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【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
25:★玉川雄一 2004/01/17(土) 23:02 吾粲の眼(9) −明けて1月19日。 今日からまた、いよいよ中等部三年間のゴールが見え始めた授業が再開される。 一応は進級試験もあることゆえ卒業気分で浮かれているわけにはいかないのだが、やはり昨日の出来事は吾粲の気分をガラリと変えていた。 卒業という区切りが見え始め、惰性という文字がちらつきかけていたのは昨日の朝までのこと。 新しい仲間との来るべき日々を思い描いて無駄に早起きなどしてみたりした次第。 「……まあ、それでも登校時間は大して変わらないのな」 一夜にして熱血に転じるというほど単純な質でもなく、まして続々と登校してくる生徒の顔ぶれに変わりがあるでもない。 朝から早速肩透かしかと思い始めたところに、突然肩を叩かれた。 「おはよう」 「えっ…… 子範!? おはよう」 振り向けば目の前には長身の少女。低血圧の気があるのか、それとも地であったか少々ローテンション気味だが、 吾粲自身が前日比150%程度には盛り上がっているのでそのギャップもあるのだろう。 挨拶を交わした二人は昇降口に向けて歩き出す。クラスメイトとこうして一緒になることは今までにもあったが、 やはり昨日の今日ということもあり自然と心が躍る。 「あ…… 隣のクラスだったんだ」 下駄箱まで来て初めて、朱拠が隣のクラスの生徒だったということに気がついた。 「どうりで、昨日会ったときに見覚えがあると思ったよ」 「まあ、そんなものだよ。今から知ったって別に遅くはない」 自分たちには未来が開けている… 口には出さないがその思いは通じ合っていた。 特に気分を害した風でもなく、朱拠は上履きに履き替える。吾粲も慌てて後を追い、廊下に出たところで− 「おっはよう、お二人さん! うんうん、私の目に間違いはなかった、ってことね」 「はは、孝則… そうか、君も」 「ね、子範。なんたって元歎姉さんもお墨付きをくれたんだもの。あなたもそう思うでしょう?」 「まったくだ。孝則はいつも大袈裟だけど、ウソだけは言わないな」 「ちょっと、その言い方は何よぅ。孔休さん、ひどいと思わない?」 「ええっ? いや、その……」 朝から改めて思い知ったがこの顧邵、見た目に反して相当なバイタリティの持ち主らしい。 これからわずか数ヶ月後に訪れる予想もしなかった別れの日まで、吾粲は日々そのことを再認識し続けることになる。 「ほらほら三人とも、ここまで来て道草しないの。遅刻するわよ!」 「おはよう、伯言!」 朝練あがりの締まった声が眠気の欠片を吹き飛ばす。負けじと一日の始まりを告げる予鈴が響いた。 「ああもう、廊下は走らないの! でも急ぎましょう!」 やはり昨日までとは違う日々が待っているというのは心躍るものだと、吾粲は喜びを噛みしめていた。 広大な学園のどこででも見られるそんな光景の一つ一つに、昨日までと違う新しい何かが光を放っている。 今日からは、どんな小さな輝きでも逃しはしない。 −吾粲の眼は、そのために大きく見開かれているのだから。 吾粲の眼・完
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