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【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】
64:★ぐっこ@管理人 2004/01/21(水) 23:52 旭記念特別短編集 サタデイ・ナイト ■悪魔襲来 「それ」は、突然に襲ってきた。 午前3時過ぎ――。 不寝番の高等部生以外、全員が寝静まっている深夜。 「それ」は、何の前触れもなしに、呉匡へ襲い掛かってきた。 最初は、激痛。物凄く重く、鈍い激痛だった。 (え――?) 呉匡の意識はその瞬間に覚醒していた。 しかし、夢の世界から現実へ意識がスイッチする間にも、激痛は醒めない悪夢のように 酷さを増していた。 (な、何、これ――っ!?) 思うよりも先に、第二波。剥き出しの筋肉を鉤爪で引きちぎられる、信じられない程の 痛み。いや、痛みなんてものではなかった。 「ア……ア……! ア…ッ!」 もう訳がわからず、ただ激痛から逃れようと、呉匡は自分でも気がつかないうちに、絶 叫していた。 正確には、呉匡はこのときの自分の声で、はっきりと目覚めたといえる。 「何!?」 「どうしたの!?呉匡さん!?」 呉匡の二人のルームメイトが、同時にはね起きた。 すぐに真っ暗な部屋が、急に明るくなった。 二段ベッドの上段で、呉匡は身をよじらせて激痛から逃れようとしていた。 大声を出したら、痛みが治まるどころか、意識がハッキリしたせいで、余計に非現実的 な激痛が呉匡を襲ったのだった。 「どうしたの!? どこか痛いの!?」 梯子から身を乗り出すようにして、呉匡へ声をかける袁紹さん。 しかし呉匡は、うなずくことも出来ず、陸揚げされた海老のように、体を丸めて身悶え するだけだった。 「お腹?お腹なの!? 大変、救急車を呼ばないとっ――!」 いささか取り乱した様子で言う袁紹さんに、ようやく呉匡は、小さな声で伝えることが できた。 「あ…し…が」 「――え?」 「あし、つった…すごく…!」 「足…?」 「あ――.こむら返りだな、呉匡たん」 と、許攸さんが一段目のベッドに乗っかって、呉匡の寝るベッドの手すりごしに、呉匡 が抑えている部位を見て言った。 そう。 呉匡は、ふくらはぎの筋肉を押さえて、七転八倒していたのである。 「――驚かさないでよ、全く、大げさなんだから」 袁紹さんがはーっとため息をついている。 でも、そんなことを言われても。 本当に痛いんですってば。さっきよりは、幾分か楽になったけど、ふくらはぎの筋肉を 引きちぎる様な痛みは、まだ続いているのだ。 「ありゃあ、大げさじゃないよ。袁紹はなったことないの?」 「幸いにね」 袁紹さんは、許攸さんからひったくった家庭医学辞典でこむら返りの項を探してくれて いた。許攸さんは脱線して別の病気を読み耽っていたようだ。 「――ふうん、足の指を引っ張ってふくらはぎを伸ばす…か。やってみる? 呉匡さん」 「絶対無理!」 涙声で訴える。呉匡のふくらはぎの筋肉は、もうガチガチに収縮してめいいっぱい上に 引き上げられている。引っ張るとか伸ばすとか、想像するだけで気を失いそうだ。 「うーん、こりゃ元に戻るの、二日はかかるなあ。今日は大人しくしとかなきゃ」 許攸さんが、ふたたび二段ベッドの呉匡の様子を見て、重々しく言った。 「え…じゃあ、今日のパーティは?李膺さまとのダンスは?」 「少なくともダンスは無理」 「そんなあ…痛あっ!?」 慌てて立ち上がりかけた呉匡は、再び炸裂した激痛にもんどりうって転げまわった。 時計は、午前4時を指そうとしている。 ――この日は、学園の創立記念式典のある「旭日記念」の最終日であった。
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