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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド 二学期!★
13:彩鳳 2007/02/22(木) 22:24 『王者の征途』 序章『嵐の予感』 曹操率いる蒼天学園・連合生徒会の北伐部隊と烏丸高校の抗争が終結してから、およそ1週間が過ぎ、学園は間もなく10月を迎えようとしていた。 夏の余韻は完全に消え去り、秋らしい涼風が色付き始めた木の葉を揺さぶっている。 本格的な秋の訪れは、学園内に漂う張り詰めた空気を一掃させていた。 袁紹の引退を契機に曹操が河北侵攻を開始してからというもの、冀州校区・并州校区・幽州校区の各地で戦闘が連続し、学園内には緊張した空気が張り詰めたままであった。ようやく、先日になって北への攻勢が終結して学園内――特に黄河以北の地域――の空気は緊張感から開放されたのである。 混乱続きの蒼天学園に穏やかな日常生活が戻ってきたのは、夏休みも含めておよそ四ヶ月ぶりのことである。生徒たちは烏丸高校との抗争が沈静化したことを喜び、開放感あふれる日々を満喫していた。 だが、ほとんどの生徒たちは知っている。この平穏な日々が「嵐の前の静けさ」に過ぎないことを。次の嵐が、そう遠くない日に吹き荒れることを。 嵐の訪れを予感しているためか、生徒たちは秋空の下“楽しまなくちゃ損”と言わんばかりの日常生活を送っている。そのほとんどが口にこそ出さないが、心の中で願っていた。 『この穏やかな日々が、一日でも長く続いて欲しい・・・』 叶わぬ願いであることは皆が理解している。だから口には出さない。だが、それでも願わずにはいられない。混乱期の一般生徒たちが抱えた悲痛な願いである。 だが、彼女らの願いが一旦実現するのは、三国時代が終結する数年先のことである。それまで蒼天学園の生徒たちは、戦乱の続く嵐の時代を過ごすことになる。 その「嵐の時代」すなわち三国時代の始まりを告げる『赤壁島決戦』の序章、曹操の荊州校区侵攻が、間もなく始まろうとしていた・・・。
14:補足説明 2007/02/22(木) 22:24 正確に言うと、湖南地域では孫権率いる長湖部と荊州校区の間で紛争が頻発しており、学園内は完全に平和な状態ではありません。ですが、当時の孫権は揚州校区を束ねる立場に過ぎず、学園全体に与える影響力、あるいは生徒たちの注目度、といった部分で曹操に遠く及びません。 それに、江夏近辺の紛争は所詮地域レベルですので、現地の面々以外に注目する物好きもあまりいないでしょう。 (某勢力の参謀陣は違うと思いますが) さて、拙作『王者の征途』では曹操の荊州侵攻を扱います。正史準拠・・・と言えるかどうかは 相当怪しいですが、皆様がお楽しみいただけるように努力したいと思います。 次の第一部は明後日に載せる予定です。
15:雑号将軍 2007/02/25(日) 22:09 お久しぶりです。雑号将軍と申す者です。久々に感想などを…。 >7th様 諸葛喬ですね。彼(彼女)はなんというのか諸葛瑾の生き写しのような印象を持ってたりします。 なにはともあれ、蜀の中ではかなりの人物だった故に悲しいことです。 >冷霊様 冷苞将軍は自分の中ではすごい強い印象があります。三國志シリーズで常に先陣を切って敵陣に突っ込んでいます。 まあ、自分が常に劉璋を使うからかもしれませんけど。もし冷苞が劉備軍にいたとしたらと時々考えたりする雑号将軍であります。 >韓芳様 呂将軍、格好良いですなあ。そういえば、高順とかって呂布はどこでであったんでしょうね。張遼は丁原繋がりだった気がしますが…。 あと、韓芳様の中では呂将軍の流派って決まっているのでしょうか?やはり我流なのでしょうか?
16:彩鳳 2007/02/25(日) 23:24 『王者の征途』 第一章 『高まるうねり』 その日、曹操を中心とする「嵐を起こす者」たちは鄴棟―冀州学院校区の中枢―の連合生徒会総本部にいた。 鄴棟は冀州学院最大の校舎で、かつては袁紹が、現在は曹操が本拠地として活用している巨大校舎だ。黄巾革命の大乱で一度激しく荒廃したが、革命から二年が経った今では以前の賑わいを取り戻し、蒼天学園でも有数の大校舎となっている。 その巨大校舎の廊下に響く、間の抜けた歌。 「しぃ〜っぷう(疾風)万里〜♪ れぇ〜んごう(連合)会〜♪ め〜ぇざす〜ぅ(目指す)は湖南♪ さぁ〜いそ〜ぉ(柴桑)棟〜♪」 「・・・・・・何歌ってんのさ」 聞いたら誰もが沈黙すること請け合いの『ハ○イ大海戦』の替え歌に、生徒会執行部長・夏候惇は顔をしかめた。曹操の傍という位置関係上、脱力しつつも仕方なくツッこんだのだが、 (こんなのにウケる奴がいたら、相当変な奴だ。絶対に) と心の中で思っている。廊下に二人だけしかいないのは、不幸中の幸いだ。だが、当の曹操は彼女の胸中を知ってか知らずか、 「え? 南征軍の賛歌。さっき思いついたの」 と言う始末。 「とりあえず、アンタの発想力に敬意を表することにするよ・・・」 事ここに至っては、もはや多くを語る必要はあるまい。一体何を言えというのか。「馬鹿と天才は紙一重」と先人たちは言うが、その通りだとつくづく痛感させられる。どちらも結局は「変人」だ。 古くからの付き合いではあるが、こういう“変人モード”の時の曹操は、剣道一直線の夏候惇にはどうにも扱いにくい相手である。その天真爛漫さが、彼女の幼げな容姿に似合っているのが救いといえば救いか。 (まったく、昔から複雑な奴なのは分かってるんだけど。どうもやりづらい・・・) 夏候惇の思考を遮るように、曹操が口を開く。 「も〜さっきから黙っちゃって。どうせ見た目と実年齢が、とか思ってんでしょ?」 曹操が鋭いのは昔からだが、こういうところで得意技を発揮するのは勘弁して欲しいものだ。まあ、古い付き合いだけに仕方ないが。諦めたように夏候惇は口を開く。 「まあね。私や幹部連中の前ならまだいいけど、下級生たちの前ではやめときな。あんたのファンが泣く」 「も〜元譲は心配しすぎだよ! そんなことするワケないのに〜」 そうやって無駄にムクれる姿は可愛らしいのだが、それはさて置き確かに曹操がそんなバカをやらかす心配は無いだろう。・・・・・・酒が回ったりしない限りは。まあ、年末年始はまだまだ先だ。もっとも、これから始まる大攻勢が成功裏に終われば、祝勝会で暴走する危険性は―――。 考えるのはやめにしよう。夏候惇は自分の思考を打ち消した。これから始まる戦の後のことなど、戦の前から想像するべきではない。何が起こるかわからないのが戦だ。自分たちが官渡で証明したではないか。 「まあ、ここまで来たんだから、今は作戦に集中しないとね」 「・・・・・・そうだね」 先ほどのムクれた姿から、打って変わった曹操の一言。 切り替えの早さもさることながら、こっちの考えを見透かしたかのように「作戦に集中しないと」ときた。 (これが孟徳の覇者たる所以、ってことなの・・・・・・かな?) 曹操の奇才(鬼才)ぶりは重々承知している夏候惇だが、事あるごとにこの古馴染みに振り回されてしまう。 (困った奴だけど、なんだかんだで敵わないんだよなぁ。やれやれ) そう思いつつも、不思議と不快感は感じずにいる夏候惇だった。結局のところ、彼女はこの騒々しい古馴染みを気に入っているのだ。 曹操と夏候惇が入室した大会議室には、既に荊州侵攻作戦の最終打ち合わせのため、多くの連合会幹部たちが集合していた。 「それでは、全員揃いましたので、南方作戦の最終確認を始めたいと思います」 口を開いたのはドレードマークのストールが印象的な議長役の荀掾B彼女は曹操の参謀長的存在だ。 同時に、情報参謀役の賈詡がノートPC直結の大型スクリーンを操作し、スクリーンに大型の地図が映し出された。続いて荀揩ェ皆に作戦内容の確認を促すべく、作戦の概要を話し始める。 10月初旬に発動される「ホッホヴァッサー」(Hoch Wasser=高潮作戦)。これが曹操と彼女を支える強力参謀陣が創り上げた南方侵攻作戦の名称である。 作戦は3つの段階に分かれているが、大まかな流れは簡単だ。 荊州校区と司隷校区及び豫州校区の境界部から一挙に大兵力をもって南下し、荊州校区の中枢である襄陽棟・江陵棟を制圧するまでが第一段階。 そして、旧劉表(現劉N)陣営の取り込みを行い、同時に占領地域の安定化を図るのが第二段階。 然るべき足場固めを行った後、長湖に面した江陵棟を拠点にして水陸両面から東進し、孫権率いる長湖部を屈服させるのが第三段階である。 この作戦が成功すれば、連合生徒会に敵対する主な勢力は一掃され、残る勢力は馬騰率いる涼州校区の陸上連合会と、劉璋が生徒会長を務める益州校区の二つとなる。 どちらの勢力も、追い詰められれば激しく抵抗する事が予測される。しかし、荊州・揚州校区を併合した連合会の大兵力を相手にすれば勝てないと参謀たちは考えている。第二次大戦時の東部戦線が良い例だ。 東部戦線の戦いは、独ソ両軍合わせて600万以上(クルスク戦時は1000万以上)の将兵が激突した大規模なものであった。ドイツ軍は1941年の独ソ開戦までにポーランド・フランス・バルカン半島での戦闘を経験しており、将兵たちの戦闘能力はソ連赤軍を遥かに超えていた。事実、開戦直後のドイツ軍は圧倒的な勢いで進撃している。しかし、数で勝る赤軍に激しい抵抗と消耗を強いられ、1943年夏のツィタデル作戦(城塞作戦=クルスク大会戦)以降は完全に戦争の主導権を失うことになる。劣勢に立たされたドイツ軍はなおも自軍を上回る損害を赤軍に与え続けたが、雲霞のごとき赤軍の前に補充が追いつかずに戦力差は広がり、戦線は後退する一方であった。そして1945年5月の終戦により、彼らの祖国は東西分割の憂き目に遭ったのである。 ドイツ軍の末路が良い教訓である。ゆえに参謀たちの考えは一つの点で一致していた。物量で勝る以上、多少てこずっても物量に限界のある相手に負けることは無い。最終的には勝者の座を獲得できる、と。もちろん、西方へ進出するのは荊州・揚州の両校区を押さえてからの話だが、蒼天学園を制覇するまでの道のりを考えるのが戦略に携わる参謀たちの仕事である。この辺りは目の前の仕事(戦闘)に集中する夏候惇のような軍人肌の人間たちと決定的に異なる部分だと言えよう。
17:第一章Part2 2007/02/25(日) 23:25 自軍の戦略方針を一通り話し終えたところで、荀揩ヘ戦術面へ話を向ける。 「私たちが当面集中すべき作戦第一段階ですが、特に重要なのは生徒会長の劉N以下、荊州校区の生徒会幹部たちを確保することにあります。次の第二段階での無用な時間を取られないためにも、彼女らの口から降伏を宣言させなければなりません。もっとも、既に荊州校区内に浸透している者たちの報告では、降伏論が大勢を占めているようですが」 「ですが〜〜〜♪ 襄陽から逃げられると〜〜〜♪ 後始末に手が掛かりますから〜〜〜♪」 「作戦発動と同時に荊州校区に強行突入、快速部隊を投入して襄陽を電撃制圧する。逃走する猶予など与えない。反撃する猶予も与えない。与えるのは降伏か、引退かの選択権のみと言うわけだ」 荀揩フ言葉を荀攸、程Gの二人が補足する。二人は荀揩粫ノ詡と共に曹操を支える“カルテット”のメンバーである。つい先日までは郭嘉を加えた“クインテット”として機能していたのだが、その郭嘉は北伐直後の発病により入院生活を余儀なくされている。 郭嘉の発病リタイアは非常に痛い。彼女を知る全員が残念がっているが、それほど悲観しているわけではなかった。郭嘉抜きの状態でも、参謀陣の実力は他勢力のそれを大きく上回っていると誰もが思っていたうえ、北伐に伴い旧袁家ファミリーの人材や司馬懿・蒋済といった期待の下級生が加わり、郭嘉の抜けた穴は埋められようとしている状態だったのだ。 もっとも、総合力を高めて郭嘉の穴を埋めることは出来ても、郭嘉本人になることは誰にも出来ないのだが。 戦術方針の確認が終わると、会議の議題は戦術レベルの話へ移る。作戦参加部隊の編成表を見ながら、曹操が口を開いた。 「それじゃあ、次は誰に先陣を任せるかについてだけど―――」 言うや否や、会議室内にいる武官たちの視線が曹操に集中する。個々の実力差はあれど(極めて高いレベルでの差ではあるが)腕に自身のある彼女らはみな、軍の先鋒を務める名誉を欲しているのだ。 各人の見せる意欲の高さに満足しつつ、曹操が口を開いた。 「―――今回の先陣は文謙にお願いするわ。」 僅かな一瞬だが、曹操の決定に誰もが「やはり」と言いたげな気配を放つ。小柄だが歴戦の彼女の突進力や実績は誰もが認めるところだ。 当の彼女は何食わぬ顔のまま、その大きな瞳で曹操を見据えた。 「喜んで引き受けます。どのくらいの兵力を私に預けて下さるのですか?」 楽進の問いに、曹操ではなく情報参謀の賈詡が答えた。 「兵力ですが、バイク部隊100名を予定しています。何かご意見は?」 「後続の援護は?」 楽進の懸念は当然である。バイク部隊は突破攻撃の切り札だが、後続部隊の援護がなければ敵中で孤立してしまう。最悪の場合は全滅、良くてもバイクを放棄して徒歩で脱出、という事態を覚悟しなければならない。 「ご心配には及びません。張[合β]さんの武装風紀を後続させる予定です。事後承諾になりますがお願いしてよろしいですね? 張[合β]さん」 「おや? 私の出番か。喜んで」 自分の出番になるとは思わなかったようだが、あっさり承諾する張[合β]。一見楽進の補助員的役回りだが、彼女は先を読んでいる。その先の展開を読み、美味しい役回りなのを察した上で「それで、ウチの隊の戦力は?」と賈詡の言葉を引き出しにかかった。 「武装風紀100名に執行部員の精鋭50名、合わせて150名を預けます。襄陽棟を制圧して、荊州校区のトップたちを確保してください。戦闘序列は二番手ですが、非常に重要な役目です。気を悪くしないでくださいね」 もちろん気を悪くなどする筈がなく「承知した」の一言だけ張[合β]は口にした。その一言で十分だった。 二人のやり取り以降も、会議は平和裏に進んだ。激しい口論など起こらずに、会議は淡々と進んでゆく。皆が参謀陣の力量を認めているためだがもう一つ、作戦案を曹操が承認しているためでもあった。ここで参謀たちに反論するのは、曹操に反論するも同然だ。 もっとも、いざとなれば指揮官たちは現地での独断専行を辞さないつもりだ。それだけの実績や勝負勘をすでに指揮官たちは備えている。 一方、最高指揮官である曹操は、目の前で続く幹部たちのやり取りを眺めつつ(もちろん、注意して聞いてるよ? 司令官だからね)脳裏で南征軍の行軍ルートに思いを馳せていた。 荊州侵攻から揚州制圧に至るまで、勝算はあるが全てが順調に進むとは思わない。その困難な作戦目標を成功させるために必要な拠点が幾つか存在する。 まずは荊州校区の中枢である襄陽棟。次に長湖に面した荊州校区の水運拠点である江陵棟。そして長湖部の本部が置かれている揚州校区の柴桑棟。この三箇所は特に重要な拠点である。 ここで地図を見てみよう。(準備できなくてごめんネ♪) 曹操のいる鄴棟から南西へ進むと、蒼天会本部の置かれた許昌棟だ。その許昌棟から更に南西へ進むと襄陽棟へ至る。襄陽棟から南へ向かうと江陵棟で、同地で大きく進路を転じて東へ向かうと柴桑棟だ。 この、鄴から許昌・襄陽・江陵を経由して柴桑に至る「し」の字を斜めにしたような線こそ、曹操が思い描く南征軍主力の進撃ルートである。 そして彼女は、この進撃ルートに自分だけの名前を密かに付けていた。 『ロイヤル・ロード』(Royal Load)。その意味は『王者の征途』。 このネーミングについて、曹操は誰にも口にしていない。パートナーの夏候惇に対しても。誰にも言わないでいるシークレット事項である。周囲に笑われそうだから、という理由ではない。誰にも言いたくなかったから、自分一人の構想のまま封印しておきたったからである。 南征軍の進撃が始まれば、荊州校区・揚州校区での交戦は必然。戦闘は避けられない。それも、官渡公園以来の大規模決戦になると予想される。 その「決戦」に至り、勝利するために歩むべき道に、曹操は「ロイヤル・ロード」という名前を与えたのである。 蒼天学園の行方も、曹操たちの行方も「決戦」の結果によって決定するだろう。 『―――決定するだろうけど、またどこかで烏巣のようなコトが起こりそうだねぇ・・・・・・』 声に出さず、そのまま口の中で曹操は小さく呟いた。彼女の脳裏に浮かび上がるのは、自ら指揮した烏巣襲撃作戦の光景だ。あの決戦からもう半年が経ったが、忘れなどするものか。あのときの記憶は今でも鮮明なままだ。あの時の烏巣襲撃と、それに連鎖した官渡決戦の大逆転劇は、大津波のように巨大な衝撃となって全校を震撼させたものだった。 今回もまた然り。戦いのどこかで烏巣の時のような「戦機」が訪れるはず。それを見逃してはいけないと、曹操は固く誓う。 『今度の南征で、蒼天学園の帰趨を決めてみせる。私たちが『王者の征途』を歩むとき、全校は固唾を飲んで見守るがいい・・・!』 彼女の呟きを耳にしたものはいない。しかし、曹操が派手に仕掛けるつもりでいることは、室内の誰もが理解していた。
18:作者補足 2007/02/25(日) 23:36 こんばんは。彩鳳です。投稿が一日遅れてしまいました。 投稿が遅れた以上に申し訳ないのは地図がないことです。(本文では代わりに曹操に謝ってもらいましたが) 救いなのは、大都市ゆえに現代の地図でも補足できることでしょうか。 さて、連合会が準備している「高潮作戦」ですが話の展開上、本当は「高潮」ではなく「満潮」作戦としたかったのです。 が、ドイツ語の「満ち潮」って何て書くんでしょう?(滝汗) 英語なら(Flood Tide)になります。Hoch Wasser(=洪水・高潮)は私の辞書(1972年 同学社)でフォロー出来たのですが。 某架空戦記で描写されたソロモン諸島の某島を巡る戦いのように、「ハイ・タイド」(High Tide=高潮作戦)でもまあ良いかと思い、上記の作戦名になりました。 私の電子辞書では(高潮=Tidal Wave もしくはSpring Tide)になっていますけどね。う〜む。 何はともあれ、第2話から連合会の繰り出す津波のような強襲戦法が炸裂する予定であります。 次の赤壁島決戦のことを考えると、連合会側としては荊州は速攻で落として赤壁戦に時間を割きたいでしょう。 既に時期が10月なので、これ以上遅れると水上決戦が出来るかどうか怪しいですし。(辛うじて泳げる水温ですか?) そして、この寿司詰め状態のスケジュールに敢えて目を瞑っての決戦強行(つまりは連合会の焦り)が 赤壁での挫折に繋がるのでは・・・と私は愚考しております。(史実も似たようなものでしたし) ちなみに私は赤壁島決戦のプロットは全然考えておりません。(核爆) ただ、どなたが書くにせよ(対陣→両軍の駆け引き→決戦)の流れが一日二日の短期決戦で片付くとは到底思えないので 荊州攻撃は速攻策で、という事に致しました。赤壁島決戦は最低でも一週間は必要になると思います。 学園年表の流れから考えて、曹操の荊州攻撃が10月初旬、赤壁島決戦が同月中旬〜下旬(二週間程度か?) と思ったのですが、果たして・・・。 ○追記 「ハワイ大海戦」は作詞:北原白秋 作曲:海軍軍楽隊による戦時中の軍歌です。
19:彩鳳 2007/02/25(日) 23:53 俺はなんて馬鹿なんだ・・・。Load→Roadの間違いです。お恥ずかしい。 これ以外にスペルの間違いは無いと思いますが、あったらご遠慮なく指摘してください。
20:韓芳 2007/02/26(月) 00:53 >彩鳳様 第1章お疲れ様です。 外国語が苦手な私は、間違いに気付くどころかまず読めませんでした…ダメじゃん…orz でも、今後曹操の参謀陣がさまざまな事態をどう乗り越えていくか見物ですね〜。 続き期待してます。 >雑号将軍様 私の中で呂布はやっぱり我流ですね。 さまざまな武術を習得→1回の戦闘にさまざまな流派の技を出すようになる→面影は残しつつも元の形とは違う技になる(我流 ↑みたいな感じで。 改めて考えると、少し強引…
21:彩鳳 2007/03/01(木) 01:38 『王者の征途』 第二章 『嵐は三たび』 蒼天学園の構内は、再び緊張感が高まり始めている。 10月が始まって僅かな日数しか経ってはいない。しかし、荊州校区から司隷校区・豫州校区にかけての一帯は、厳戒体制さながらの緊張感に包まれている。 特にそれが顕著なのは荊州校区の北方、連合会との境界地帯だ。現地ではいくつもの小戦隊(国境警備隊に相当)が配置に付き、曹操の南下に目を光らせている。境界の向こう側には曹操の率いる蒼天会の大兵団が集結している。そのことは配置に付いている全員が知っていた。 あとはもう、来るのが早いか遅いか、それだけの違いでしかない。 「来るとしたら今日かと思っていましたけど…来ませんね」 警戒班の一人(以降班員A)が、班長に話しかけた。 今日は土曜日。大きな作戦を行うには絶好の週末である。しかし、太陽はすでに南の空を通り過ぎ、時計の針は午後二時の位置へ近付きつつあった。朝から厳戒体制を敷いていた警戒部隊の全員が、拍子抜けした気分を味わっている。 「まだ、来ないと決まった訳じゃないわよ…」 立場上『もう来ないと思うけど』とは言わずにおいたが、班長の言葉にはそう言いたげな響きがある。 『秋の空は釣瓶落とし』と言うが、10月の日の入りは早い。日が沈むのは夕方の五時二十分頃。あと三時間半ほどしかない。いま目の前で蒼天会の連中が動き出したとしても、もう遅すぎる。残された三時間半でどれだけのことが出来るというのか? 幾多の修羅場をかいくぐってきた連合会の人間なら『何でもできるさ!』と言うだろう。しかし、彼女たちは校区境界部で時たま起こる紛争や治安維持など、実戦と呼ぶに値しない“荒事”に従事した経験しか持っていなかった。荊州校区内でそういった修羅場を知る人間といえば、長湖部と相対している黄祖とその麾下の者たちくらいだろう。先日の抗争で飛ばされてしまったが。 「ああ・・・せっかくの週末がこんなコトに・・・」 いつ来るか分からない敵のために、私たちの週末が消えてゆく。警戒任務に付いている者たちの士気は決して高くなかった。 姿こそ見えないが、目の前には蒼天会の大部隊がいるのである。校区境界部の警備班程度で太刀打ちできる訳がない。こういう時こと待機している(はずの)主力部隊の出番だというのに、その姿は影も形もない。 「一体どうなってるの・・・」 圧倒的な敵への不安、動かない味方への不信が彼女たちを厭戦気分に陥れてゆく。周囲を包む沈黙が、余計に嫌な空気を形成してゆく。 「ひょっとして、向こうの大将が生○にでもなったんじゃないですかぁ?」 嫌な空気を感じてかどうかは知らないが、班長の背後で別の班員(以降班員B)が馬鹿げたことを口にした。本当に馬鹿げていると思ったが、前途は暗い上に手持ち無沙汰でやる気など失せかけている。結局、班員Bを叱ることもなく話に付き合うことにした。 烏丸高校との抗争が終結してから二週間あまり。蒼天会の主力部隊は、早くも荊州校区との境界地帯での集結を完了させていた。 学園北辺部から南の荊州校区近辺へと、主力部隊の配置を大転換させるのに5日を要した。時間を惜しむあまりに、移動しつつ諸部隊の再編成を行うという荒業を行い、続いて移動先では、待ち受けていた各部隊の補充要員の受け入れを行ったためさらに1日を費やした。 移動を終えてようやく腰を落ち着かせた諸部隊が、全員の休養と再編成後の合同訓練を行いつつ一週間が過ぎ、そして出撃の日を迎えた。戦場での戦闘経験だけではなく兵站の移動など、様々な局面を知っているからこそ出来る芸当だった。 数字的な戦力や戦闘経験では圧倒的に分があるものの、新入りたちの練度にはまだ不安がある。これまでの北伐行に従事してきた者たちは、スタミナ面での不安が残る。攻撃部隊の指揮官たちはその点を気にしている。もっとも、今度の作戦はそのような状況にも配慮したものであったが。 決してこちらはベストの状態ではない。そのような状況であっても、状況に合わせた戦い方というものがある。例えば、長丁場を避けて速攻を狙う戦い方などがそうだ。 この方針は「高潮作戦」の第一段階に反映されている。とにかく遮二無二突っ込んで敵の中枢を一気に押さえ、出来る限り早く事を片付けるのだ。 この速攻策を実現させるための戦力が、荊州校区の北東境界部前面に集結している。 楽進隊:強襲部隊“ドンナー” (Donner=雷部隊 オートバイ2個大隊・100名にて編成) 張[合β]隊:強襲部隊“ケンプファー” (Kampfer=剣部隊 武装風紀2個大隊(100名)及び生徒会執行部員50名の混成部隊。サイドカー付バイクにて移動) 于禁隊:強襲部隊“アドラー” (Adler=鷲部隊 歩兵4個大隊(200名)MTB大隊2個(100名)の混成部隊) (※なお、MTB部隊は突破後の投入まで温存の予定) 以上の三個強襲部隊が南征軍の前衛を構成し、そして第一段階の主役を担う部隊である。曹操と彼女の参謀陣の企図――機動戦力を集中させての速攻――を明確に反映させた陣容だ。 指揮系統の上では「雷部隊」を率いる楽進が前衛部隊の総指揮を執り、副将格の張[合β]と于禁が彼女を補佐するが、部隊の参謀役として曹操の本営からは程Gが派遣されていた。彼女は荊州校区首脳陣との折衝役も兼ねて前衛部隊に加わっているのだ。 前衛部隊の戦闘準備は前日から整いきり、いつでも仕掛けられる状態を維持している。歴戦の三人がその辺りの手配りを間違えることはない。 あとは、攻撃時刻を待つばかりであった。
22:第二章Part2 2007/03/01(木) 01:40 「ホントさ〜。テストで点数稼ぐのは得意かもしれませんけどぉ〜。だからって調子付いてこっち(荊州校区のことだよ。決まってんじゃん)まで来るなっていうんですよね〜。ホントに、私たちの週末を返せ!(ため息)」 「袁紹先輩には勝ちましたけど、アレは許攸先輩が裏切ったからで、アンタの手柄じゃないでしょって思いません? 絶対違いますよね〜」 「あんなのは周りに強い人が大勢いるから(夏候惇とか曹仁とか張遼とか徐晃とかetc)凄い人に見えるだけ。お付きの夏候惇がいなけりゃ、た・だ・の・小娘に過ぎないのよ。ただのね(冷笑)」 「でもでもぉっ、その手の掛かる小娘を世話する夏候惇先輩が格好良いんですよね〜。はぁぁ♪(赤面)」 始まった途端、某校区某地域に展開する某警戒班の会話は文句の掃き溜めと化していた。誰に対しての文句かは言うまでもない。(一部例外がいるようだが) 特に“週末を返せ!”の部分は全員の共感を呼び込み、同調した者たちが勢いのまま暴走の気配を見せ始めている。 その勢いに辟易しつつも結局は話を合わせる班長。もう相手が来る可能性など考えておらず、相手が来ない以上は本来の任務に気を払うこともない。そうこうしている間も、時計の針は二時の位置へ近づいている。 「ホント、週末が台無しだわ。連中が来なかったらどうしようかしら。」 班長はそう言って、週末の予定など何も考えていなかったことに気付いた。そして、気付いたことを後悔した。それもこれも境界の向こうにいるあの連中、正確には連中の一番上に立つ赤毛の小娘のせいである。せっかく赤い髪を持っているのだから、カ○ダの島にでも引っ越せばいいのに。 班長の逆恨み的思考が世界的に愛読されている童話へと脱線している間も、時計の針は動きを止めず二時ジャストを目前にしていた。 「本当、来るなら来るで早くして欲しいんだけど―――」 そして、時計の針が二時を指し――― 「―――全然予定が立たないじゃない。」 ―――戦闘開始を告げる大声が、昼下がりの静寂を打ち破ったのだった。 「戦闘団A(アントン)敵拠点を制圧。損害軽微との報告です!」 「戦闘団C(ツェーザル)敵部隊を圧倒中。抵抗微弱との連絡です!」 曹操らが陣取る南征軍の本営に、前線からの報告が次々と飛び込んでいる。今のところ味方が苦戦しているとの報告は入っていない。予定通りだ。 (どうやら、三度目の嵐が吹き荒れそうだね) 特に躓いた様子の伺えない戦況報告を聞いて、曹操は嵐の訪れを確信した。 曹操が過去に巻き起こした嵐は二回。一度目は反董卓連合の結成の折、二度目は官渡決戦の逆転勝利の折。どちらも蒼天学園を震撼させる衝撃を、全校に放ったものだった。 そして今日、曹操は荊州校区の即日降伏という形で三度目の嵐を巻き起こし、全校を揺さぶるつもりでいる。だからこそこの作戦に「高潮」という名前を与えたのだ。 激しい嵐はうねりを作り出し、うねりは高まりながら長湖の南岸へと拡がってゆく。そして学園全体へと拡がってゆく。全てのものを揺さぶりながら―――。そのような光景を、曹操は何度もイメージしていた。 そうしている間も、彼女の目の前では幕僚たちが前線からの報告に応対している。味方優勢の状況にあっても、彼女らの態度には何の変化も無かった。報告を伝える伝令たちに「分かった」と軽く返事をする程度である。当然だ。彼女らはこれまで無数の修羅場を経験してきたのだから。 (この程度の小競り合いを制したくらいで、誰が浮かれるものか) そう言いたげな雰囲気が、沈黙に包まれた本営を満たしている。 「前線の警備隊はあらかた片付いたらしい。もう文謙や儁艾は動きだすだろうな」 本営内の全員を代表するかのように、曹操の傍らの夏候惇が口を開いた。 「全力で突っ込めば一時間も掛からない。日が沈むまでには決着が付くね。でも―――」 全ては曹操らの期待した通りに進展している。 特に時間の余裕が厳しくなるのを承知の上で、敢えて攻撃時刻をズラしたのはした。何のひねりも無い正面攻撃だが、警戒のピークを午前中に持って来ていた敵にとっては奇襲同然の攻撃となったのである。 いま、本営の正面で戦っているのは于禁率いる「鷲部隊」だ。 歩兵中心の「鷲部隊」が第一波となり突破口を確保。後ろに控える第二波の「雷部隊」、第三波の「剣部隊」が間髪入れずに荊州校区へ雪崩込む。突入した二個強襲部隊は襄陽目指して突っ走り、同棟を制圧。劉N以下、荊州校区の要人たちを確保する。 これが「高潮作戦」第一段階の概要だ。 「―――でも、大事なのは劉Nたちを逃がさないこと。失敗したら、元も子もない」 全員に確認を促すかのように曹操が口を開く。もちろん、全員が百も承知だ。 「あははぁ〜〜〜♪ ご心配には及びません〜〜〜♪ もちろん〜万が一が無いとは言い切れませんが〜〜〜♪ 劉Nらは〜会長のような迅速さを持ち合わせておりませんのでぇ〜〜〜♪ まず襄陽からぁ〜逃げ出せはしないでしょうねぇ〜〜〜♪」 参謀の荀攸が口を開く。彼女の口振りからして、本当に彼女は確信しているのだろうと曹操は思った。本気なったときの彼女は、内に秘めた鋭さを前面に出してくる。その彼女が普段と変わらぬ様子でいるのであれば、まだ緊急の措置などを下す必要はないということだ。 「うん。あの連中が動かない、っていうのは同感だけどね。」 「同感だけど、他に何か気になるコトがあると?」 曹操の言葉に隣の夏候惇が口を挟んでくる。この場でこんな突っ込みを入れられるのは、古株の彼女くらいだろう。そんな彼女の疑問に曹操が答える。 「・・・劉備たちのコト」 「あの連中か・・・確かに厄介なのは何人かいるが、大した戦力は持ってないぞ? 普通に勝てるだろ。汝南の時のように」 しばらく前の勝ち戦を引き合いに出して、夏候惇は曹操の懸念を否定した。特に大きな兵力を持っていない劉備に、さほどの抵抗が出来るとは彼女には思えなかった。 「分かってる。戦えば普通に勝つだろうけど、何だかんだでアイツは要注意だし荊州校区の連中に結構気に入られてるみたい。その辺はどう思う、賈詡?」 突然話を振られた賈詡だったが「そうですね・・・」という具合に、何ら動揺せず話を進め始める。 「そうですね・・・確かに劉備に同調する者も多いようですが、襄陽近辺の部隊は反劉備の蔡瑁一派が掌握しています。実働戦力を持たない以上、表立った行動は取れません。例えば、劉備を荊州校区会長に迎えるといったような。劉備がその気になれば話は別ですが、彼女の性格からして可能性は低いでしょうね」 どこから仕入れたのかは知らないが、荊州校区内の動静を参考にした判断だ。情報参謀の面目躍如ではあるが、話を振られるのを待っていたのでは?と曹操が(そして周囲も)思うほど、彼女の言葉には澱みが無かった。 待たれていた(待たれてたね。間違いなく! 話を振ったのは私だけど、澄ました顔して!)ことへの不快感と、賈詡への賛辞を同時に喉の奥へと押し込めて、曹操は話を続けた。 「同感。劉備は荊州を奪ったりしない。アイツはそういう奴だから」 そう、劉備は散々世話になった荊州を奪うような真似はしないだろう。徐州の時も消極的だった彼女だ。それに――― 「―――それに、アイツに荊州を奪う余裕を与えるなんて、そんなつもりは全然無いんだよねぇ」 それまでの口調から一変した、トーンの下がった別人のような声。幕僚たちの視線が集中するのを感じて、笑い出しそうになるのを曹操は何とか抑え込んだ。らしくもない。場数を踏んでる筈のみんなが、この程度の事で動揺するなんて。 (ねえ劉備、私から逃げられると思ってる?) 楽しげにギラついた眼を細めながら、曹操は心の中で問いかけた。
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