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【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
46:★ぐっこ@管理人 2004/01/20(火) 01:24 Σ(;´Д`)ハァハァ… 漢魏延め、侮れん…! さておき時間がねえよヽ(`Д´)ノ 自動的に大トリつとめるの私になりそう。 まあ、間に合わなきゃ外伝てカタチで後日発表できるし(^_^;)
47:おーぷんえっぐ 2004/01/20(火) 05:08 遅れなせばがら・・・”旭記念日祭り”おめでとうございます<(_ _)> 皆さんの力入ったSSや、音楽・イラスト等々一覧させていただきました。 各人の得意技をフルに発揮した作品に、ただただ・・・感服する次第であります 自分、参戦表明しなかったのも、実際描くのに少々時間取られそうだったもんで・・・ 自分は文章書くと文章にならないし・・音楽なんか、友人の引くピアノで ”絶対音感ゲーム”などをさせられた時など、”ド”を引いたにも関らず”ファ”と 答えてしまう始末w 他に才ある人がうらやましい限り!(T□T) でも、なんとか出せるものが完成しました! まぁ、懲りずにマンガなので ありますが、2Pほどの作品ですw ”旭記念日祭り”という事ですので、今回はアサハルさんのキャラ原案を借用しての 一品となりました! ”萌え”主体との事だったので”お風呂上がりの三姉妹”を 完成させて上げようとも思いましたが・・・これは又後日にw 内容的には、少々著作権問題に引っかからねば良いのですが・・・まぁ、いいや!<おいっw ”萌え”という主旨にも反してるかもしれないけど・・・まぁ、いいや!!<おいおいw とにかく、できあがったのでリンク貼って逃走します〜〜w 題名”偉大なる呪い!”にて http://openegg.bbzone.net/gaku-3/present/idai-noroi01.html ε=ε=┏( ;・_・)┛ すたこら
48:雪月華 2004/01/20(火) 06:11 ええと、盛り下げるようで失礼なのですが… 土曜日、二年にわたって、私の相棒を続けてきた、 ノオトVAI男君が、悲惨な墜落死を遂げてしまいました。 もう電源を押しても、答えようとはしてくれません。 で、日曜日、新たなる相棒「ヴァリュスタ二世」を購入してきました。 VAI男君の4倍、高校入学祝に買ってもらった「ヴァリュスタ一世」の、 実に20倍の戦闘力を誇る万夫不当の豪傑です。 …察しの良い方は気づいたかもしれませんが、 書きかけだった旭日祭りのSS、倚天の剣などの長編、その他短編のすべてが 消えてしまいました …まあ、それほど出来はよくなかったのですが… ちょうどいい機会なので、学三に対する充電&冷却期間を設けようと思います。 少なくとも、倚天の剣を完結させるまで、こことラウンジ、カフェには姿を現さないつもりです。 では、桜の花の散る頃、もしくは桜の葉の散る頃、またお会いしましょう。 皆様方におかれましては、ご健康に気をつけて、佳き学園生活を送られますように…
49:★ヤッサバ隊長 2004/01/20(火) 11:13 ●魏延 空白の一夜● …体が何だか重い。 …頭が割れるように痛い。 …今、何時だっけ。 …ええっと……ま、いっか。 1月18日、早朝。 魏延は、この日が学園の休日であるのを良い事に、すっかり深い眠りの中にあった。 しかし、彼女はある違和感を感じ始めていた。 冬だから、寒いのは分かる。 だが、その身を包むのはいつも寝る際に着用しているパジャマでは無く…。 「ううっ、寒っ…」 体全体を覆う奇妙な気だるさを吹き飛ばすような寒さが、彼女の身を痛い程に刺した。 そのお陰で、ようやく魏延の瞼が開かれる。 「んん〜っ…!」 そして、上半身を起こすと、全身に溜まった奇妙な疲れをほぐすべく、大きく伸びをする。 だが、その時ようやく魏延はある事に気づいた。 「な…っ!?」 目を下にやって、自身の体を見渡す。 すると、彼女の身を包むのは白いカッターシャツ一枚のみだったのである!! 「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁッ!?」 魏延は、某有名刑事ドラマの若手刑事の殉職シーンの名台詞のごとき絶叫を、部屋中に響かせた。 彼女自身、何故このような姿でいるか全く理解出来なかったのである。 (ええと、思い出すのよ…昨日の夜は…そう! 今日が休日だってんで、帰宅部の宴会に出席したんだった…!!) 魏延の脳裏に、段々と昨夜の様子が思い出されてきた。 (そっか…あたし、酒を部長達に飲まされて…) そもそも、未成年の飲酒は法律に反するのだが、蒼天学園自体半ば治外法権の学園であるからして、生徒中に飲酒の習慣が広がっていても、全く不思議ではない。 無論、生徒会には風紀委員が存在するし、帰宅部連合内に於いても、やたらその手の事に厳しい輩もいるのだが。 しかし、だからと言って読者諸兄は真似しないように。 (ええっと…それから……) 「オラ〜! 文長、飲んどるかぁ〜!?」 「おおう!? 文長、酒宴の席でそんな堅いカッコしてんじゃねーよ! オラ、脱げェ!!」 「や、やめて下さい、張飛先輩ッ!! み、皆!! 見てないで止めてェッ!!」 酒豪の簡雍だけならまだしも、この日は帰宅部員ほぼ全員が酒気を帯びていた。 魏延は張飛によって制服の上着を脱がされ、カッターシャツ一枚にされてしまう。 魏延は必死になって抵抗しようとするが、悲しいかな人並み外れた腕力を誇る魏延ですら、張飛の前では赤子同然であった。 さらに、制服のカッターが第一ボタン、第二ボタンと、次々と外されてゆく。 「ギャーーーーッ!! 何であたしだけこんな事されなきゃならないのよォッ!?」 「オラオラ! 抵抗するんじゃない、いっちゃえよ!!」 なおも、マウントポジションの体勢で酒瓶を直接口に当てて飲まされる。 頭の中がグルグルと回転し、最早思考もロクにおぼつかない。 「はぅーっ…」 そして、魏延は目を回して完全に出来上がってしまうのであった。 「オーッ!! ええ飲みっぷりやったで文長!!」 「ええ。漢女たるもの、酒に強くなければならないものね」 その様を、自身も酔っ払いながら観戦する劉備と関羽。 ってゆーか関羽さんよ、あんたも止めんのかい。 「グフフフ〜、良いわねェ、ぶんちょうタンの乱れっぷり!! 貰ったァッ!!」 カッターシャツの第二ボタンまでも外され、胸の谷間を覗かせているへべれけ魏延に向けて次々とシャッターを切る簡雍。 もしその手のサイトに掲載すれば一日でメガヒットも夢では無さそうな写真になりそうな「それ」は、後に魏延の怒りの復讐劇によって見事全て回収されるのであるが、それについてはまた次の機会。 「えぅ〜…やめれくらさいよぉ、簡雍先輩ぃぃ〜…」 最早彼女は漢魏延と呼ばれた豪傑などでは無く、ただの酔っ払い娘と化していた。 そんな中で、普段は彼女の剛毅さに押され気味であった諸葛亮一派の一人、楊儀が魏延に詰め寄る。 「あはは〜☆ 魏延、あんたも酒が入るとそんなんになっちゃうんだぁ。 ウフフ、いいわぁ……」 かなり危険な笑みをこぼす楊儀。 普段であれば、魏延がそんな彼女を一喝した後、泥沼の口喧嘩に突入するところであろう。 しかし、魏延は最早目の前の人物が誰なのかすら理解出来なかった。 「ほええ〜…?」 「部長〜ッ!! 魏延借りてって良いですかぁ〜?」 「ええでぇ〜、ウチらも、もう十分堪能したしなぁ」 劉備は、楊儀が何をしようとしているのか全く察する事が出来ず、事もあろうに快諾してしまうのだった。 「ありがとうございま〜す。んじゃ、行こっかァ?」 「う、うぃ〜ッ…了解であります、隊長!!」 楊儀は、魏延の腕を掴んで、ズルズルと部屋を後にする。 そして、そんな彼女の顔には妖しげな笑みがこぼれていた……。 「さ〜て、コイツへの日ごろの恨みをどうやって返してやろうかしら。 やっぱり、こーゆー時わぁ……ウフフ…」 「ううう〜、」 頭の中で、良からぬ妄想を抱きつつ、楊儀は魏延を引っ張って仮眠室までやってきた。 そして、準備万端で敷かれていた大き目の布団に魏延を寝かせると、スカートを脱がせ…。 「はう〜…何なのよぉ〜?」 酔っ払って思考回路が働かない魏延は、これから何が起ころうとしているのか、全く理解出来ないでいた。 そして、楊儀が実は女色家であると言う事実も。 「さ〜て、いっただっきま〜す…♪」 こうして、楊儀と魏延の夜は更けてゆく。 この後、ここで一体何が行われたのか。それは読者諸兄の想像にお任せするとしよう。 ちなみに、その後仮眠室にやってきた一人の部員が、魏延がカッターシャツのボタンをすべて外された挙句下着を下ろされた姿で発見した時には、既に楊儀の姿は無かったという。 その部員は慌てて魏延の衣服を直し、その他の部員を呼んで魏延の自室に運んだという訳である。 「お、思い出した…思い出したわ……!!!!」 全てを思い出したとき、魏延の怒りは爆発寸前であった。 そして、怒りの矛先が楊儀、そしてかのような乱れた姿を写真に収めた簡雍に向いたのは言うまでも無い。 酒を飲ませて酔いつぶれさせた劉備達に対しては、部長及び幹部という手前、心の中で怒りの炎を燻らせるのみで留まったのだが…。 「許すまじ、楊儀ィィィッ!!!」 今回の教訓。 魏延に酒を飲ませるな。
50:★ヤッサバ隊長 2004/01/20(火) 11:32 ちう訳で、昨日掲載した「アレ」の詳細であります。 本来ならSSの挿絵として一緒に掲載したいところだったのですが、 流石にマズいかな、と(^^; 「アレ」を別窓に表示してお読み頂ければ幸い。 それにしても、楊儀にアレな本性があるという設定を勝手に継ぎ足してしまい、誠に申し訳ありません(滝汗 なお、その夜魏延と楊儀が二人っきりで一体ナニが行われたかについては、余りにも刺激の強い内容となってしまう為に、割愛させて頂きましたが(^^; まぁ、魏延があんな風になる為には、酒でも無ければ不可能ですし…。 反則技とは思いつつも、メーターが振り切れるような中身にしてしまって、本当にごめんなさい(^^; PS.良く考えたら学園暦31年1月18日だと、関羽は荊州総代の任について荊州攻略を始めた頃ですな(滝汗 まぁ、矛盾については深く考えないで下さるとありがたい(^^;
51:★ヤッサバ隊長 2004/01/20(火) 11:38 >雪月華さん ご愁傷様でした…ごゆっくりと充電され、春にまた相見えんことを。 ちうか、PCがイカレるのは致命的ですなぁ…私ももう、いつどうなってしまうか分からないのでドキドキもんです(^^;
52:★惟新 2004/01/20(火) 21:07 ■■■■ Party's Party! ■■■■ ☆★ 始まり ★☆ 息を吐くと、白かった。それが面白くて、何度も息を吐いてみる。 「冬だねぇ…」 一頻り寒さに身を震わせると、朱儁はのそりのそりと歩き始めた。 まだ黄巾事件は発生していない。この時期、学園は比較的穏やかだった。 朱儁が招集を受けてやって来ると、すでに面子は揃っていた。 「おいっす!」 声とともに手刀を突き出す。 しかし、室内は重い空気。 「あれ…どったの?」 腕を組んだ皇甫嵩が、頭だけをこっちに向けた。 「休日返上、なんだそうだ」 「なんですとー!」 素早くカサカサ走り、朱儁は皇甫嵩にしがみ付く。 「そんな殺生なぁ! せっかくの休みだよ? ほら、のんびりおコタに入ってー」 「お前の妄想に付き合ってる暇は無い」 「…ううー。子幹ー、最近義真が冷たいよー」 「ふふ…よしよし」 しがみ付いてきた朱儁の頭を、盧植が撫でる。 しかし、皇甫嵩が薄ら笑う。 「言っとくが公偉、休みを取り上げたのは子幹だぞ」 「えぇ?」 朱儁が覗き込むと、盧植はニコニコしている。 「おのれ騙したな! ね、建陽は? 建陽は味方だよね?」 「ふあぁぁ……んに?」 眠そうに、丁原は目を擦る。話を聞いていないのは一目瞭然。 「観念しろ。ここにお前の味方は一人もいない」 「ふみゅう…」 肩を落とし、朱儁は椅子に腰掛けた。触覚もしんなり。 そこに、一枚のプリントが差し出される。 「地図?」 下[丕β]、の文字。 顔を上げるとそこには盧植。 「18日は、お使いに行ってきて欲しいの」 地図に目を落とすと、交通手段、所要時間が書いてある。目的地は…… 「メロン?」 「そう。それを10玉ほど」 「10玉ぁ!? それ配達してもらおうよ〜」 ふにゃふにゃと、机に突っ伏す。 それでも、盧植はニコニコと。 「こっちから一人行って、品定めしたのを持って来いって」 「もう…誰よ、そんなこと言ったの…」 盧植は一層ニッコリ笑い、胸の前で手を合わせる。 「鄭玄先輩」 「……マジ?」 「マジマジ」 ウンウン頷かれる。 鄭玄といえば、ある意味学園最強の人。孔丘校長の熱烈なファンでもある。 校長は食通として有名だから、鄭玄がそれに倣うのも想像に難くなかった。 ――そんなこんなで。 盧植はヘイホー牧場へミルクを。 丁原は晋陽へミカンを。 朱儁は下[丕β]へメロンを。 そして、皇甫嵩は漢陽へイチゴを。 それぞれ取りに行くことになったのである。 何のためのお使いかは、盧植だけが知っていた。
53:★惟新 2004/01/20(火) 21:08 ☆★ 盧植 ★☆ 盧植がバスを降りると、そこには4名の女生徒がいた。制服から、中等部だとわかる。 「ご無沙汰です、先生」 言ったのは、公孫[王贊]。その横に劉備、後ろには関羽、張飛。 「ごきげんよう、伯珪、玄徳。それに、皆さん」 優雅にご挨拶。さらに言葉を繋ぐ。 「ごめんね、手伝わせてしまって。それも、こんな朝早くに」 「そんなんいいんすよ〜」 と劉備。 「こいつらなんて牧場や牧場や、牛や馬や動物やと喜んでますよって!」 「あ…いや…」 関羽が手を挙げかけるが、諦めろ、と張飛に肩をたたかれる。 盧植は歩みを進め、その二人の前へ。 「関羽さんに、張飛さんでしたね。これからも玄徳のこと、よろしくお願いしますね」 きらめく笑顔。それは薔薇の花が咲いたように華やかで。 二人にとって盧植は、彼女たちが惚れ込んだ姉貴が、さらに師と仰ぐ人である。…当然、 「はい!」 と、目を輝かせるのだった。 「ところで…」 盧植が辺りを見渡す。 「確かもうお一人…」 「あああ、あれは急に具合が悪ぅなりましてん…」 ぶっちゃけ、簡雍は逃げた。 「そう、それは残念ね。ご挨拶が出来ると楽しみにしてたのに」 「いや〜ホンマですわ〜」 言いつつ、劉備は耳たぶをいじる。 この頃の劉備には、嘘をつくと耳たぶをいじる癖があった。 (あらあら…) 盧植はくすりと笑う。 「さあ、それでは参りましょうか」 ――登ること数分。 「牧場や牧場や! 牛や馬や動物や〜!」 劉備が駆け回る。 「おーい、あんまはしゃいで怪我すんなよ〜って、劉備あんたがはしゃぐんか!?」 公孫[王贊]が盛大につっこむ。 「え? 何ですぅ?」 劉備は、無邪気に首をかしげ。 「あらあら、玄徳ったら…」 盧植は鈴の鳴る声で笑う。 と、そこへ。 「おはようございます!」 闊達な声が響く。 振り返ると、数名の男子。南匈奴高校畜産科の生徒である。 学校側とは話がつけていて、彼らはミルクを運ぶ手伝いをしてくれる約束だった。 「まあ。ごきげんよう、皆様」 そして、盧植は優雅にご挨拶。 途端、男子たちに衝撃にも似たどよめきが走る。 「可愛い…」 「可憐だ…」 「美しい…」 「くぅ〜!」 「タマンネー!」 思い思いに身悶える野郎ども。 公孫[王贊]はそれを遠巻きに見やりつつボソリと。 「騙されてる、騙されてるよ…」 「何か、おっしゃいまして?」 くるり。盧植先生が怖いくらいの笑顔で振り返る。 その袖口に目をやると――二丁の拳銃がキラリ。 「ひっぃ! い、いや、何でも…あはは…」 公孫[王贊]は思わず頭をかいて誤魔化す…が、男子たちの視線に気付いて一変。 「オラ! お前ら何見てやがる! とっとと出すもん出しやがれ!」 公孫[王贊]ご自慢の大声量に、男子生徒A〜Eは驚きすくみあがった。 「あ、姐さん…それじゃまるでカツアゲみたいでんがな…」 劉備が思わずつっこむ。その横で関羽が 「それ以前に男子高校生を怯えさせる女子中学生というのも問題かと…」 などと言うが、誰も聞いていやしない。 そんな中、盧植が割って入った。 「伯珪、ダメですよ? そんなふうにおっしゃっては… あの方たちは私たちの手伝いをしてくださるのでしょう?」 そして向き直り、 「ごめんなさいね。この子も口が悪いだけで、とてもいい子なんですよ」 そう言って、また優雅に頭を下げる。 男たちは再度盛り上がり… 「だから騙されてるってば」 公孫[王贊]は頭を抱えるのであった。 実はこの男子生徒の中に、のちに中華市中を放浪することとなる於夫羅がいたのだが、 それはまた別のお話である。
54:★惟新 2004/01/20(火) 21:08 ☆★ 丁原 ★☆ 「ん…ふぅ……っ!」 思いっきり伸びをする。 そのまま体を回し、軽く体操。 「さ、目が覚ますぞっと!」 パンパン! 顔をたたく。 そこで、丁原はやっと周囲の光景を見る。 「あれ?」 想像していたのとはまったく違う世界。 薄暗い空は相変わらずだが、見渡せば、山、山、山。 あっちこっちから鶏の鳴き声が響いてくる。 「何ここ? タイムスリップ? …んなわけないか」 丁原はまだ血の巡らない頭を、必死に回転させる。 早朝まだ暗いうち。晋陽方面行きのバスに乗って、アナウンスが聞こえて、降りて… 「あれ?」 アナウンスが聞こえてから、記憶が飛んでいるような。 「う〜ん、う〜ん」 悩んでいると、どこからか息遣いが聞こえてくる。 目をやると、目深にフードをかぶった大柄な人物が、軽く走っていた。早朝ジョギングらしい。 「お、ちょうどいいや。おーい!」 駆け寄りながら、手を振ってみせる。 …が、まったくの無視。 「んが。…何もシカトすることないじゃんか!」 ムキになって並走。小柄な丁原と並ぶと、相手がいかに大きいかがわかる。 しかし、その巨人は相変わらずお構いなし。 「むむむ…」 5秒。大噴火。 「ムッカー!」 丁原は巨人の腰を掴み、必死に止めようとする。 …が。 「ひえええええ〜っ!」 全く止まらず、逆に引きずられてしまった。 「ま、負けてたまるかーっ!」 何とか体勢を立て直し、今度は巨人の前に出る。 「ぐぬぬぬぬぬ〜っ!」 巨人のお腹に両手を当て、全力で止めようとする。 すると。急に、体が軽くなった。 「ふに?」 巨人と同じ目線。 目が合って、互いにパチクリする。 そこでやっと、丁原は自分が持ち上げられていることに気付いた。 「うわああん! 放せ!」 ジタバタもがく。その手が、偶然相手のフードを浮かせた。 「あ…」 覗く、鋭い双眸。屈強そうな顎。そして、ドレッドヘアー。 「わお、クール!!」 見るなり、丁原は親指をグッとつき出した。 巨人は首をかしげた。 「くー…る?」 「カッコイイってこと!」 やっと降ろされて、丁原はぴょんぴょん飛び跳ねた。 次第に、巨人の瞳が驚きの色を帯びる。 「カッコ、イイ…の?」 「可愛い、の方が良かった?」 「なっ…」 ありありと、頬が紅潮する。 なんか、面白い。丁原は、そう思った。 「ここは五原。私は、呂布。蒼天学園中等部、3年」 「そっか、あんたも蒼天学園なんだ」 丁原が下から覗き込む。 「ね、こんなところでさ、いつも何して暮らしてんの?」 「え……熊さんと戦ったり……」 「クマ!?」 それじゃ金太郎である。 「クマって…あの、月の輪熊とか、グリズリーとか?」 「いや…熊さんは…近所のおじさん…」 盛大にコケる。 「ああビックリした。それで? 何でこんなところに住んでるのさ?」 「生まれた、山だから」 そう言って、呂布は遠くの山々に視線を投げかける。 「ふぅん」 丁原は片眉を跳ね上げ。 「ね、たまにはさ、街に行こうよ?」 「街…?」 「一緒についてきなよ。なんか、あんた面白いしさ」 「いや、でも…」 「今日は何も無いんだろ? それとも、何かある?」 「いや、特に…」 「じゃあ決まり! 急ぐから、今から行くよ!」 丁原が引っ張る。 最初のときとは打って変わって、呂布が引きずられる。 「え、あ、でも…今朝のメニューは…鯨の竜田揚げ…」 「アハ! あんたいつの時代の人だよー?」 バシバシ叩かれ。呂布の抗弁は、空しく終わったのであった。 のち、丁原が[千千]州校区総代に任じられたとき、二人はまた再会を果たすが、 それはまた別のお話である。
55:★惟新 2004/01/20(火) 21:08 ☆★ 朱儁 ★☆ 「どんな〜坂〜、こんな〜坂〜」 楽しそうに歌いながら、朱儁は緩い坂をどんどん上る。 早朝。川沿いの町、下[丕β]。 ここに、それはそれはたいそう美味しい温室メロンがあるそうな。 「品定め…ってことは、味見くらいできるよねー?」 思い浮かべては、うっとりと目を輝かせるのであった。 そのとき、朱儁の触覚がぴくんと反応した。 「うみゅ?」 辺りを見渡す…と、そこには年配のご婦人。 駅への階段を、杖を突きながらゆっくりゆっくり昇っている。 その階段が、また長い。 「うわ。ここってまた不親切な駅だわ」 お年寄りは大切に、というキャッチコピーとともに、 くれぐれも寄り道しないでね、という盧植の声が聞こえる。 2秒ほど朱儁の触角が揺れ。ピーン! 「ま、ちょっとくらい遅れてもいいよね」 言いながら小走りに駆け寄り、老婦人に声をかけたのであった。 ――すぐに、朱儁はそれを後悔することになる。 なぜなら、この駅を訪れるお年寄りは、しばらく尽きることが無かったからである。 「……や、やぁ…みんな……」 思いっきり息を切らせ、ヘロヘロになりながら朱儁は手を挙げる。 彼女は駅の階段を何往復もしたのち、上り坂をひたすら走ってきたのだった。 「お、お疲れ様です……」 朱儁の凄惨な姿に、待っていた中等部の女生徒たちが一様に引きつる。 「さ…行こうか……」 「あ、あの、大丈夫ですか? 少し休まれては……」 気遣う女生徒。 しかし。 「いいの」 「…はい?」 朱儁の目がくわっと見開く。 「いいの!! 私が行きたいの!!!」 「は、ハイィッ!?」 迫る。壮絶な勢いで迫る。 「ひ、ひぐっ……わ、わかりましたぁ〜…」 哀れ、情けをかけた女生徒は今や半泣き状態である。 だが、それでも朱儁は。 (まだ、まだなのよ…私は成し遂げていないのよ… そう…メロンを食べるまでは!!!) 結局、今度は朱儁のほうが助けられるカタチで歩き、 やっとこさ、ガラス張りの温室の所へ辿り着く。 (着いた……これで、やっと……) 「おお、やっといらしたか。程普、案内ご苦労!」 「は、はい…」 程普はまだ半泣きだった。 彼女に代わり、声をかけてきた女生徒が朱儁を支える。 「何があったかは存じませんが、大変でいらしたようですね」 (メロン…メロン…) 「私、依頼を受けておりました、孫堅と申します」 (メロン…メロン…) 「あまりに遅かったものですから、先にこちらで品定めをし、梱包まで済ませておきましたよ」 (メロ…ん?) ギギィ…と、朱儁が孫堅を見上げる。 「今、なんと…?」 「? ですから、後はもう運ぶだけだと」 「なっ……!!」 ズギャーン! 朱儁の全身を雷撃が貫く。 (なっ、なんですってぇえええええ!!!) 心で叫ぶとともに、朱儁はその場に崩れ折れた。 「どうなさいました? 朱儁先輩? 先輩?」 どこか遠くで、孫堅の声が聞こえる。 薄れゆく意識の中で、しかし、朱儁は永遠の誓いを立てたのである。 (孫堅め…いつの日か思いっきりこき使ってやるぅう! この恨み…晴らさでおく…べき…か……) 「先輩? 先輩ー!?」 そんなこととは露知らず。孫堅は呼びかけ続けたのであった。 数ヵ月後。黄巾事件が勃発すると朱儁は孫堅を帷幄に招き宿願を果たすが、 それはまた別のお話である。
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