☆熱帯夜を吹っ飛ばせ! 納涼中華市祭!☆
13:北畠蒼陽2005/08/08(月) 00:00 [nworo@hotmail.com] AAS
ここでいう『真っ赤』というのは羞恥7割、怒り3割といったところ。
まぁ、ある程度は覚悟していた。
きっと文欽が『すっげぇの』というのなら本当に『すっげぇの』なのだろう。
ある程度なら……
「これは……?」
毋丘倹はその声が我ながら呪詛に近い響きだと思った。
いや、実際に呪詛なのだけど。
ハイレグとか、かなりきわどい水着であればまだ……いや、それも恥ずかしいなぁ……
でもこれはない。絶対にない。
ぎぎぎぎぎ、と油がさされていないような機械のような動きで首だけで振り返り文欽を見た。
「いや、だからすっげぇじゃん?」
すでに着替えた文欽はにこにこと言う。
胸に肉きゅうのワンポイントつきの赤いワンピースの水着。
うん、可愛い。
……これとは大違いじゃないか?
毋丘倹はもう一度まじまじと文欽に渡された『水着?』を見る。
……よく見る。
よく見てみたら実は違うものなんじゃないか、というくらい見る。
「これは……?」
見た上で聞いてみた。
「いや、だってさぁ。仲恭、色気のない水着しか着ないじゃんかー。私がこれっくらいしてやらねぇと」
けらけら笑う。
……色気?
まじまじとその『水着?』を見る。
「これを、着てたら、ただの、変態だと、私は、思う」
文節を区切って毋丘倹はゆっくりと口を開いた。
「いや、でもさぁ。昔、あったじゃん? 貝殻の水着」
あった。確かにあった。
あぁ、なるほど。貝殻だ。確かに貝殻だ。
貝殻過ぎて涙が出そうだ。

「シ ジ ミ は あ り え な い だ ろ」

毋丘倹は文欽をはったおした。

……
……
……
そして。
「おっと、そろそろ時間じゃない?」
夕方、プールで遊びつくし、帰路につく毋丘倹は文欽の言葉に足を止めた。
街は人の活気で溢れている。
「あ、そうか」
今日は1年にたった一度の夏祭りの日。
祭りらしいうきうきした雰囲気で街は彩られている。
夕闇が差し迫り、人々の期待が高まる。
この群青の空を彩るのは……

花火が上がった。
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