえ、そうか、ありがとう。」
衝撃的な、報告。
しかし孫堅さんは顔色一つ変えずに私の方を向き、軽く笑いかける。まるで、「面白いじゃない?」と問いかけるように。
私は何も言わず、笑い返す。
それで、私の言いたいことは通じたのだろう。その笑顔のまま、よく通る声で命を下す。
「みんなー、袁紹の手先がこっちに遊びに来たみたいだ。しかも向こうさんは大人数と来てる。」
皆、彼女の前に隊列を組む。整然として咳一つ聞こえない。
その場にいた全員が、彼女の一挙一動に注目している。
「どうだ?面白いだろ!?お客さんが多い方がパーティーは盛り上がるってもんだ!さ、お出迎えにいってやろう!」
ぴんと張りつめられた空気を、彼女の一声が振るわせる。
「全軍、出陣!」
――――――――彼女の清冽な声に応じて鬨の声が響き渡る。
――――――――地の底から響くような衝動が私を揺さぶる。
――――――――体の奥から喜びにも似た感情が込み上がる。
そして、全てが混ざり合い、迸る――――――――
――――――――さあ、やっと面白くなってきた。
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