【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
53:★惟新2004/01/20(火) 21:08AAS
☆★ 盧植 ★☆


 盧植がバスを降りると、そこには4名の女生徒がいた。制服から、中等部だとわかる。
「ご無沙汰です、先生」
 言ったのは、公孫[王贊]。その横に劉備、後ろには関羽、張飛。
「ごきげんよう、伯珪、玄徳。それに、皆さん」
 優雅にご挨拶。さらに言葉を繋ぐ。
「ごめんね、手伝わせてしまって。それも、こんな朝早くに」
「そんなんいいんすよ〜」
 と劉備。
「こいつらなんて牧場や牧場や、牛や馬や動物やと喜んでますよって!」
「あ…いや…」
 関羽が手を挙げかけるが、諦めろ、と張飛に肩をたたかれる。
 盧植は歩みを進め、その二人の前へ。
「関羽さんに、張飛さんでしたね。これからも玄徳のこと、よろしくお願いしますね」
 きらめく笑顔。それは薔薇の花が咲いたように華やかで。
 二人にとって盧植は、彼女たちが惚れ込んだ姉貴が、さらに師と仰ぐ人である。…当然、
「はい!」
 と、目を輝かせるのだった。
「ところで…」
 盧植が辺りを見渡す。
「確かもうお一人…」
「あああ、あれは急に具合が悪ぅなりましてん…」
 ぶっちゃけ、簡雍は逃げた。
「そう、それは残念ね。ご挨拶が出来ると楽しみにしてたのに」
「いや〜ホンマですわ〜」
 言いつつ、劉備は耳たぶをいじる。
 この頃の劉備には、嘘をつくと耳たぶをいじる癖があった。
(あらあら…)
 盧植はくすりと笑う。
「さあ、それでは参りましょうか」
――登ること数分。
「牧場や牧場や! 牛や馬や動物や〜!」
 劉備が駆け回る。
「おーい、あんまはしゃいで怪我すんなよ〜って、劉備あんたがはしゃぐんか!?」
 公孫[王贊]が盛大につっこむ。
「え? 何ですぅ?」
 劉備は、無邪気に首をかしげ。
「あらあら、玄徳ったら…」
 盧植は鈴の鳴る声で笑う。
 と、そこへ。
「おはようございます!」
 闊達な声が響く。
 振り返ると、数名の男子。南匈奴高校畜産科の生徒である。
 学校側とは話がつけていて、彼らはミルクを運ぶ手伝いをしてくれる約束だった。
「まあ。ごきげんよう、皆様」
 そして、盧植は優雅にご挨拶。
 途端、男子たちに衝撃にも似たどよめきが走る。
「可愛い…」
「可憐だ…」
「美しい…」
「くぅ〜!」
「タマンネー!」
 思い思いに身悶える野郎ども。
 公孫[王贊]はそれを遠巻きに見やりつつボソリと。
「騙されてる、騙されてるよ…」
「何か、おっしゃいまして?」
 くるり。盧植先生が怖いくらいの笑顔で振り返る。
 その袖口に目をやると――二丁の拳銃がキラリ。
「ひっぃ! い、いや、何でも…あはは…」
 公孫[王贊]は思わず頭をかいて誤魔化す…が、男子たちの視線に気付いて一変。
「オラ! お前ら何見てやがる! とっとと出すもん出しやがれ!」
 公孫[王贊]ご自慢の大声量に、男子生徒A〜Eは驚きすくみあがった。
「あ、姐さん…それじゃまるでカツアゲみたいでんがな…」
 劉備が思わずつっこむ。その横で関羽が
「それ以前に男子高校生を怯えさせる女子中学生というのも問題かと…」
 などと言うが、誰も聞いていやしない。
 そんな中、盧植が割って入った。
「伯珪、ダメですよ? そんなふうにおっしゃっては…
 あの方たちは私たちの手伝いをしてくださるのでしょう?」
 そして向き直り、
「ごめんなさいね。この子も口が悪いだけで、とてもいい子なんですよ」
 そう言って、また優雅に頭を下げる。
 男たちは再度盛り上がり…
「だから騙されてるってば」
 公孫[王贊]は頭を抱えるのであった。

 実はこの男子生徒の中に、のちに中華市中を放浪することとなる於夫羅がいたのだが、
それはまた別のお話である。
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