【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
165:冷霊2006/01/19(木) 22:56AAS
■雪降る戦場にて・4

「あれ?扶禁先輩もアウトですかー?」
部室に入ってくるなり、トウ賢が扶禁の姿を見つけた。
扶禁は炬燵に入り、劉循と一緒にレーダーの様子を眺めている。
「冷苞とトウ賢揃ってアウト?もしかして相討ちだったの?」
「いや、オレが勝つには勝ったんですけど……ってか、循も来たのか?」
「うん、お姉ちゃんが来れないから代わりに見てきてって」
「タマさん、相変わらずこういうことだけは見逃さねーよなー」
トウ賢が煎餅を手に取り、パリッと一齧りする。
「ってコトは張任さんも来てんの?」
「ううん、張任お姉様はバイトがあるから無理だって……」
しゅんと俯いてしまう劉循。
「だったら後で手伝いに行かねぇか?どうせ暇なんだしさ」
「え、ホント?」
ぱぁっと表情が明るくする劉循。姉に劣らず、非常にわかり易い性格である。
「お、冷苞にしちゃあいいこと言うじゃねーか」
トウ賢が茶化すようにクスリと笑う。
「『冷苞にしては』は余計だ。で、誰が残ってる?」
冷苞がレーダーを覗き込む。
「楊懐さんに高沛さん、それに向存の三人ね」
「へぇ、向存さんが?何か意外だな」
冷苞が煎餅を取り、齧った。
「あれ?そういや杜微先輩はどーしたんです?」
周囲を見回したトウ賢がふと尋ねる。
確か杜微は審判もといチェック役として頼んでいたはずだが……
「ああ、杜微さんならあたしが来るなり、後宜しくって帰ったわよ」
「あれ?杜微さんって体調、あんまり芳しくねぇんじゃ……?」
冷苞が首を傾げる。
「書類整理くらいならってことで手伝ってるみたいよ。後、ついでにこれも宜しくだって」
どさっと炬燵の上に置かれる紙の束。
もう既に見慣れたものである。
「あー……もしかして始末書ですか?」
トウ賢がさり気無く目をそらす。
扶禁が是の意を込めて頷く。
「冷苞にトウ賢……また壊したの?」
劉循が溜息混じりに首を傾げる。
「あー……オレ、劉循との約束が……」
そろりそろりと冷苞が出口へと向かう。
だが、その後ろからぎゅっと扶禁が捕まえる。
「逃がさないからね?あたしも手伝ったげるから、今日中に片付けるわよ?」
冷苞の左腕を掴み、炬燵へずるずると引き摺っていく。
「良ければ私も手伝うから早く行こう、ね?」
いつの間にか劉循が右腕を掴んでいる。
もはや逃げることは出来ない。
トウ賢も既に脱出は諦めているようだ。
「い、嫌だーっ!!」
冷苞の叫びが校舎に木霊した。
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