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【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
187:7th 2006/01/23(月) 23:00 巫女服。 白の小袖に緋色の袴。正月の神社でよく見るアレである。 女性にも割合好まれる服装であり、そのためか正月の巫女の求人は狭き門となっている。ある意味、女性の憧れと言っても良い服装である。 正月にはまだ早いが、別に正月でなければ着てはいけないと云う決まりも無い。むしろ可能ならば一年中愛でていたい衣装、それが巫女服。 長い髪を赤いリボンで束ね、手にはお払い棒を持った法正。 髪はそのままに、右手に玉串、左手に神楽鈴を持った簡雍。 両人とも、即席巫女とは思えぬほど様になっている。 「うんうん、インパクトにはちぃとばかし欠けるけど、巫女服は王道やしな。やっぱし外す訳にはいかんやろ」 「ほんとですね。私も腕を揮った甲斐がありました」 満足げに頷く劉備。その傍ら、衣装提供者兼プロデューサーの趙雲もまた、会心の笑みを浮かべている。現役の巫女に太鼓判を押される程なのだから、やはり大したものなのだろう。 「…やけに本格的な仕立てだと思ったらコレ本物!?」 「なんつー無駄なことを…」 趙雲提供と云う事は、当然この服は彼女の実家、常山神社のものである。この時のために、わざわざサイズが合うのを持ってきたらしい。 しかし、こんな目的に神聖なはずの巫女服を使用していいのだろうか。 「いえいえ、お二人ともよくお似合いですよ。お正月には是非、うちの神社でバイトしてみませんか?」 どうやらアルバイトの勧誘と面接も兼ねているようだった。 スク水。 正式名称スクール水着。小学校から高校までの体育における水泳用に採用されている水泳着を指す。 その限りないフェティシズムは、制服・ブルマー・スクール水着の三つをもって『お菓子系』と称され、支持を集めている。 濃紺のナイロン生地に、白い名札布が映える。前の内側腹部から外側下半身にかけて穴が開いて、前からだとスカートのように見えるそのデザイン。 紛う方無き旧スク水である。 あまりの恥ずかしさに、法正は頬を真っ赤に染めている。 それもその筈。一般にスク水に使用されるナイロン生地は、分厚い上伸縮性に乏しい。少々サイズが小さいだけで、簡単にぱっつんぱっつん少女の出来上がり……つまりはそう云う事である。 最早、作為的どころの騒ぎでは無い。どう見たって恣意的だ。誰が考えた? 簡雍の方はもっとそれが顕著だ。 デザインは法正と同じ、旧スク水。しかし圧倒的に異なる、その色。 真っ白なそれは、禁断の白スク。 スク水は、何も伊達や酔狂で濃い色をしている訳ではない。水着という性質上、それは必ず水に濡れる。そうなった時、水着を通して身体が見えぬよう考慮された上でのあの色なのだ。 故に、スク水に白が採用される事は基本的に有り得ない。だからこそのアンビバレンツ。これこそ、禁断と呼ばれる所以である。 「…こんなの撮って良いの? 倫理的に問題があるような気がするんだけど」 「全くだ。一体どんな層をターゲットにしてんだよ、コレ」 どう考えてもそっちの人対象である。最悪だ。 「まぁええやん。売れて儲かればいいって事で。あまりヤバイのは編集でカットするから」 そう言いつつ、手に持ったビデオカメラを二人に向ける劉備。動画も売る気なのか。 「……早く終わってくれないかしら。正直、この格好って結構肌寒いのよね」 真夏や屋内ならともかく、秋の気配を仄かに見せ始める今の時期でこの格好は、少々無理がある。 寒そうに胸の前で腕をかき抱く法正。それを見て立ち上がったのは諸葛亮だ。…何だろう、このそこはかとないヤな予感は。 「ふむ、寒いと仰られるなら法正殿、この上着をどうぞ」 そう言って渡された服を、言われるままに着る法正。そして気付く。コレは……! 「半袖体操服……っ! 見事や、孔明!」 「はっはっは、お褒めに預かり恐縮です」 これこそ奥義『スク水の上から体操服』。前述の『お菓子系』三要素のうち、二つを同時に盛り込んだ究極のスタイル。 スク水のオプションと言うにはあまりにも破壊力の強いこの組み合わせ方は、まさしく奥義の名を冠するに相応しい。 「ぃよし! コレだけで売り上げ15%アップは間違いなしや!」 「「そんなのどうでも良いから早く終われー!!」 涙目になりつつ叫ぶ簡雍と法正。でもね、まだ終わんないんっすよ。 ナース服。 『クリミアの天使』ナイチンゲールに由来するこの制服は、彼女以来、看護婦の象徴となっている。 看護婦と云う名称が看護師になったのは記憶に新しい。が、そんなのは関係ない。重要なのは、そこにナースがいる。ただそれだけだ。 ナースのことを『白衣の天使』と呼んだのも昔の話。最近のナースは一味違う。 具体的には白くない。淡い色が基本ではあるが、グリーン、ブルー、イエロー等、実にカラフルだ。 勿論、ピンク色のナース服なんてのも当然のように存在する。暖色系の色は見る人に安心感を与えるらしく、病院でも意外と違和感が無い。 そして、今まさに簡雍が着ているのがソレ。ピンクのナース服にナースキャップ、追加装備にカルテを持たせてある。 確かに看護師なのだが…… 「うーん、何ちゅうかなぁ…。看護師だけどナースっぽくない気がするなぁ…」 「待て、ソレは一体何処がどう違うんだ」 「憲和の場合、ナース界の二大幻想、『ツンデレナース』と『ドジっ娘ナース』のどっちにも当てはまらんしなぁ…。言ってみれば『おたんこナース』?」 「意味がわかんねぇ…」 ナースと云うのは、外野の壮大なる共同幻想である。実際の看護師はとんでもない重労働で、肉体労働の上に休みも少ない。かなり過酷な仕事なのだ。 仕事に疲れ果て、微妙にやさぐれた看護師…今の簡雍はそんな風に見える。この上なくリアルだが、それ故にかえって減点だ。 一方、法正はピンクナースに非ず。白いワイシャツに膝上のタイトスカート、眼鏡をかけて白衣を着こなすその様は、どう見ても女医。 法正のソリッドな印象に、服装がばっちりマッチしていて、こちらもリアルである。只、簡雍ナースとの大きな違いは、リアリティが加点になっている事だろう。如何にも大人の女性然とした法正。何と云うか、色気がある。一歩間違えればイメクラと変わらない辺りが特に。 「完っ全に女医さんにしか見えんなぁ。将来はその道へでも行くんか?」 「生憎と私は文系でして、そっち方面はさっぱりです。孔明辺りにでも行かせてください」 「いえいえ、別段医者でなくとも白衣は着れます。文系でもカウンセラーとかありますしね。斯く云う私も、白衣は普段着として愛用してますが」 そう言われれば、確かに孔明は白衣を常日頃から着ている。もっとも彼女の場合は、あまりにも自然過ぎて本当に普段着にしか見えないが。 「ま、取り敢えず悪くはないからこんなもんで言いやろ。ナース服については次回までの課題と云う事で」 「三回目もやる気かよ!!」 簡雍の悲鳴が、空に響いた。
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