子源ちゃん ■臧洪■
1:玉川雄一2002/12/07(土) 22:07
硬骨の味好漢、臧洪タン。
早くよりその才を称賛され、各地の執行部員を歴任する。
いっとき役員職を退いていたが、広陵棟長である張超の招きに応じて復帰した。
時あたかも董卓の暴政が極まっており、臧洪は張超に決起を説く。
その言を良しとした張超は姉の張バクとともに有志を募り、反董卓の盟約を交わした。
この際、衆人の推薦を受けて臧洪がその宣誓の大役を果たしたという。
その後、混乱に陥った青州校区の秩序を回復させるため袁紹に招かれ、見事な成果を収めた。
これによって臧洪の名声は一層高まり、袁紹は彼女を東武陽の棟長に推薦したのである。

時は流れ、エン州校区は張バク姉妹の造反を契機に大混乱に陥っていた。
全州失陥の瀬戸際で踏みとどまった曹操は驚異的な巻き返しを見せ、ついにその大部分を回復。
ついに、張超の立てこもる雍丘棟を包囲した。
臧洪はかつて張超に推挙された恩があり、雍丘の救援に向かうことを決意する。
だが当時、曹操は袁紹と友好関係にあった。そのため、袁紹は臧洪の援助依頼を断り、出撃を差し止めようとしたのである。
結果、雍丘は陥落し張超は処断され、恩人を救うことができなかった臧洪は袁紹を深く恨み、断交するに至った。

ところがこの行為は袁紹のプライドをいたく傷つけた。
いかに臧洪が名の通った人物であるとはいえ、たかだかいち棟長、しかも自分が推挙したという経緯がある。
そんな相手にいいように振る舞われて虫の居所が良い訳がない。袁紹は大動員を発すると東武陽を激しく攻め立てたのである。
だが、臧洪も果敢に抵抗し、同郷の陳琳の説得にも耳を傾けようとはしなかった。
怒り心頭に発した袁紹は総攻撃を開始する。一方で棟内ではすでに戦力が尽きており、陥落は時間の問題となった。
臧洪は棟内の生徒達に退去を促したが誰一人応じず、最後の一人まで抵抗を止めようとはしなかった。
捕縛された臧洪は袁紹の前に引き出され、今一度降伏を説かれたがけして肯んじることはなく、
袁紹も事ここに至っては彼女を処断するより他になかったのである。


愚直なまでに忠義を重んじ、それに殉じた臧洪ではあったが、自ずと別の見方も存在する。
ハイショーシ君はかく語った。
「つーかよ、コイツ融通利かねえヤツだよな。
 張超に恩があったのは分かるけど、袁紹にだって世話になったんだろ?
 だいたい問題があったのは呂布の連中の方なんだから、叩かれるのは仕方ねーじゃん。
 百歩譲って張超に義理があったとして、だ。
 自分が危なくなったら逃げ出すなり方法はあっただろうに、よりによって孤立無援の籠城戦はねえだろう。
 道連れになった奴らだって少なくないしな、その辺どうよ?」

陳寿答えていわく、
「…その時、その場所にいなければ分からないこともあるわ。
 それに、人は理屈だけで動くものでもないし。
 正しい選択だったとは言い難いけど、間違っているとも言い切れないわね。
 自らが望んだ道ならば、悔いはなかったんじゃないかしら」
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