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★しょーとれんじすと〜り〜東晋ハイスクール★
2:玉川雄一 2002/02/08(金) 17:28 ■東晋ハイスクール・不退転の決意■ 「ちょっと、それって要するに全部自腹でやれってことですか!?」 蒼天学園と呼ばれていた一大学園都市、その一角。 その呼称に従えば揚州校区、建業棟の棟長室での一コマだった。 「仕方ないんですよ…それは、わかって下さい」 一人気炎を上げる少女に、申し訳なさそうに頭を下げる彼女の名は司馬睿。 よんどころない事情でこの揚州校区を預かる立場にあった。 そして、その司馬睿に詰め寄っている少女は名を、祖逖、士稚。 憤懣やるかたない表情は変わらなかったが、彼女とて事情は十分に理解できていた。 そう、学園はいまや未曾有の大混乱に陥っていたのである。 司馬炎による学園統一で訪れた平穏は束の間のものでしかなかった。 統合学園計画の見直しにより、後漢市外からの学生の流入が頻発。 折しも学園は蒼天会の内紛−後に“八王の乱”と称された−で揺れており、 外部からの侵入に対処する能力を喪失していた。 これにより、学園のほぼ北半部が外部より参入した学校に強制編入されてしまう。 司馬一家をはじめ多くの学生が「飛ばし」に遭い、またあるものは自主的に階級章を差し出した。 もはや「蒼天学園」は名ばかりの存在となり、後漢市には数多くの学校が乱立。 各校は統合学園計画によって大きな枠の中では繋がっているが、 その実自校の勢力を少しでも拡大せんものとして学校間で紛争が激発していた。 それは、後漢市がわずか数年前までのあの激動の日々に逆戻りしてしまったことを意味する… かつての蒼天学園の流れを汲むものは「女子部」として、 辛うじて荊、揚、廣、交らの南方校区を押さえるのみ。 また、北方では涼、平、幽州校区などには浮島のように、 未だ蒼天学園への在籍を主張する者達もいた。 しかしそれらも波に飲み込まれるように姿を消して行き、 やがては南方校区のみが生き延びることになる。 それはいつしか名を変えて、「東晋ハイスクール」と呼ばれることになるのだが… さしあたっては、まだ先のことである。
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