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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド 二学期!★
38:韓芳2007/03/25(日) 00:50
風凛華惨 其ノ壱
風は、時には凛と、時には華やかに吹くが、時には惨酷である。
ここは小沛棟より少し離れたところ。
そこで、2人の女性が話し合っていた。
「高順様どうしましょう? この数では苦戦は必死かと。」
「かといって、逃げ出すわけにも行かないわ。突撃するのみよ。」
「はぁ、まあそうなんですけどね。」
「曹性、今どのくらいいるんだっけ?」
「バイク持ちが20人と歩きが30人ですね。」
「そう。 じゃあ、歩兵は任せるわ。 私たちがバイクで敵陣をかき乱すから、そこをついて攻撃して。」
「はい! …しかし、呂布様にも困ったものですね。 慣れてきましたけど。」
「そういう素直なところがいいのよ。 …はぁ〜。」
「ダメだこりゃ。」
実は今、劉備が曹操と通じているということを知った呂布が、烈火のごとく怒って小沛棟を攻撃中だったのだが、曹操側の援軍が迫ってきているという知らせを受けたために迎撃に来ているのである。
とはいえ、呂布自体もこちら側に来ているのでほとんど転進ではあるが。
ただ、呂布の部隊は最前線に居た為ここへはまだ到着しておらず、後方に居た高順の部隊が待機していた。
「う〜ん、ざっと100…いや、150は居るかな?」
「倍以上かぁ。 まあ、なんとかなりそうね。 突撃用意!」
高順が攻撃するときは、大抵『突撃』である。この戦場での突撃の多さが陥陣営と呼ばれるきっかけになっているのかもしれない。
「本隊はまだかすかに見える程度ですね。 …先に仕掛けていいのですか?」
「仕掛けなければ向こうから来るよ。 …ん?指揮官は夏候惇か? 少し厄介ね。 まあ、でも――」
そこへ、あわただしく伝令がやってきた。
「呂布様より伝令です!」
やや疲れが見える。 まだ本隊は時間がかかりそうだ。
「『高順は本隊が来るまで獲物を抑えておけ』だそうです!」
「そうか、ご苦労様。」
「はっ!」
「…聞いたな曹性? 行くよ。」
「了解!」
風は送り風である。
絶好の突撃のタイミングだ。
「バイク部隊、進め!」
高順の率いる部隊は、爆音を響かせ目前の敵へと向かっていった。
颯爽と敵へと向かっていく高順の背中に憧れるものも多いという。
「私たちも行くよ! 歩兵部隊、突撃!」
曹性は気合を入れ、バイク部隊の後を追った。
その後の運命など知らずに。
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