【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
212:弐師2007/01/20(土) 22:24
「ふぅ・・・じゃあ続ちゃん、これを向こうに持っていっておいてくれないかしら。」
「はいはい、向こうね。」


今夜あるパーティー、その準備は着々と進められている。幽州校区ではこんなイベントはなかなか無い為、毎年の事ながら、私を含めた準備役員は相当張り切っている。このパーティーは引退組のみで開催されるので(もちろん現役で課外活動に参加している人は別に催しがある)、日頃の憂さ晴らしという面も大きいのだが。
今準備に取り組んでいる人たちは、このパーティーのメインとなるダンスを出来ない、しない、という人たちの中からの有志だ。
(主として私の手伝いをしてくれている続ちゃんは二番目のタイプだ。曰く「お姉ちゃん以上の相手なんていないもん」だ、そうな。)


「じゃあ、これはどうすればいいのかしら?範さん?」
「ああ、それはそっちに・・・って、伯安さんじゃないですか!」
「ええそうですけど・・・なにか私まずいことでもしてしまいましたかしら・・・?」


目の前で困り顔をして首を傾げているのは、劉虞伯安さんであった。
気品にあふれる立ち振る舞いで、常に穏やかな笑みを絶やさないどこか世間からずれたところのある可憐なお嬢様で、蒼天会長とも血縁があるという方だ。
そんな由緒正しいお嬢様なので、もちろんダンスには参加するものだと思っていたから私は彼女に声を掛けられて不覚にも驚いてしまったというわけだ。


「伯安さん・・・あの、ダンスの方は?」
「あら、それで先ほどはあんなに驚かれたのですか。・・・いつも御相手していただいていた魏攸さんが病気で引退してしまいましたからね・・・それで、今年は遠慮させていただくことに致しましたの。」
「ああ・・・これは酷なことを聞いてしまいましたね・・・」


魏攸さんというのは、彼女が幽州総代を務めていた頃の参謀で、病気が原因で課外活動を引退したのだ。彼女さえいれば、伯珪姉と伯安さんがあれ程までに争うこともなかったであろうと言われている。伯安さんと魏攸さんはとても仲が良く、伯珪姉が魏攸さんを闇討ちしたから戦いが始まったなどとふざけた噂すら流れたこともある。


「いえいえ、お気になさらず。そんなことより範さん、急がないと準備が間に合わないのではないでのですか?」
「あ・・・」


その通りだった。今年は例年と比べてダンスの参加者が多く(おそらく一般生徒の間で人気があった伯珪姉と伯安さんが今年で見納めという点からであろう)、それに伴い準備の人数も減少してしまったのだ。


「そ、そうでしたねぇ。じゃ、とっととやっちゃいますか!」
「ええ、そうしましょう。」


そう言って伯安さんはにっこりと微笑む。
上品で、それでいてあたたかい。まさに「乙女百合」といったところだ。
その笑みを見ていると私も心が暖まる気がした。この人が見ていてくれるなら、何でも出来そうな気がする。そんな笑顔だった。
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