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★しょーとれんじすと〜り〜スレッド 二学期!★
13:彩鳳2007/02/22(木) 22:24
『王者の征途』
序章『嵐の予感』
曹操率いる蒼天学園・連合生徒会の北伐部隊と烏丸高校の抗争が終結してから、およそ1週間が過ぎ、学園は間もなく10月を迎えようとしていた。
夏の余韻は完全に消え去り、秋らしい涼風が色付き始めた木の葉を揺さぶっている。
本格的な秋の訪れは、学園内に漂う張り詰めた空気を一掃させていた。
袁紹の引退を契機に曹操が河北侵攻を開始してからというもの、冀州校区・并州校区・幽州校区の各地で戦闘が連続し、学園内には緊張した空気が張り詰めたままであった。ようやく、先日になって北への攻勢が終結して学園内――特に黄河以北の地域――の空気は緊張感から開放されたのである。
混乱続きの蒼天学園に穏やかな日常生活が戻ってきたのは、夏休みも含めておよそ四ヶ月ぶりのことである。生徒たちは烏丸高校との抗争が沈静化したことを喜び、開放感あふれる日々を満喫していた。
だが、ほとんどの生徒たちは知っている。この平穏な日々が「嵐の前の静けさ」に過ぎないことを。次の嵐が、そう遠くない日に吹き荒れることを。
嵐の訪れを予感しているためか、生徒たちは秋空の下“楽しまなくちゃ損”と言わんばかりの日常生活を送っている。そのほとんどが口にこそ出さないが、心の中で願っていた。
『この穏やかな日々が、一日でも長く続いて欲しい・・・』
叶わぬ願いであることは皆が理解している。だから口には出さない。だが、それでも願わずにはいられない。混乱期の一般生徒たちが抱えた悲痛な願いである。
だが、彼女らの願いが一旦実現するのは、三国時代が終結する数年先のことである。それまで蒼天学園の生徒たちは、戦乱の続く嵐の時代を過ごすことになる。
その「嵐の時代」すなわち三国時代の始まりを告げる『赤壁島決戦』の序章、曹操の荊州校区侵攻が、間もなく始まろうとしていた・・・。
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