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☆熱帯夜を吹っ飛ばせ! 納涼中華市祭!☆
44:北畠蒼陽2005/08/10(水) 18:24 [nworo@hotmail.com]
「いや、あの……ほら、楽チン先輩、可愛いですよ、とっても。あはは」
「でも濬沖だって一番最初、『あ』とか言って固まったじゃない」
王戎がフォローしたが王渾が叩き潰した。
空気読めよ、王渾。
まぁ、実際のところ制服が可愛いのは確かで、それを『あの』楽チンが着ている、ということにすさまじいギャップがあるのだが。
「あー、あははー」
困ったような顔で笑う王戎。実際、それくらいしかできないのだが。
「……あの、さ」
真っ赤な顔で楽チンが引きつり笑いを浮かべた。
「あの……できればお姉ちゃんたちには内緒にしておいてほしいかな〜、って」
毋丘倹や胡遵ならともかく、王昶とか文欽なんぞに知られた日にはどんだけ笑われるかわかったものではない。
「楽チンちゃん」
「ん?」
王渾が人差し指を唇に当て純真無垢な……明らかにそれを装った口調で楽チンを呼ぶ。
「あたし、ケーキバイキングがいいなぁ」
ディアブロだ。ディアブロがいる。
楽チンはそう思った。
「玄沖、あんた……間違いなく文舒の後継者だよ……」
楽チンの言葉に王渾は『てへっ』と笑った。
褒めてねぇよ。
落ち込みながらちらっと王戎を見る。
「あ、いいですいいです。あたしはいいですから!」
ぶんぶんと手を横に振った。
「濬沖はいい娘だねぇ」
しみじみと言った。
このディアブロの横にいると天使かと思えてしまう。
「いいよ、2人ともおごり、ね。そのかわり誰にもばらすなよ」
苦笑する楽チン。
「わぁー、楽チンちゃん、ダイスキー」
「あー……あはは。ほんと、すいません先輩」
1人は歓声、1人は謝罪。
つまり1人は悪魔で1人は天使ってことだ。
どっちがどっちかは言うまでもないことなのだが。
……
……
……
「いやぁ〜、ここ、ほんとにおいしいねぇ〜」
王渾の王戎に語りかける。
かなりご満悦のようだ。
「また来たいねぇ♪」
楽チンのほうを見てにやにやと笑いながら言う。
……あんた、そういうプレッシャーのかけ方は姉そっくりだよ。
対する王戎のほうは『あはは』と苦笑しながらコーヒーを飲んでいる。
板ばさみのつらさはよくわかるよ、うん。
「あ、ねぇ」
王戎が不意に腕時計を見た。
空にはそろそろ夕闇のベールが降りようとしていた
「あ、そろそろだっけ? ここから見えるかな」
クーラーのきいた店内から外へは出たくないらしい王渾が窓にへばりつく。
「大丈夫だよ。普通に座ってても見えるはずだから、さ」
楽チンは苦笑しながら王渾に言う。
3人で見る夕方の空。
この薄闇の空を彩るのは……
花火が上がった。
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