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サンホラ雑談スレ
210:惟新2004/11/01(月) 21:26
○物語解釈1
どこまでも堕ちていくその中で、「兄」はそれを拒んだ。
「背徳」とあることから、本当の兄妹か、
少なくともそのように《思い込んでいる》とする。
【「兄」と「その人」が同一人物の場合】
「律すれば律する程堕ちる 赦されぬ想いに灼かれながら
まぐわう傷は深く甘く 破滅へ誘う」
(「少しずつ楽園を追われてゆく」「同じ心的外傷重ねれば響きあう」)※2
「けれどそれ以上には…」
「脆弱な精神が耐え切れず あの日嘘を吐いた」
こう並び替えれば※3、あとはスッと繋がる。
「冷たい言葉の雨」「なぜ変わってしまったの?」
「裏切られた少女」「逃げ込んだ楽園は信仰という狂気」
そして――Ark。
「兄」の裏切り→信仰(二月)→進行→Ark(六月)?
※2:トラウマの内容は不明。
※3:愛の記憶の回想が遡って描かれていくとみる。嘘が先になると、嘘の内容が不明になる。
【「兄」と「その人」が同一人物ではない場合】
『妹の記憶』における詰め寄る相手は後段の「兄」ではない。
「楽園へ還りましょう、お兄さま」は結末の先取りか。別の「兄」とした場合:物語解釈2
「その人」の裏切り→信仰→進行→Ark(二月)※4
「妹」との愛。背徳の箱舟。
愛し合った者からの拒絶=「兄」と「妹」の「同じ心的外傷」?
「律すれば律する程――」「けれどそれ以上には…」
「脆弱な精神が――」→嘘(拒絶?)→Ark(六月)「楽園へ還りましょう、お兄さま」※3
※4:二つのArkが存在することは同一を求める「楽園」希求物語として破綻をきたす危険性。
その両者を共存させるための理由付けは語られておらず、推測するしかない。
○物語解釈2
過剰投影型依存を相手に自己ではなく《「兄」を投影する》こととする。※5
その場合、「兄」の背徳は兄であると「嘘を吐いている」こと、
そのような関係として堕ちていくことそのものにあるのか。
愛の記憶の回想が入れ替わらず、嘘を起点として楽園へ堕ちていくことになる。
また、「その人」が「兄」と別人であった場合、「その人」は別の「兄」ということになる。
(「兄」と「その人」に関する場合分けについては省略)
※5:自己との同一を希求するという観点での物語性は弱くなる。
○追記
参考事項:人類補完計画‥同一性と他者性、楽園の希求
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