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☆熱帯夜を吹っ飛ばせ! 納涼中華市祭!☆
23:雑号将軍 2005/08/09(火) 20:01 〜益州の奇才 in蒼天大花火大会〜 T 今日は八月八日。蒼天学園きってのお祭り、蒼天大花火大会が開催される。 蒼天学園三大イベントの一つだけあり、すごい賑わいを見せていた。 そんな、空も暗み始めた頃、一人の少女が花火大会の入場口に足を踏み入れた。 「ふう、暑いなあ。実際のところ、浴衣と洋服ってどっちが暑いんだろう」 浴衣姿の少女が顎に手を当て、考えている。彼女の名は張松。本人曰くほとんど呼ぶものはいないらしいが、永年ともよばれる。 今日は去年買ったばかりの浴衣を纏って、花火大会に参加していた。 「孝直と子度、遅いなあ。やっぱり、早すぎたなあ」 どうやら、誰かを待っているらしい。その証拠に張松は辺りを見渡していた。 「夜店の方を回ってるのかな?あたしも行ってみるかな」 そう言うと、白に桜と梅の花をあしらった浴衣姿で、てくてくと夜店の建ち並ぶ、会場内へと歩いていった。 いざ、夜店に入ってみると、かなりの規模に驚かされた。定番のわたあめ、焼きそば、金魚すくい、ヨーヨー釣りを始めとして、みそ汁とか占い、ブロマイドなどといった、祭りとは思えない店も建ち並んでいた。 「まだ、孝直たちも来てないみたいだし、みそ汁でも食べてみるかな」 どうやら、みそ汁独特の匂いには張松も勝てなかったらしい。赤を基調にした店で立ち止まった。 店員は二人いて、一人は金髪でちょっと怖そうな人、もう一人は茶髪で髪を後ろで束ね、言うなればパイナップル頭の人だった。 「いらっしゃい!どれがいい?俺たちのみそ汁は天下一品だぞ。なにせこの甘寧様がつくってるんだからな!」 「興覇、そこまでにしときな。彼女が圧倒されてるじゃないの。どうする?どれも、おいしいんだけど、あたくし魯粛のお薦めは大根のおみそ汁だね」 張松は二人に圧倒されてしまっていて、なにも考えてはいなかった。最初は悪そうに見えたが、どうやらそうではないようだ。 張松は魯粛と名乗った少女の薦めに従って、大根のおみそ汁を貰うことにした。もちろん、代金は払ったが。 さっそく、大根を掴み、口に入れてみると、これがまた絶品であった。 大根が硬すぎず柔らかすぎず、さらに大根がいい具合にみそ汁とマッチしているのだ。 夏にもかかわらず、張松はみそ汁の熱さを忘れて、汁まで飲み干してしまっていた・・・・・・。 「さ〜て、次はどこに行こうかなあ」 そう言って、張松があたりを見渡していると・・・・・・。 「ねえ、彼女。モデルやってみない?」 不意に張松は後ろから声を掛けられた。声を掛けた張本人の名は・・・。 「あたし簡雍。どうモデルやってくれるなら、ブロマイドもサービスしとくよっ!」 そう、闇に生まれ、闇に生きる、必撮仕事人こと簡雍である。どうやら、今回のブロマイド販売店もこの女の仕業らしい。 張松は面倒に巻き込まれたくないのか、振り返ろうとせず、ただただ歩を早めた。 簡雍はまだ張松の後ろ姿しか見ていないが、確かな確信があった。言うなれば歴戦の勘というヤツだ。 (髪を巻き上げて、うなじを見せるのが、和装するときのポイントであり、一番綺麗に見えるところだって、関羽と趙雲が言ってたしね。あたしが今まで観てきたたなかじゃ、この娘が一番よ) 簡雍は心の中でそう呟くと、すっと、前に飛び込み、張松の真ん前に立ちふさがった。 「お願いだから、モデルをやっ――」 簡雍は張松の姿を見て、思わず息をのんだ。 あまりの美貌に目を奪われ・・・たのではない。彼女の飛び出た前歯に思わず息をのんでいたのだ。 簡雍の勘、恐るるに足らず。しかし、これは簡雍にとって何よりの屈辱であった。 (あ、あたしがはずしたの!?「はずれなしの簡雍」と謳われたこのあたしが・・・・・・) 簡雍が我に返ったときにはもう、張松の姿はなかった。
24:雑号将軍 2005/08/09(火) 20:03 〜益州の奇才 in蒼天大花火大会〜 U 「ふう、大変な目にあった。ああゆうのが一番面倒くさい」 張松は悔しそうにそう呟くと、はだけた浴衣を整え、再び歩き出した。 「ふう、ちょっと疲れたね〜。どっか、落ち着けると・・・・・・あった」 どうやら、文系の張松には簡雍を振り切るのが答えたらしい。さらに、浴衣姿で走り回るのは想像以上に体力を使うのだ。 張松は辺りを見わたし、休憩所と書かれた看板にみちびかれるようにとぼとぼと歩いていった。 そこで張松は缶ジュースを一つもらい、空いていた席に腰を下ろした。 「ふう、疲れたよ、ホント・・・。孝直と子度遅いなあ」 頭をうつむけ、缶ジュースの栓を指で何度も弾いている。 そうしていると、よくわからないが、横になぜか男が腰掛けた。なぜか男である。この蒼天学園は言うまでもないが女子校である。にも関わらず男子がいるのはなぜなのだろうか。 そんなことを考えている張松のお構いなしに男は腕を回してきた。 その男はどうも酒臭い。どうやら、かなりできあがっているらしい。言うまでもないだろうが、この男が二〇才未満だ。 「なあ、俺と今から、蒼天の花火を堪能しね〜か〜?」 どうやら(これでも)ナンパしている(つもり)らしい。 張松は鬱陶しそうに方に回された手を振り払うと、男の方に振り返り、睨み付ける。 もちろん、自慢の前歯を見せることも忘れてはいない。 「結構です!先客がおりますのでっ!」 本来、これだけきっぱり断られたのであれば、正気の人間なら諦めるものなのだが、不幸にもその男は正気ではない。酔っぱらっているのだから。 男はなおも張松を絡んでくる。 「いいじゃあね〜かよぅ。俺と一緒にこの花火会場を彩ろうじゃないか」 はっきり言って、くさい。いや三流の口説き文句だ。こんなことを言われて、ついて行く者は99%いない。 さすがの張松も笑いを堪えきれず、大声で笑った。と思ったら次の瞬間、辺りに怒声が響き渡った。 「黙らっしゃい!これ以上無駄口ばっか叩いていると、本気で噛みつくよっ!悪いけど、あたしのはかなり痛いよ」 張松の一言は凄まじいほどに現実感があった。ハムスター並の前歯で噛みつかれてはいかに強靱な肉体を持っていたとしても、悲鳴を上げ、激痛にもがき苦しむことだろう。 それにも、男は動じず、むしろ逆上しているのか、顔が真っ赤になってきた。まあ単に酒が回ってきただけなのかもしれないが・・・・・・。 「んだとう、俺に逆らうってのかっ!」 男は右腕を振り上げ、殴りかかろうとした・・・が、張松が目を開けたときには、反対側のテーブルに叩きつけられていた。 そのテーブルの真ん前には金髪で顔はこんがりと焼けた(一世代前の)女子高生だった。 その少女の両目は血走り、こめかみをひくつかせていた。怒っている、かなり怒っている。 「あんた、あたいがいながらナンパたぁ、いったいどういう了見だい!」 「ち、ちがうんだ、ちがうんだよ・・・」 「なにが違うんだい!こっちにきな!たっぷり聞いてやるからよっ!」 「い、痛い、痛いって。み、耳がちぎれるー!!」 男の悲鳴もなんのその。女子高生は男の耳を掴みぐいぐいと引っ張っていった。 彼らが、後々の帰宅部連合と激戦を繰り広げる、孟獲と祝融だとはこの休憩所にいる者は誰も知らなかった・・・・・・。
25:北畠蒼陽 2005/08/09(火) 20:03 [nworo@hotmail.com] >萌えの概念 自分で『萌え』ってのを文章で書きづらいなぁ、と苦手意識持ってたので褒めていただけるのは嬉しい限り。 この調子でフタコマメでは王昶&王基&諸葛誕の水着とサンコマメでは楽チンが……!(予告 ……フタコマメ、あんまり萌えねぇ〜(推敲中 >劉表 お〜、劉表だ劉表だ〜。 劉表ってビジュアル化されるのはじめてちゃいますのん? 知らんけど。 性格的には……蒼天航路みたいなのがよろしいか、やっぱり! 野心むらふらな人ダイスキです。
26:北畠蒼陽 2005/08/09(火) 20:07 [nworo@hotmail.com] >雑号将軍様 わぁー! 流れぶった切ってごめんなさい! 空気読めなくてごめんなさい! 大丈夫! 私、空気どころか英語も読めないから!(ダメ人間 いやはやとほほ……
27:雑号将軍 2005/08/09(火) 20:08 23,24の続き 〜益州の奇才 in蒼天大花火大会〜 V 「なんか今日、悪いことばっかだなあ」 張松はそう言いながら、会場を何度も行き来していた。そうして、そんなことを繰り返すこと数回、曲がり角に差し掛かった張松は、うつむいていたため、前から来る二人組に気がつかなかった。 案の定、張松は体当たりする格好となり、しりもちをついてしまった。 「あっ、ごめん・・・って、永年!」 「う〜ん、孝直〜。探してたんだからー。遅いなあ」 「悪いな。孝直が行く途中で、なんでも『小等部の頃、靴踏まれたヤツを見つけたから復讐する』とか意気込んでなあ。そんでそいつが今日履いてた靴を使い物にならなくしてると、まあこうなったと・・・・・・」 と語るのは張松の数少ない友人、孟達である。 「あらあら、相手もお気の毒なことで。まあ孝直にしたのが運の尽きだあねえ〜」 張松の言葉に孟達がうんうんと頷く。法正はさっきからひたすらほくそ笑んでいる。よほど恨みを晴らせたのがうれしいのだろう。 「あら、永年、その浴衣新調したの?」 張松の浴衣姿を見た、法正が言う。それに張松は笑って頷いた。 「じゃあ、行こっか!」 こうして、張松たち三人の祭りは今始まった・・・・・・。 参考までに、法正、孟達の服装(浴衣)を紹介しておこう。法正は青地にアザミの(薊)花があしらわれたタイプ。また孟達は黄色に白のチェック柄という珍しい浴衣を着ている。 張松たち三人はしばらく夜店を回り、食糧を確保したために花火の開始時間ぎりぎりになってしまった。 「す、座れないね」 「しかたないさ」 「見れたらそれでいい」 三人が焼きそば片手にそう言っていた、その時。 ヒュ〜〜〜〜〜〜ドン! ついに蒼天大花火大会が開幕した。 次から次へと、無数の花火がうち上がっていく。そして、それが宇宙という平原に花を咲かせていく。 まさしく夏の風物詩であった。 張松たちいや、会場に来ていた者たちはみんな、この美しい光景に目を奪われていた。時には「おお〜」という感嘆の声さえ聞こえてくる。 時間にして50分。しかし、張松たちにとってはあまりにも短く感じた。 ・・・・・・最後の大目玉。 大きな音共にうち上がった、花火は暗闇の中を駆けていくただ一つの光明となった。今まで上がってきた花火とは、高さがまるで違う。 そして、今まで上がってきた花火の倍の高さまで駆け上り、華を咲かせた。 その大きさは比類するものなく、落ちていくごとに、赤→青→緑→金色と色を変えていく。そして中央には「蒼天」の二文字が金色に輝き続けていた。 「あ〜よかったー」 法正が漆黒の大空を見上げて言う。 「見事だった。感動とはこのことを言うんだな」 いちゃもんをつけるのが基本の孟達も、今回ばかりは文句の付け所がなかったのだろう。しきりに褒め称えている。 「来年はどこであるか、知らないけどさあ。またみんなで見よう!」 「「「おう!」」」 しかし、この約束が果たされることはなかった。 なぜなら来年の二月、劉備に通じ、益州校区を譲ろうとさせていたことが、発覚し、階級章を剥奪されることなる。 そして、張松はいじめに遭い退学。張松の退学と同じくして孟達は法正と共に築き上げた帰宅部連合から離反し、連合生徒会員となった。 こうして三人がこの蒼天学園で再び花火を眺めることはなかったのである・・・・・・。
28:雑号将軍 2005/08/09(火) 20:19 はあ、はあ、はあ…。き、教授様…。な、なんとか先陣、間に合いました…。で、この作品、前夜祭の方がまだマシなような気が…。ぐだぐだしてしまいました…。 こうしてみると今回の僕、益州陣営ばかりじゃないかっ!! >北畠蒼陽様 いえいえ、なんのこれしき。お気になさらずに。パソコンがフリーズしてた僕の責任ですし…。 >海月様 すみません…。先陣いただいちゃいました…。孫チンたちもやっちゃいましょう!もう一発どでかいのでいきましょう! >劉表 お見事です!これこそ劉表お姉様ですよっ!42.195キロなんてとんでもない。十分ですよ!
29:北畠蒼陽 2005/08/09(火) 20:58 [nworo@hotmail.com] 「……残念無念っていうじゃない?」 「いうね」 クーラーのきいた部屋の中で王昶と王基はだらけた格好でなにやら話していた。 王昶はすでに制服ではなく黒いドクロマークのTシャツとグレーのミニスカートという格好で執務机の上に両足を投げ出し、扇子で涼んでいる。 普段はマジメな王基ですら学校内だというのに胸の辺りまでブラウスのボタンをはずしソファに腰掛けている。 「……『念が残ってるの』と『念が無い』のが同列ってのはおかしくない?」 「あー、なるほどねぇ」 王基の言葉に王昶は感心したような声を上げた。 「じゃ、次、こっちね。『偽』って漢字があるじゃない?」 「……あるね」 今度は王基が王昶の言葉に頷く。 「偽って『人』の『為』になる、って書くじゃない」 「……そうだね」 うんうん、と頷く。 「なんねーよ」 王昶は言い切った。 「それともあれかな? 『嘘つきはその人を傷つけたくないから嘘をつくのだ。優しい人なのだ』って意味なのかな?」 「……かっこいいね、それ」 王基は頷いた。 「あんたら、なにやってんだ?」 「ん、素朴な疑問対決」 呆れたような諸葛誕の言葉に王昶は事もなげに答えた。疑問を出すのが勝負であり、疑問に答えるのが目的の勝負ではないらしい。 夏い暑のフタコマメ 「ぅあーづッ! ぅあーづッ!」 真っ赤な顔の王昶が神速で扇子を動かしていた。 「こ、公休、あんたねぇ……なんでわざわざここまできて……」 校舎の一室……王昶の執務室。 そこは異様な熱気に包まれていた。 クーラーはすでにスイッチを切られ、動く気配もない。 王昶ははしたなく襟元を大きく開けて扇子で胸元に風を送ろうと必死になっていた。 また王基は…… 「……ぁっぃ」 下半身はソファに腰掛けたまま上半身は机に突っ伏している。顔面蒼白。あと異様にだらだらと流れる汗。 なぜこのようなことになったのか…… 「いや、ごめん。私、冷房に弱い体質だから」 1人、このむしむしとした部屋の中で平然とした顔で、それでもわずかに悪そうに諸葛誕が答えた。 諸葛誕がクーラーを切ってしまったのである。この部屋のボスは王昶なのに! 勝手に! 「……ごめんぶんじょわたしもうだめかも」 「わぁー! 伯輿、死ぬなー!」 もう王基のほうは余裕がなさそうだ。 「……わたしがしんだらうみのみえるおかのうえにうめてくださいひなげしのはながさくおかがいいですあとおかあさんにおうきはゆうかんにたたかいましたとつたえてください」 「伯輿ッ! 伯輿ーッ!」 なんの三文芝居だ、これは 「あー……」。 さすがにバツの悪そうな顔をしていた諸葛誕は……少し考えていいことを考え付いた、というように手を打った。 「プールいかない? いや、おごるわ。悪いことした、みたいだし」 みたいだし、って自覚はないのか。
30:北畠蒼陽 2005/08/09(火) 20:58 [nworo@hotmail.com] 王基がなにも言わずに立ち上がりふらふらと部屋の出口に歩きだす。 「……みずぎとってくる」 ふらふらふら。 「ありゃ死んだな」 その後姿を見ながら王昶が呟いた。 死にはしないと思う。 …… …… …… 「……生き返ったかも」 プールまでの道のりで干からびていた王基は水の中でようやく息を吹き返した。 ハイネックタイプのワンピースで赤い花柄がちょっとオシャレな雰囲気である。 「いや、いんだけどさ……帰り、大丈夫?」 それを運んだ王昶がげんなりしながら呟く。 白いハーフトップに下半身はネイビーブルーのカーゴパンツ。あと日差しを避けるためにサングラスをかけている。 「……それよりあれ」 「うわ、すげぇ」 王基が指差し、王昶が唖然とする。 「あ、あんまり見ないでよ」 諸葛誕は銀のビキニだった。 プールサイドのパラソルの下で王昶と諸葛誕はぼ〜っとしていた。王昶はジンジャーエールで諸葛誕はメロンソーダ。 ちなみに王基は浮き輪に乗っかったまま流れるプールに流されている。それなりに楽しそうだ。 「いやー、それ女同士3人でプールに来るような水着じゃないって……別にいいんだけどさぁ」 「い、いいじゃない、そんなこと!」 恥ずかしがる諸葛誕。 恥ずかしいなら着なければいいのに。 それを流れるプールの中か狩人のような目で見ていた王基は一言呟く。 「……男ね」 呟いたんだけど流れるプールなのでそのまま流されていった。 「あー、いってらっしゃーい」 王昶が手を振ると王基がはるか向こうでぷかぷか浮かびながら手を振り替えした。平和である。 「で、男なん?」 「な、ち、違うわよ! そ、そんなわけないじゃない!」 諸葛誕、顔真っ赤。 「あやし〜い」 「あ、あや! あやや! 怪しくなんかないわよ!」 あやや、ってなんだ。 「で、公休」 「はぁはぁ……なによ?」 興奮する諸葛誕をどうどう、と宥めるように王昶が声をかける。 「で、その男ってかっこいい? その人の友達のかっこいい男、私に紹介してちょ」 「ちッがーうッ! っていってるでしょーッ!」 諸葛誕が絶叫した。 世界はまだまだ平和である。 「……♪」 王基はまだ流されていた。 世界はまだまだ平和である。 …… …… …… 「……遊んだ」 「あんた、流されてただけじゃん」 王昶が王基にツッコみ、諸葛誕は苦笑する。 夕闇が差し迫ったプール。 今日は夏祭りで夜遅くまでプールも開放されている。 「もう、そろそろ、かな」 諸葛誕の言葉に2人は空を見上げる。 この夕闇の空を彩るのは…… 花火が上がった。
31:北畠蒼陽 2005/08/09(火) 21:03 [nworo@hotmail.com] うふふぅ、3行省略されてしまいましたよ(ノ_・。 諸葛誕はないすばでぃ希望! 個人的には白いハーフトップすき〜。 あと壊王基が自分の中で雑君保プのイラストみたいな目が異様に大きいような……あー、王基、もうダメだ。 ……このペースで祭り参加して大丈夫なのか、自分? ほんとに? ほんと? じゃあそれー。
32:★教授 2005/08/09(火) 22:56 ◆In the Moonlight -REGRET SIDE-◆ 「中々似合うでしょ」 「へぇ…意外と似合うもんだね」 「漢升さんも決まってますよ」 法正と黄忠はお互いの浴衣を褒め合う。最も法正は禁止ワードの類を避けて会話しているので若干の間が空いているのだが。 その横では趙雲が厳顔の浴衣を着付けしている。慣れた手付きで帯を腰に巻きつけて結ぶ匠の手腕の前に浴衣は型崩れする事なく厳顔の引き締まった体に纏われた。白地に桔梗柄の浴衣は精悍な厳顔にとてもよく映えている。 「え、もう終わったのか?」 あっという間に終わった着付けに自分の体を見回す厳顔ににこりと微笑みかける趙雲。ちなみに法正と黄忠の着付けも彼女が手掛けた。赤地に紫陽花柄の浴衣が法正、ベージュ地に笹柄のモダン風味溢れる浴衣が黄忠である。 「ごめんね、助けてもらっちゃった上に着付けまでしてもらって」 法正、黄忠、厳顔の三人がぺこりと趙雲に頭を下げる。当の彼女は慌てて『大した事してませんから』と狼狽していた。褒められるのはあまり慣れてないのだろうか。 趙雲の着付け開始から遡る事30分前―― 「何だ、これ…えと、これをこうして…」 「何か違うよーな…イタタっ! キツイキツイ!」 「わ、悪い。法正、その着付け解説は本当に合ってるのか?」 厳顔は帯に悪戦苦闘しながら困った顔をしながら解説書を見つめる法正に尋ねる。 「合ってる…はずだけど、聞いた事ないような言葉もちらほら…」 「しっかりしてよ……って、これは無いでしょ」 「取り敢えずそれでキープしておこう」 「チョウチョ結びなんかしたら帯に皺寄るじゃない!」 「うっさいな、それなら自分でやりな!」 イライラの限界に達している姐さん方、遂に口喧嘩が勃発した。このままでは格闘に発展するのは時間の問題だ。この口喧嘩の声量に法正のイライラも臨界点を突破する。 「あーーっ! もうっ! 痴話喧嘩なら他所でやれーっ!」 「痴話喧嘩って何だ! アンタこそ憲和とヨロシクやってろ!」 「憲和は…関係ないっての!」 「今の間は何? あーやーしー」 「あ、怪しくない! 何さ、無駄にトシ食えばいいってもんじゃないわよ!」 「何をーっ!」 …で、ぎゃーぎゃーと三人が喚く修羅場の傍を偶然通りかかった趙雲が冷静に場を処理したという訳である。御三方も冷静になって何度も互いに頭を下げ合う様子は貴重な光景だったとか。 趙雲も『準備がありますから』と去って、若干日が傾いた頃。窓際でぼんやりと雲の流れを見ていた黄忠と厳顔に浴衣のまま机にかじりついている法正の姿があった。 厳顔は何となしに柱時計に目を向けると、眠そうな眼に光が灯る。 「えーと、今17時前だから丁度いい時間だと思うわけで」 「そうね…じゃ、行こうか」 姐さん方は巾着を手に取ると、忙しく筆を動かす法正に向き直る。 「それじゃ、私らは先に行ってるよー」 「んー。いってらっしゃーい」 書類から目を離さず空いた手を振りながら二人を送る法正、事務仕事が多いのは祭の日も変わらないようだった。ドアの開閉音が耳に届いた後、法正は筆を置いて大きく息を吐き出した。 「浴衣まで着ちゃったけど…私、一人なんだよね…」 ぼんやりと照明を見つめる法正。友人だった張松はもう学園にいない、そして孟達も傍らにはいない。いつか約束した『また三人で花火を見る』という言葉はもう現実にならない事は法正自身よく分かっていた。 寂しい気はする。でも、現状に満ち足りてる自分もいる。これでは、もう三人で一緒にいたあの頃は楽しかったと胸を張って言う事が出来ない。 「私は…これでいいのかな…」 誰とも無くぽつりと呟く。帰宅部を導く為に奔走した張松は階級章を奪われた上に惨めに学園を追い出されると法正達には行方も知らされなかった。孟達も当時に比べると登用される事が多くなったが現実問題で不遇と呼んでもいいかもしれない。 だが、法正は違った。新体制になってからというものずっと重要視され、漢中アスレチック戦を勝利に導き、あの夏候淵を飛ばす鬼才までも発揮した。今や帰宅部連合に無くてはならない存在になっていた。しかし、それは余りにも対照的な自分と友人達との境遇を厭が応にも考えさせられる事になった。彼女もまた目には見えない心をすり減らしてきたのだ。 法正はもう一度深い溜息を吐くと、浴衣の袖で目元を拭う。一人になると実際幅よりも広く感じられる会議室に苦笑する。 「これが私の望んだ物だったのかな…」 書きかけの書類を封筒に差し込むと持参の鞄に詰め込む。…と、鈍い痛みが法正の腹部を内側から襲う。 「う…けほっ!」 突然の衝撃に思わず蹲り、咳き込む。口の中に広がる赤錆びた鉄の味に口元を押さえていた手を見る。そこには―― 「うそ…」 自身の唾液に混ざっておぞましい程に赤い血が付着していた。驚く間も無く襲い来る鈍痛、そして心の衝撃に法正は意識を失った―― 後編へ!
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