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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド 二学期!★
34:彩鳳 2007/03/11(日) 00:27 『どんな物事にも、必ず終わりがある』と人は言う。その言葉は正しいと思う。今までの人生で一番目まぐるしい、今日という日にも当てはまったのだから。 そんなことを思いながら、劉Nは街灯に照らされた夜道を寮へ向けて歩いてゆく。 曹操と相対しての降伏手続きが終わった頃にはすでに日は沈んでおり、夜空には無数の星々が浮かんでいた。 歩きながら、彼女は今日一日の出来事を思い返してみる。 普段と違う緊張感の張り詰めた朝がやって来て、しかし何ごともなく午後になったと思ったら、突然曹操の侵攻が始まった。 それ以降は上級生たちと進展のない議論に終始し、気がついた時には連合会の大軍が目の前に迫っていた。 そして、曹操との対面の時が訪れた。 (本当に、凄い人だったな・・・) 先程まで顔を合わせていた人物の印象が、劉Nの頭を離れない。 彼女の想像とは全く違った“学園統一に一番近い女”の幼げな容姿。 初対面の劉Nは驚いた。だが、そこで驚いてはいけなかった。本当に驚くべきなのは、それからだったのだから。 曹操が見せたのは、姉や姉を支えた上級生たちにも似た余裕綽々の態度。 そんな彼女に付き従う錚々たる面々と、それを動かすリーダーシップ。 そして「臨機応変」の言葉を地で行く瞬間的な判断力。 どれも劉Nが必要だと思いつつ、持ち合わせていなかったものだ。しかし、曹操は持っている。 (無理だ。私じゃ敵わない) 自分と曹操の間にある巨大な“差”の存在を、劉Nは認めざるを得なかった。 姉には悪いが、たとえ姉の引退が遅れたとしても荊州校区の独立は守り切れなかったと思う。 学内最大の実力者の力量を目の前で見せつけられて、劉Nは格の違いを思い知ったのだ。 しかし、劉Nの驚きはそれだけではなかった。曹操は、劉Nを青州校区総代に任じたのである。 青州校区総代。軍権は無く、階級章も2000円から600円にランクダウンしてしまうが、それ以外は生徒会長と大差のないポスト。すなわち青州校区の責任者である。 荊州校区の降伏によって自分の学園生活は終わったと覚悟していた劉Nにとって、全く予想出来なかった決定だった。初対面ではあるが、自分は曹操の敵のはずである。その自分が一校区の責任者だなんて、それで良いのだろうか。意思決定を行う力こそ持っていなかったが、それでも荊州校区のトップにいるという自覚は持っている。 校区の降伏手続きと、連合会主導による人事処理が終わった後、意を決して劉Nはそのことを曹操に問いかけた。だが、劉Nの訴えを聞いた曹操は呆れたように言った。 「敵同士だったのはさっきまでの話でしょ。それに、蒼天章まで取られなくちゃいけないことをあなたはやったの? やってないでしょ。そんな終わったことより、来週のことを心配したほうがいいんじゃない?」 これが曹操の返事だった。こうして、劉Nの青州転属は正式なものとなった。 (明日も忙しそう・・・) 月曜日には、青州校区での初仕事が待っている。そのため、明日の日曜日は引越しに専念しなければならない。荷物の移動は連合会のほうで受け持ってくれるというが、見知らぬ校区へ転校するのだ。楽な一日にはならないだろう。 明日への不安を抱えつつ、一人孤独に彼女は夜道を歩いてゆく。 道の半ばで、劉Nは後ろを振り返った。視線の先には毎日を過ごした校舎がある。曹操の事や明日の事に気を取られ、他にも気になる事が多すぎて、襄陽棟で過ごすのもこれで最後だということを彼女は失念していたのだ。 彼女の視線の先では、見慣れた校舎が暗く静かにそびえ立っている。 重々しい夜闇に包まれたその姿は、まるで墓標のようだと劉Nは思った。 ○作者後記 前章に続いて、劉Nには辛い章になってしまいました。後で補完ストーリーでも書かねば。 さて『王者の征途』は次章で完成予定ですが、早く載せられるように尽力いたします。
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