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【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
150:雑号将軍 2006/01/17(火) 22:31 旭日記念作品 ▲出逢いと楽しみは危険な香り▲ 今日は一月一七日火曜日。この日、蒼天学園の行事の中でも屈指の賑わいを見せる、旭日記念祭を前日に控え、まもなく前夜祭が始まろうとしていた。 前夜祭と言っても、実際は午後三時から始まるので、強いて言うなら「前昼祭」と呼ぶのが妥当かもしれないがそれほど重要なことではない。 今、重要なのは午後四時だということである。しかし、蒼天学園のどの校区を見渡しても生徒の姿はない。 いや、体育館がぞろぞろと生徒がはき出しているではないか。どの生徒もけだるそうに猫背になっていたり、あくびをしている。 無理もない。なぜなら、三時から一時間の間、学園長の演説を聴かされていたのだから。 ここは司隷特別校区。蒼天学園の首都とも言える校区でさきほどまでこの第一体育館で学園長が演説をしていたのだ。 まあ、聞いていた側の生徒にしてみれば迷惑この上ないものなのだが・・・・・・。 「ホント、何が起こったらあんなに話が長くなるよ!義真もそう思うでしょ?あーあー。あたしの初めての旭日記念祭をどうしてくれるのさ」 赤い髪で小柄な女生徒が、横にいた、自身が「義真」と呼ぶ、長身かつ長髪の女生徒に尋ねた。 どうやら二人とも学園長の餌食にあったらしい。 「同感だな。あんな形ばかりの儀式になんの意味があるのか、私には到底、理解し得ないな」 義真と呼ばれる女生徒は風でなびく長髪を気にしながら皮肉を込めてそう言った。 この女生徒の名は皇甫嵩。親しいものは義真と呼んでいる。多少きつめの顔に、一七〇センチを超える長身。そして、光加減によっては青色に光る長髪が彼女の凛々しさを強調している。 そして、彼女のハスキーな男口調が大きな影響を与え、一部の腐女子の間ではかなりの人気を誇っている。 もちろん皇甫嵩にとってはいい迷惑なのだが。 皇甫嵩は横に並んで歩く少女の不機嫌そうな顔を見て話を続けた。 「どうだ、公偉。これからショッピングモールにでもいかんか?」 旭日記念祭は蒼天学園も含めた華夏学園都市をあげての祭りのためショッピングモールも例外ではなく、様々な催しものが開かれている。 その何気ない誘いかけに「公偉」と呼ばれた少女は目を輝かせるのと同時に、なぜか前髪のひとふさが天を向いて逆立った。 「本当〜!やったあ!義真とデート〜デート」 少女は「デート」という単語をあからさまに強調しながら、皇甫嵩の周りをくるくると回っている。 この少女の名前は朱儁。親しいものは公偉と呼ぶ。いつも前髪のひとふさが天を向いて逆立っている。 また皇甫嵩と朱儁は小等部からの親友で、寮のルームメイトなのである。 「やっぱり、行かん!」 「デート」という単語に狼狽した皇甫嵩は照れ隠しのつもりで言い放った。 「うわ・・・・・・もしかして義真、照れてるの?」 朱儁の言葉に皇甫嵩はますます赤面する。そして一言、 「帰るぞ!」 そう言って、スタスタと早足で駆けていってしまった。 「ちょ、ちょっと待ってよ〜義真〜!」 朱儁はあわてて、皇甫嵩の後ろを追いかけていった。 「見て見て、義真!これもいいよねぇ」 「そ、そうなのか?」 結局、皇甫嵩はショッピングモールに来てしまっていた。そして今は朱儁の洋服選びに付き合わされているのである。 皇甫嵩は右手に買い物袋をぶら下げ苦笑していた。 しかし、皇甫嵩は決して、洋服選びが嫌いにわけではない。事実、皇甫嵩はすでに、紺のジャケットの購入を決めているのである。 しかし、朱儁は二種類のワンピースを見比べていた。こんな状況が、もう三〇分も続いているのだから皇甫嵩が苦笑しているのも、もっともであった。 「うん、決めた!こっちにする」 結局、朱儁はオレンジと白のワンピースを選ぶと会計の方へと向かっていった。皇甫嵩がその後ろから疲れ気味について行く。 二人は会計を済ませると、店員の明るい声を背中に受けて二人は店を後にした。 二人は店を出てしばらく歩いていると、一件のコスチュームショップが目に入った。 朱儁は、自然と上目遣いで皇甫嵩を見やる。これには「皇甫嵩へのお願い」が込められている。皇甫嵩はこの手の視線には、めっぽう弱いのである。 「・・・はあ。今日はお前に付き合ってやるよ」 皇甫嵩はそう言うと、二人並んで、コスチュームショップに入っていった。 入ってみると中は思った以上に広く、かなりの種類の装飾品が所狭しと並べられていた。 「いったいどこからこんなものを・・・・・・」 皇甫嵩が呆れるのも無理はない。 リボンやネクタイといった、一般的なもの以外にドクロのブレスレットなどのオカルトグッズも並べられていた。 それだけならまだしも、なかにはアニメの登場人物が着ている衣装までもが販売されているのであるから驚きである。 それらを凝視している女性客がいたのを皇甫嵩は見逃さなかった。 皇甫嵩がそうやって辺りを見回していると、朱儁が戻ってきた。 「これ、どうかな?」 「どうって、なにがだ?」 皇甫嵩が首をかしげて、そう言った。 すると朱儁は両手を開いて二本のリボンを見せた。一本は燃えさかるような深紅。そしてもう一本は澄み切った海のような紺碧色をしていた。 「おそろいにしようよ〜?あたしが赤で、義真が青にしてさあ」 「なるほど、確かにそういうのも面白いかもしれないな。よし、私は青を選ばせて貰うことにしよう」 皇甫嵩は珍しく、なんの躊躇いもなく朱儁から紺碧のリボンを受け取ると二人揃って会計をすませた。 皇甫嵩はさっそく後ろの髪を束ね、リボンで結び、ポニーテールにした。 その輝くばかりの凛々しい皇甫嵩の姿に朱儁はうっとりしていた。 髪の長い皇甫嵩に対して朱儁は髪が長くないので結ぶことができなかった。そのため朱儁は制服のクロスタイをはずし、そこにリボンを通し、前で蝶結びにした。 このリボンは二人が三年の夏休み二週間前になるまで、外されることはなかった。
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