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【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
172:弐師 2006/01/20(金) 17:39 生徒会室に戻ってきて、最初に思い出したのは、この髪を切ったときのこと。 ――――――――私の、妹のこと。 あの娘、越は可愛い娘だった、姉馬鹿といわれるかもしれんが、本当に可愛い娘だった。 その頃、私は髪を伸ばしていて、あの娘は逆にショートにしていた。 いつもにこにこと人なつっこい笑顔をしていて、周りの人皆から好かれていた娘だった。 ある日のことだ、私は彼女を同盟の使者に出した、袁術の元だ。 元々袁姉妹は気にくわなかったが、だからといっていまの私の力では、手を組まないわけには行かない。 隣り合う袁紹と組めばどうせあとで潰される、だから袁術と組んだ。 それだけのこと。 そう、それだけのことだったのに。 「あの娘、飛ばされちゃったの、袁紹との戦いでさ」 「え・・・」 「あのあとは大変だったわ〜、私が勃海棟長になったのもさ、その時の伯珪姉にびびった袁紹が私に棟長を譲ってきたの。それでさ、私とか厳綱ちゃんとかが必死で冀州に殴り込みに行こうとする伯珪姉を止めたの、私たちが止めなかったら本当に一人で殴り込みに行ってたね、あれは。」 そう、その時だ、私が髪を切ったのは。 復讐への覚悟と、鏡を見るたびあの娘を思い出せるよう。 だけど、その結果が界橋の、あのざまだ。 私は端から見たら馬鹿みたいなのだろう。 だけど、後悔はしていない。 あの娘の為なら、何だってしてやれる。 それが、我が身の滅びになろうとも。 何を犠牲にしようとも。 あの娘の、為なら―――――――― 「それ以来ね、伯珪姉が他人に心を開かなくなったのは。まあ、もともと自分にとって大切な人以外には愛想よくなかったけどね。」 「そんな・・・」 やっぱり、あたしは馬鹿だ、そんなことも知らないくせに。 伯珪さまにべたべたして、 傷つけて。 どうしよう、どうしよう、どうしよう。 「ねえ、士起ちゃん・・・伯珪姉のところに行ってあげてくれない? あの人さ、いつも強がってるくせ、繊細って言うか、弱いところがあるからさ。」 範さまの声で、ふと我に返る。 「え・・・でも・・・あたし・・・」 「いいから!行って来なさい!」 私の声に驚いて、士起ちゃんは戸惑いながら階段へ向かって走り出している。 (ねえ、士起ちゃん。私、ちょっと口惜しくていえなかったけどさ、伯珪姉はね、貴女には心を開きかけてるの、貴女なら、あの人の「大切な人」になれるかもしれない。) 階段へのドアを開けようとしている士起ちゃんを見送る。 期待と、 羨みと、 ちょっとだけの、嫉妬を込めて。 「あーあ、何で私じゃだめなんだろ。」 何で私じゃ、伯珪姉の「大切な人」になれないんだろう。 誰も、多分伯珪姉自身でも答えられないであろう問いを、澄んだ青空に投げかけながら、 ――――――――私は、泣いていた。
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