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【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
221:雑号将軍 2007/01/27(土) 17:36 彼女には親友がいた。何者にも代え難い親友が。 しかし、彼女とは二カ月前にある事件が元で絶縁関係にあった。そしてそれは、学園を巻き込んだ大事件へと発展した。 結果として、その事件をきっかけに二人は仲直りをした。しかし、その代償として彼女は親友の刃で肩の骨を折られることになった。 そして親友は一度も彼女の見舞いに来ることはなかった。 それから、何時間経っただろうか。目を開けた朱儁の見える景色はいかんせん暗い。 「もう・・・・・・旭祭り、はじまっちゃったな」 俯いたまま朱儁は呟く。いつも天に向かって逆立っているはずの一握りの赤髪さえも、力なくしおれている。 そんなとき、朱儁の耳に足音が飛び込んできた。 ことん、ことん、とまるで前進することを戸惑うかのような重い足取り。 そしてその足音は少しづつ、大きくなってきていた。 もう面会時間は窓の外を見る限りとっくに過ぎているし、朱儁の病室の周りは空室だ。 朱儁は近くにある青いアナログの腕時計に目をやった。 「やっぱり、看護師の巡回には早い・・・・・・」 朱儁はまだはっきりしない頭で思考を巡らす。彼女はつい最近まで生徒会の中で、かなりの地位にいた。それ故に飛ばしてきた人間も多い。 それらを総合してたどり着く答えは一つだった。 朱儁は慌てて身体を起こそうとするが、思ったように動いてくれない。 やはり片手しか使えないことと、しばらく運動らしい運動をしなかったのが問題らしい。 そして、足音は止まる。朱儁の直感が正しければその足音は朱儁の病室の前で途切れている。 かろうじて身体を起こす朱儁は病室のドアに目を向けた。 そのさきにはぼんやりと一人の人影が映る。 場が張りつめた弓のように緊張している。朱儁の身体から冷たい汗が流れる。 ついにがちゃりと音を立て、扉が開かれた。 「・・・義真!?」 朱儁は目に映る光景を信じることが出来なかった。 しかし、彼女の目にははっきりと見えていた。いつもと変わらぬ、碧色のリボンで結ばれたポニーテールをもつ長身の女性が。 「・・・・・・」 朱儁の言葉に彼女は答えなかった。しかし、朱儁のベッドの前まで近づく。 そんなそっけない態度に朱儁はますます疑心暗鬼に陥る。 「久しぶりだな。公偉・・・・・・。少し痩せたんじゃないか」 彼女を見間違うはずなどないのだ。 仲違いを起こすまでは何をするのも一緒だった彼女を。 最も信頼し、最も憧憬した彼女のことを・・・・・・。 彼女は皇甫嵩。 そう、一番の友達。
222:雑号将軍 2007/01/27(土) 17:41 朱儁は涙が溢れそうになった。しかし、泣いてるところを見せたくなかった彼女は顔を背けて拗ねた声で言った。 「そりゃそうだよ・・・。義真が遊びに連れってくれないから」 言いたいことはこんなことじゃない。 というより、遊びに連れて行かないからと行って痩せるわけではない。 それは朱儁自身が一番よく知っていた。しかし、朱儁は素直になれなかった。 「そうだな。すまん・・・」 それでも、皇甫嵩は素直に謝った。 朱儁はどうして皇甫嵩が一度も見舞いに来てくれないかを知っていた。 「公偉に怪我を負わせたのが自分であるから」そんな負い目を彼女は感じているのだ。 しかし、今、彼女はここにいる。 朱儁はそれだけでうれしかった。しかし、どうにも素直になれない。 そんな彼女を知ってか知らずか、皇甫嵩は苦笑を浮かべた。 「お詫びといっては何だが、これから旭祭りを楽しまないか?と言っても、この時間だと花火大会くらいしか残ってないが・・・・・・」 朱儁はびっくりして、目を丸くしながら、皇甫嵩の方を見た。 「でも、あたしは外出禁止だし・・・・・・」 そんなことは誰にも言われていない。むしろ少しは歩けと言われているくらいだ。でも、今日の朱儁は自分の気持ちに素直ではなかった。 そんな朱儁の態度に皇甫嵩は困っていたが、やがてこう付け足した。 「しかし、私は公偉と行きたい。毎年、お前と行っているのだ。やはり、公偉がいないとどうも落ち着かない・・・・・・」 そしてさらに皇甫嵩は目を泳がせながら続けた。 「それに・・・・・・今まで、私は公偉の我が儘に何度付き合ってきたと思っているんだ。一度くらい、私の我が儘をきいてくれたっていいだろう?」 そう言った皇甫嵩の声はところどころ裏返っていた。 朱儁はいつもと違う彼女の態度や言動に、戸惑っていたが、やがて声を上げて笑うと、皇甫嵩の目を見て答えた。 「もう、しょうがないなあ、義真は。わかった。付き合ってあげるよ」 そう言って、朱儁はもう一度、笑った。 その笑みは出会った頃と変わらぬ、裏のない素直な笑み。 ずっと見ていなかった彼女の本来の姿。 それは皇甫嵩が大好きな彼女の姿。 「そうと決まれば・・・・・・」 皇甫嵩はそう呟くとお姫様だっこの要領で朱儁を抱き上げた。 「ちょ、ちょっと!な、なにするのよ!」 朱儁が不満をあらわにすると、皇甫嵩はうっすらと笑みを浮かべて答えた。 「外出禁止と言うことは要するに運動するなということだ。だから、これが一番だろう」 皇甫嵩は不敵に笑うと、朱儁を抱きかかえたまま、病室から抜け出していったのだった。 「もう〜!義真のいじわる〜!」 そう言った朱儁の顔は笑っていた。まるで雨上がりに咲く朝顔のように。 「これからも、よろしく頼むぞ、公偉!」 「うん!こっちこそ、よろしくねっ、義真!」 朱儁の髪の一房はピンと跳ね上がっていた。 余談だが、この日、長身の男にお姫様だっこされた純白のドレスに身を包んだ少女が生徒に混ざって花火を見ていたという目撃情報が多く寄せられたが、真偽のほどは定かではない・・・・・・。 受験戦争に見事に敗北した雑号将軍、帰還致しました。まあ人生長いんでゆっくりやります。 ということで、旭記念日作品。なんとか仕上げました。もしかすると、もう閉祭してたり…。まあいいか。 とりあえず、一年近く書いていなかったので文章力が落ちてます。無かったのがさらに落ちてます…orz。また勉強し直しですね。 今度は卒業式だ〜!!
223:韓芳 2007/01/31(水) 00:41 >雑号将軍様 敗北しましたか… まあ、私も敗北寸前ですが…(−−; お互い卒業出来るよう頑張りましょう!(心配してるの私だけ? まあ、それはおいといて。 一筆お疲れ様です。 皇甫嵩と朱儁のコンビ、いいですね〜。 本当に信頼できるものは、そう簡単には切れないですからね。 心が温まります。 試験まであと1週間か… orz
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