☆熱帯夜を吹っ飛ばせ! 納涼中華市祭!☆
7:雑号将軍2005/08/07(日) 22:45
  〜張任の憂鬱〜

「張任さん!これはどこですか?」
「あれはそっち!」
 八月六日、後二日で蒼天大花火大会。前夜祭もあるから、実質、あと一日で開催だ。
毎年、決まった場所で開かれる、蒼天学園の三大イベントの一つ。
そして、今年は我らが益州校区で開かれることになった。
俺?俺の名前は張任。これでも、益州校区ではちょっとは名の知れてるんだ。なんか今回は花火大会の準備の指揮を頼まれてしまった。なんかもう責任重大だなあ・・・・・・。

「た、大変ですよ!張任さんっ!」
 赤くショートカットの少女が血相を変えて走ってきた。俺の目の前で急ブレーキをかけると肩を上下にゆらせて息をしていた。
 彼女は呉蘭。頭の方はいまいちだが、腕っ節の方なら、なかなか出来る方だ。そう言うことで今は舞台の組み立て作業を手伝ってもらっている。
「どうしたんだ、呉蘭?」
「だから、大変たら大変なんですよー」
 呉蘭の摩訶不思議な答えには首をかしげるしかない。しかし、それではななんの解決にもならないので、もう一度、今度はゆっくりと尋ねた。
「・・・・・・ふう、だ・か・ら!なにが、大変なんだ?」
「雷同が『今のあたしには電気が必要なんだよ!』とか言い出して、挙げ句の果てにはちょうちん用のアンプを占拠してるんです・・・・・・。張任さ〜ん、なんとかして下さいよ〜」
 俺は思わず、髪を手でわしゃわしゃと掻き乱してしまった。
「まったく、このクソ忙しいときに・・・・・・それで、雷同はどこにいるんだ?」
「こっちです!」
 この後、俺は三〇分間も雷同に電流のすばらしさとやらを熱く語られる羽目となってしまった・・・・・・。

「ようやく、舞台の設置が終わったか・・・・・・」
 俺は流れる汗を拭き取ろうとタオルを探したのだが、どこを探しても見つからない。
 そんなとき、後ろの方から、猛スピードで誰かが俺に突進してくる。そんなことをするヤツは一人しかいない。
そして、俺はそいつを受け止めて言った。
「こら、劉循!ここはいろんなものがあるんだから走るなとあれほど言っただろっ!」
 こいつは劉循。益州校区総代である劉璋さんの妹だ。まだ中等部の三年生なんだが、なにかと面倒を見ていたら懐かれてしまったみたいで。
まあ、悪い気はしないんだけど。ただ、「張任お姉様」はやめてほしいな。「トッ○をねらえ」じゃないだから・・・・・・。
 少しだけ、怒気を含めて言った俺の声に劉循はうつむいて、しゅんとしてまった。
「・・・だって、張任お姉様にタオルを早く届けようと思って、だから、だから・・・・・・」
「わかった、もういい。ありがとう、劉循」
 俺はそう優しく言ってから、劉循の頭に手を置いて撫でてあげた。
 すると、劉循はいつものように笑っていた。
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